被災地住民と宗教者への聞き取りに基づいた、調査研究をまとめている。
宗教者が真摯に住民に寄り添う姿が読み取れる。
引用
・「悲しみや苦しみを一皮ずつ剥いていく」のが宗教者の役割であり、葬式の機能なのではないか。
・霊にまつわる相談に対する宮城県の宗教者たちの対応
→宗教者の多くが「心霊現象」に対して合理的、あるいは心理学的に理解しているにもかかわらず、
「幽霊を見た」「霊に取り憑かれている」といった相談者の主張を頭ごなしに否定せず、受容するというのが基本姿勢である。
・宗教者たちの傾聴活動は、生きている被災者への傾聴だけではなく、縁ある死者への傾聴でもある。
調査に協力された宗教者の方々は、「霊は存在しない」という解釈をもちながらも、それを訴える相談者を丸ごと受け止める。
そしてそこから、ただひたすらに話を聞く。筆者も指摘しているように、医療者(心理職を含む)では決して提供できない、
「答えを出さない(何らかの診断や処方等を出さない)支援」は、宗教者の唯一無二の役割なのだと思う。
死者の存在によって生かされている、そのように感じる遺されたひとも多くいるであろう。そのことをそのままで良しとする、
そんな空気感?土壌?雰囲気?空間?…それが本当に大切なのだと思った。