県外移設派と辺野古移設容認派の争いになった名護市長選。県外移設を主張する現市長
が、わずか得票率4%上回った「僅差」の勝利だった。ほぼ二分するまでに迫った辺野古移設
容認派の意思は、沖縄県民の過重な負担を解消すべきだという世論の陰で、その後メディア
からもほとんど伝えられることはない。
初めに断っておくが、沖縄に80%近くも駐留米軍基地が存在する事態は、歴史的な背景が
あっても異常で、沖縄県民の安全、環境、生命への過重な負担は解消されるべきだ。米ロ軍
縮、米中協調時代の国際政治情勢の中で、駐留米軍基地は「暫時」国外に移設して、あたら
しい日米安保体制の枠組みが構築されることが求められる。
普天間基地移設先問題は、首相の「おわび」の沖縄入りで究極の感情的な対立構図(stage)
となった。5月末決着をくり返すタイムリミットを考えての首相の強い意向での沖縄訪問の中、
公式にはじめて首相の口から、県内移設と徳之島への機能移転が伝えられたからだ。
県内移設が避けられない状況(首相の決着引き延ばし)になっても、しかし県外移設を再三
くり返す首相の口から、正式に上記発言が出ては、その政治的思慮もない無責任な発言に沖
縄県民の感情が押さえられないのも当然だ。
(1)昨年夏の衆院選挙で当時の民主党代表として、普天間基地移設先を「国外、最低でも県
外」と訴えて沖縄選挙区でも勝利して、政権交代を実現した。
(2)首相就任後も、再三再四「県外移設」を約束する発言をくり返し、一度昨年末での決着を
回避して、問題を先送りしてきた。この頃までは、首相は「日米対等の協力関係」をしばしば強
調する。
(3)その間、3月末にまとめる政府案もまとめきれずに、報道で流される辺野古沖移設と徳之島
機能移転の情報をひたすら正しいものではないとして、あくまで県外移設をくり返す。
(4)そして、5月4日沖縄訪問で、おわびの言葉を添えて県内移設を正式に沖縄側に伝え、理解
を求める。
(5)あきらかに前日までとは異なる首相の発言が、「おわび」と「理解」を求める戦略なき無責任
な言葉だけで、沖縄に理解を求める結果となった。首相の進退をかけた県内移設のはずが、その
決意表明もない。
(6)沖縄県内に移設と発言されたその移設先と考えられる名護市長は、市長選で県外移設を主
張して当選した経緯から、4日の会談では県内移設をきっぱり拒否する方針を首相に伝えた。
(7)今回の首相の沖縄訪問では、住民との対話集会も設定されていた。県外移設を望む沖縄
県民の意見聴取が目的だったためか、またメディアの取材方針なのか、県外移設一辺倒の圧
倒的な住民の厳しい意見が相次いだ。感情的になっていたので、対話にはふさわしくない発言
もある。
(8)名護市長選挙。前政権で普天間基地移設先の候補地であった名護市辺野古への移設が
争点の選挙で、県外移設を訴えて当選した現市長の得票率は52%、辺野古への移設を容認
する対立候補者は48%の得票率で、「僅差」での勝利だった。
(9)普通、過半数の支持を受けた市長は、反対票の意思(「48%」の反対票)は、政策実行に
なんらか配慮するというのが政治的対応だ。
(10)しかし、名護市長は、過半数(52%)で県外移設が支持されたと市民のすべてが県外移
設容認であるかのような圧倒的な意思表示だし、首相にもそういう主張をして、持論である県外
移設に沿わない県内移設を拒否した。冷静に、選挙結果を反映した市民の意思を代弁したの
だろうか。
(11)名護市長の県外移設の主張は市民の過半数の支持は受けたけれど、それにも匹敵する
48%もの辺野古移設容認派の意思を、どう斟酌(しんしゃく)し政策に反映したのか、伝わって
こない。
(12)メディアもデリケート(delicate)な問題だけに、尚更、それこそメディアの使命として国外、
県外移設以外の市民の主張、意見も報道する「客観性」が求められていた。
(13)問題の複雑化は、ひとへに首相の無責任な判断、発言であるが、デリケートな問題こそ
時流にただ流されることなく、市民の声を客観的に公平に、公正に聞く必要もある。
究極の感情的対立の中での、まるで糾弾するだけの首相との対話集会になったのは、沖縄
の積年の過重負担の想いは伝わってきたが、日本、米国(米軍)、国民の三位一体の問題の
解決にはあまりにも焦点が噛み合わないむなしさも憶えた。
往くべき道は、冒頭で述べた「初めに断って~」に描いたステージ。
が、わずか得票率4%上回った「僅差」の勝利だった。ほぼ二分するまでに迫った辺野古移設
容認派の意思は、沖縄県民の過重な負担を解消すべきだという世論の陰で、その後メディア
からもほとんど伝えられることはない。
初めに断っておくが、沖縄に80%近くも駐留米軍基地が存在する事態は、歴史的な背景が
あっても異常で、沖縄県民の安全、環境、生命への過重な負担は解消されるべきだ。米ロ軍
縮、米中協調時代の国際政治情勢の中で、駐留米軍基地は「暫時」国外に移設して、あたら
しい日米安保体制の枠組みが構築されることが求められる。
普天間基地移設先問題は、首相の「おわび」の沖縄入りで究極の感情的な対立構図(stage)
となった。5月末決着をくり返すタイムリミットを考えての首相の強い意向での沖縄訪問の中、
公式にはじめて首相の口から、県内移設と徳之島への機能移転が伝えられたからだ。
県内移設が避けられない状況(首相の決着引き延ばし)になっても、しかし県外移設を再三
くり返す首相の口から、正式に上記発言が出ては、その政治的思慮もない無責任な発言に沖
縄県民の感情が押さえられないのも当然だ。
(1)昨年夏の衆院選挙で当時の民主党代表として、普天間基地移設先を「国外、最低でも県
外」と訴えて沖縄選挙区でも勝利して、政権交代を実現した。
(2)首相就任後も、再三再四「県外移設」を約束する発言をくり返し、一度昨年末での決着を
回避して、問題を先送りしてきた。この頃までは、首相は「日米対等の協力関係」をしばしば強
調する。
(3)その間、3月末にまとめる政府案もまとめきれずに、報道で流される辺野古沖移設と徳之島
機能移転の情報をひたすら正しいものではないとして、あくまで県外移設をくり返す。
(4)そして、5月4日沖縄訪問で、おわびの言葉を添えて県内移設を正式に沖縄側に伝え、理解
を求める。
(5)あきらかに前日までとは異なる首相の発言が、「おわび」と「理解」を求める戦略なき無責任
な言葉だけで、沖縄に理解を求める結果となった。首相の進退をかけた県内移設のはずが、その
決意表明もない。
(6)沖縄県内に移設と発言されたその移設先と考えられる名護市長は、市長選で県外移設を主
張して当選した経緯から、4日の会談では県内移設をきっぱり拒否する方針を首相に伝えた。
(7)今回の首相の沖縄訪問では、住民との対話集会も設定されていた。県外移設を望む沖縄
県民の意見聴取が目的だったためか、またメディアの取材方針なのか、県外移設一辺倒の圧
倒的な住民の厳しい意見が相次いだ。感情的になっていたので、対話にはふさわしくない発言
もある。
(8)名護市長選挙。前政権で普天間基地移設先の候補地であった名護市辺野古への移設が
争点の選挙で、県外移設を訴えて当選した現市長の得票率は52%、辺野古への移設を容認
する対立候補者は48%の得票率で、「僅差」での勝利だった。
(9)普通、過半数の支持を受けた市長は、反対票の意思(「48%」の反対票)は、政策実行に
なんらか配慮するというのが政治的対応だ。
(10)しかし、名護市長は、過半数(52%)で県外移設が支持されたと市民のすべてが県外移
設容認であるかのような圧倒的な意思表示だし、首相にもそういう主張をして、持論である県外
移設に沿わない県内移設を拒否した。冷静に、選挙結果を反映した市民の意思を代弁したの
だろうか。
(11)名護市長の県外移設の主張は市民の過半数の支持は受けたけれど、それにも匹敵する
48%もの辺野古移設容認派の意思を、どう斟酌(しんしゃく)し政策に反映したのか、伝わって
こない。
(12)メディアもデリケート(delicate)な問題だけに、尚更、それこそメディアの使命として国外、
県外移設以外の市民の主張、意見も報道する「客観性」が求められていた。
(13)問題の複雑化は、ひとへに首相の無責任な判断、発言であるが、デリケートな問題こそ
時流にただ流されることなく、市民の声を客観的に公平に、公正に聞く必要もある。
究極の感情的対立の中での、まるで糾弾するだけの首相との対話集会になったのは、沖縄
の積年の過重負担の想いは伝わってきたが、日本、米国(米軍)、国民の三位一体の問題の
解決にはあまりにも焦点が噛み合わないむなしさも憶えた。
往くべき道は、冒頭で述べた「初めに断って~」に描いたステージ。