社会福祉士×ちょっと図書館司書の関心ごと~参考文献覚え書き

対人援助の実践、人材育成、図書館学を中心に気まぐれに書物をあさり、覚え書きをかねて投稿中~

病院と地域の連携について 露木信介・鉾丸俊一(2006)「医療と福祉」

2008-08-28 23:18:56 | 社会福祉学
副題:医療ソーシャルワーカーと介護支援専門員のフォーカスグループインタビューを通して得られたこと

連携に際して、医療ソーシャルワーカーが求められる姿勢や知識、技術は何か?を探索することを目的として、調査が行われた。

介護支援専門員サイドとしては、病院は敷居が高いため、その窓口である医療ソーシャルワーカーに、「相談」することから「連携」が始まる…とのこと。また、大きな病院ほど、相談にのってくれない、話を聞いてくれないという印象を抱いているとのこと。
ソーシャルワーカーは、社会福祉学を基盤とし、「傾聴」をスキルの一つとしている。患者のみならず、外部の関係職種(この論文では介護支援専門員)に対しても、「傾聴」が求められていることが明らかになった。


この調査の対象は、有床医療機関のソーシャルワーカーであるが、在宅療養支援診療所のソーシャルワーカーにも通じる結果も見受けられた。
ありきたりの結果ではあるが、組織内外のパイプ役が求められていることについて、そのための「スキル」を掘り下げる必要があると感じた。
コメント (7)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 東京のドヤ街 山谷でホスピ... | トップ | 患者・家族を支援するという... »

7 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
意見交換 (のだみ(管理者))
2008-09-07 21:57:24
露木さん、syounosukeさんありがとうございます。

露木さんがおっしゃるように、現場では当たり前のことが、言語化されず、共有しにくいということは、多くあると思います。
私は、現場の声を「研究論文」に仕上げることの難しさを常に感じていますが、それを積み重ねていかなければ、現場の質も学問の質も、前進は少ないと考えています。

これからも、皆さんのご意見等、お待ちしています。
返信する
臨床の一部を切り取った調査でした. (露木信介)
2008-09-03 21:08:20
syounosuke様 コメント拝見いたしました.ありがとうございます.私も臨床をしているので,この調査が現状の一部を切り取っている結果だと思っています.私が考えることは,やはり利用者やご家族がよりよく生活するために,支援者がそれぞれの垣根を取っ払って,各支援者の限界を超越することだと思っています.それが本当の意味の協働だと考えています.特に,地域生活を支える上でCMの役割は重要ですし,逆に地域生活での不安は「医療」だと思います.そういった意味では,CMとMSWがお互いのやり方や思考,限界性を理解することが大切だと思っています.私が所長を務めておりますソーシャルワーク研究・センター(http://tsuyukis-support.sakura.ne.jp/)でも,この協働は大きなテーマです.今後とも,弊ブログでも取り上げていきたいと思います.本研究の調査結果は,とても単純で,当たり前のことですが,調査をし,論文で言語化している論文が少ないと思っています.そういった意味では,意義ある論文だと考えています.ありがとうございました.
返信する
現場の感覚とそれほど違いはない (syounosuke)
2008-09-01 11:30:57
露木様ありがとうございます。このような形で意見交換ができることに感謝と十分意を尽くせないことも考慮しつつ感謝をいたしております。
さて、③CMはMSWに対して「相談姿勢の欠如」を、MSWはCMに対して「決定の視点相違と人権ヘの配慮」を、⑤ではCMはMSWに「相談に乗ってくれること」を、MSWはCMに「身軽でキャパの広さ」を望んでいるようです。
③と⑤は同じことを表現しているようです。現場からの感想でもご指摘の通りと思います。
介護系CMにとってクライアントの気持ちに寄り添って援助計画を策定していく思考過程が整理されにくいようで、単純な結論を出す傾向が見られます。
これがキャパの広さと決定についてのMSW側からの要望になるのでしょう。
同時にMSWにCMが求めるのはCMにとってわかりやすいように言ってほしいという悲鳴なのだと思います。
そこでCMには思考過程を言語化する努力を、MSWにはフィールドの違いを理解し使用する言葉とより丁寧な背景の説明ができると両者の溝がうまるのではないかと思いますがいかがでしょうか。
返信する
恐縮です (のだみ(管理者))
2008-08-30 22:02:39
露木さん、コメントありがとうございます。
自分の気になる箇所だけ抜粋したため、簡略な紹介になってしまい、すみません。
私の経験になってしまいますが…CMとSWの協働の質次第で、組織と組織の関係の良し悪しが決まってしまうほど、重要なポジションであると思います。互いの専門性を理解し、尊重し、役割分担をどう話し合っていくか…が大切ですよね。在宅では「やろうと思えば、どちらでもできる」ことが多くあり、その分担を整理するのがとても難しかった記憶があります。
考えれば考えるほど、重要かつ難しいものです。
返信する
原点にもどる… (露木信介)
2008-08-30 11:35:07
取り上げていただきましてありがとうございます.この論文の著者です.この論文は,調査時期は平成17年と古いものですが,この状況は,現在もあまり変わり内容に思います.調査では,MSW5名のグループ,CM5名のグループ別々にフォーカスグループインタビュー調査を実施いたしました.調査項目は,①ネットワークの形成プロセス「ネットワークをどのように作ってきたか」,②ネットワークの活用について「作ったネットワークをどのように活用しているか」「どんな場面でMSW/CMを必要とし,活用するか」,③ネットワーク活用の困難点「連携においてこんななんを感じた事例や事柄は何か」,④ネットワークの維持「ネットワークをどのように維持しているか」,⑤ネットワーク活用にふさわしい人物像「ネットワークを考えたときMSW/CMはどのような存在か」「どのような人がネットワークをうまく作れるか」でした.結果の詳細は,割愛しますが,③では,CMは,MSWに対して「相談姿勢の欠如」を,MSWは,CMに対して「自己決定の視点相違と人権式に関する欠如」を困難点と捉えているようです.また⑤では,CMは,MSWに「一緒に考えてくれて,親身になってくれる人物」を望み,逆にMSWは,CMに「フットワークが軽く,受容的な態度の人物」を望んでいました.どちらにしても,利用者のために,利用者の利益・生活保持のために,お互いがお互いのやり方や大変さを理解しながら,共感し,連携をしていく必要性があるかと思います.当たり前のことですが,もう一度原点に戻る必要があります.
返信する
情報の共有 (のだみ(管理者))
2008-08-29 20:43:50
利用者の利益を第一に考えると、その最低限のものは、関係職種の「情報共有」だと思います。そこから「連携」「協働」などがスタートすると思います。医師は時間的にも、ひとによっては「なんとなく」、他職種と関わることが難しいのも現状だと思います。
病院へのアクセスのハードルをさげることも、ソーシャルワーカーの役割であると痛感しています。
関係職種が歩み寄らないことには、よい援助はできないでしょうから。
返信する
現実に難しいけど (syounosuke)
2008-08-29 10:36:50
在宅での関わりが主業務であるケアマネにとって病院勤務医との接点は無いに等しいです。勤務医は在宅療養の情報が皆無、想像すらできない状態でしょう(公衆衛生協会編「介護支援縁も人のための主治医意見書の上手な活用法)。一方ケアマネは在宅の情報しかない、医療情報は利用者とほぼ同じ程度、いわゆる情報格差がありケアマネからのアプローチは気持ちとしてハードルが高く感じている。
この状態のままでいくのかですが、「上手な活用法」にもありますが突破口は診療所dr、でしょう。このポジションは医療と同時に在宅での療養も若干含みますから、ケアマネとしては接点が持ちやすいはずです。
現に当社のケアマネは利用者が受診する際に同行して可能であれば診察に同席し情報を共有するそうです。
おそらくこのあたりから医療と介護の共同作業が出来るのではないかと思っています。
返信する

コメントを投稿

社会福祉学」カテゴリの最新記事