いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

分断とどちらでもない。 division and neither of them

2019-01-25 19:57:55 | 日記
 (1)2月実施予定の辺野古移設の是非を問う沖縄県民投票が「分断」(division)を懸念、危惧する自治体が不参加を表明して(あるいは議会の投票にかかわる予算否決)有権者の30%が不参加する中で県民投票が実施されるのか注目を集めていたが、県議会がこれまでの「賛成」、「反対」に「どちらでもない」(neither of them)を加えて3択で実施する条例改正に与野党が合意してこれに不参加表明自治体も応じる見込みで、全県下での県民投票実施に向けて再び動き出した。

 (2)「どちらでもない」選択は、「条件」付きの賛成あるいは反対あるいはどうでもよいという判断選択になるわけで、「どちらでもない」が多数を占めればそれはそれでさらに沖縄県としては県民の意思を再確認する作業が必要なことになる。

 結果として当初の有権者の30%が不参加という事態の中では県民投票の意味、意義もなくなることを受けて県民投票実施のために最大公約数的一致点をみつけたわけで、厚労省の勤労統計の全事業所調査を一部指定事業所調査に変えて実施した不正統計データと似た選択肢だ。

 (3)つまり「傾向」は示せても「実態、実感」はわからないという都合主義だ。仮にこれでこれまで県民の「分断」を危惧する不参加自治体から分断の懸念、危惧が解消されるのかといえば、解釈によっては英国のEU離脱問題のような混乱を引き起こす余地を残すだけのもので、県民投票により辺野古移設の沖縄県の「絶対意思」を示すことにつながらないものとなった。

 (4)普天間飛行場の周辺住民の日常生活の危険の解消、回避を目指して日米合意で辺野古キャンプシュワブ沖に移設する計画は、沖縄県内の米軍基地の負担、危険を同県内の他の地域に移し替えるだけのことで、沖縄県、県民にとってはそれこそ「どちらでもない」県外、国外への移転を強く望むものだ。

 駐留米軍基地の70%以上が沖縄県に集中する過負担に地位協定により住民生活、権利が過重に束縛、不利益を強いられる米軍による治外法権下の沖縄にとっては、日本国民として公平で平等な権利保障、負担軽減を望むのは当然のことであり、そうなっていないのは政治的配慮の欠如からのものだ。

 (5)こうした日米の政治的配慮を動かせないのは、沖縄の駐留米軍基地の存在についての日本国民の「分断」だ。沖縄に米軍基地の70%以上が集中するのをやむを得ないと国民の過半数が判断する世論調査結果もあり、米国、米軍に対して県外、国外移転を強く望む「声」になっていないことが問題だ。

 沖縄県は米軍基地問題について国民全体の問題意識の共有、日本国民として公平で公正、平等な権利保障、対応を強く求めて主張している。

 (6)そういう中での辺野古移設の是非を問う県民投票の実施だ。県民投票の結果に県としては条例規定として拘束力はないが、結果が一定数に達すれば日本、米国政府に対して伝える義務はある。

 沖縄県は米軍基地経済に依存する側面もあり、辺野古のある前回の名護市長選では反対派の前市長が辺野古移設に反対を唱えない保守系候補に敗北する結果も出ており「分断」はある。
 
 (7)県民投票3択の「どちらでもない」が県民投票を動かすという、沖縄の抱える問題のむずかしさを自ら示すものだ。

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組織的茶番。 a farce of organization

2019-01-24 20:12:22 | 日記
 (1)厚労省というのは近年、高年令化時代を迎えて年金、保険、雇用など社会保障関係が色々と注目を集めて登場が多い政府機関だ。財務省、外務省、経産省などと違って国を動かす華やかさはないが、国民生活に密着した今では国民生活を支える「実益」のともなう主要な政府機関だ。

 しかしその厚労省はかねてから社会保険庁の「消えた年金」問題などズサンな管理体制が問題となって機関組織改革されて社会保険庁が日本年金機構に改組されたが、その日本年金機構も不祥事が続いてほとほと組織、人事で頼りない根本問題を抱えた政府機関だ。

 (2)今騒がせている「毎月勤労統計」調査データの不正問題は、国民の雇用保険、労災保険などの給付金、助成金にかかわる重要基礎データ(平均給与額算出)になるもので、不正調査データにより過少給付額が600億円(報道)にのぼるとみられる不正だ。

 すでに閣議決定された来年度予算がこれにより修正されるという異常事態にまで及んでいる。

 (3)そもそも大規模事業所すべてを調査対象として実施してきたものを04年から厚労省が東京都などに一部の事業所(厚労省がリストアップ)を対象(報道)にして調査するよう指示していた。
 これにより前述のように雇用保険、労災保険などで600億円の過少給付となっていたわけだが、厚労省としてはこの事実関係を把握していない、できないわけはない。

 (4)国、政府としては少子高年令化社会を迎えて社会保障関係費が膨大に増え続けて国民負担が追い付かずに、年金支給年令の先送り、年金額の減額など対応に追われてきたが、その意向、意図を受けて(忖度か)厚労省としても「毎月勤労統計」調査データの「平均給与額」算出にあたってできるだけ減額したい思惑があったのではないのかと推察できるものだ。

 統計上の問題なので届け出の全事業所対象調査ではなく一部指定事業所に限っての調査データであれば、せめて統計学上の「傾向」数値としてこれに経済原理を加えて「実数値」に近づける方程式は必要だ。

 (5)厚労省は一部指定事業所対象の「傾向」数値を届け出の全事業所対象の「実数値」として採用してごまかして、結果として600億円の過少給付を続けて国、政府の社会保障費の増大をくいとめる意図(忖度か)がうかがえるものだ。

 そもそも同調査は厚労省が直接行うものではなく自治体に指示して実施するもので、煩雑だからとかあえて全事業所対象を一部事業所に変更して行う必要もないもので従来どおり実施すればいいだけのものだ。厚労省が統計上の操作により意図的に平均給与額の数値を低く算出したものと考えられるものだ。

 (6)この問題を受けて厚労省内の特別監察委員会が調査報告書を提出して、組織的関与、隠蔽について「意図的との認定は難しい。真っ白と言っているわけではない」(報道)とどちらともつかないあいまいな見解を堂々と述べて、しかし組織的関与は否定してみせた矛盾する報告だった。

 厚労省の重要(国民への給付額算出データ)な「毎月勤労統計」調査でこれまでの調査方法を変えて実施するようなことを一部の担当者間で決定して外部自治体に向けて推進できるわけもなく、同省内の特別監察委員会として同属意識の中で核心に踏み込まなかった茶番(farce)だ。

 (7)厚労省の一部組織改革などでない抜本的組織改革が必要だ。

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協議を打ち切る。 break off conference

2019-01-23 20:39:34 | 日記
 (1)日本と韓国間の対立問題の火器管制レーダー照射事件について、日本側は傍受したレーダー音を公開して今後の協議を打ち切る(break off conference)と表明した。韓国側はこれにも相変わらずに「実体がわからない機械音」(報道)だとして反論した。

 ああ言えばこう言う式で、双方軍事機密情報にかかわる問題なだけに能力を悟られないとして説明、証明には自ずと限界があり、事実関係は闇の中のまま協議打ち切りとなる公算だ。
 ああ言えばこう言う式では協議を続ける意味はないので打ち切りは妥当なところだが、もっと早い決断があっても良かった。

 (2)日米韓軍事同盟国で朝鮮半島の安定のために一致協力が求められる日韓関係で、レーダー照射事件で対立が深まっては同盟関係の意味、意義もないことになり、早期の収束が求められていた。

 日韓の歴史認識問題、元慰安婦、元徴用工問題の「しこり」が尾を引いてのレーダー照射事件が軍事対立に発展したものと考えられるものだが、双方説明、立証に限度、限界のあること(軍事機密情報の不開示)を悟るなら、そこそこで今後の同盟国防衛対策協議に切り替えて収束すべきことであった。

 (3)日本側からこの問題の協議打ち切りを表明したのはある意味被害意識を示すもので、判断がもっと早い段階であればなおよかったという問題だ。政治的問題にまで発展させなかったのはせめてもの救いで(それは韓国側に不利で)、しかし日韓同盟国といえども今後の軍事衝突がありうることを示したもので双方の事前回避、安全対策の確認作業は必要だ。

 韓国は国防白書で北朝鮮の軍事的脅威を削除(報道)して朝鮮半島の安定について南北関係の改善を強めており、その分、同盟国関係といいながら日本とは歴史認識問題で日本の責任、賠償問題を問う姿勢を強めており、この問題は解決済みとする日本側とのあらたな政治問題として取り上げる姿勢が韓国文政権にはみられる。

 (4)多分に現在政権の私物化で公判中の朴前大統領が歴史認識問題で日本側と政治的和解をしたことに対する反感、反目ががあるのではないのか。韓国政治、大統領支配は前政権の否定により現政権の正当性を示すという傾向が強く、近年では前大統領の不正が指摘されて裁判にかけられて法的責任を負わされることが続いている。

 韓国の政治風土はよく伝わってこないが、これまで北朝鮮の軍事脅威、対立が続いて政治、軍事、社会のすべてが朝鮮半島を二分する北朝鮮への脅威に向けられて、足元の政治指導者の不正には寛容な政治風土があったのではないのかとの憶測もわいてくる。

 (5)今回文大統領が米朝首脳会談、南北首脳会談を受けて北朝鮮の核実験、ミサイル発射実験が停止されて南北融和路線が強調されていることにより、今回は歴史認識問題で韓国国内の不満を背景に日本とのあらたな問題提起、さらなる解決に向かわせているかのような問題掘り起し、軍事衝突の動きだ。

 日米韓軍事同盟関係に「くさび」を打ちたい北朝鮮の思惑どおりの展開で、北朝鮮を有利にするだけのことだ。

 

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トランプ米国の人権発言。 speaking of personal rights from usa

2019-01-22 19:51:10 | 日記
 (1)米国トランプ大統領になって大きく変わったものは多くあるが、共産、社会主義国に対して民主主義、自由主義国の基本理念である「人権」(personal rights)問題を指摘しなくなったことだ。

 中国とは経済貿易戦争でしのぎを削っているが(中国は28年ぶりの低成長で米国との経済ケタ違いの影響が出始めた)これまでのように人権抑圧問題への攻撃は聞かれない。

 (2)北朝鮮とは核実験中止、非核化を巡って米朝首脳会談を開催し、その後北朝鮮が核実験、ミサイル発射を実施していないことを受けて北朝鮮金正恩委員長を持ち上げて非核化に向けて良好な関係を強調しているが、その国民生活の窮状はどうなっているのか米国がこれまで展開してきた人権抑圧批判の声は聞かれない。

 そもそも人権問題は国内問題であり、中国などからは内政干渉と批判、反発を受けている。トランプ大統領になって米国の人権抑圧批判発言が聞かれないのは、トランプ大統領そのものが米国で黒人迫害に寛容な姿勢をみせて自らは女性人権問題で批判を浴びていることも影響している。

 (3)トランプ大統領になって米国の海外戦略は保護主義、売国第一、経済至上主義であり中国などへの人権抑圧批判は影をひそめて、北朝鮮とも米国射程の核実験、弾道弾ミサイル発射実験で米国への脅威ばかりが問題となって金委員長の国民生活抑圧、貧窮問題への批判は聞かれない。

 北朝鮮国内情勢は伝わってくることはないが米国は日本などとの北朝鮮経済制裁は継続されて、北朝鮮の米国との非核化交渉は経済制裁緩和、解除が目的ともみられており、トランプ大統領は北朝鮮との非核化交渉を続ける中で従来の経済制裁は継続すると述べているが国連安保理で協議されることはなく世界は北朝鮮の非核化に焦点が移っている。

 (4)その北朝鮮の非核化問題は昨年の米朝首脳会談で合意ではなく目標とされてあいまいなままで進展せずに、今年に入って2回目の米朝首脳会談の準備が進められて北朝鮮高官も米国入りして協議を続けているものとみられる。

 昨年の米朝首脳会談もトランプ流の話題づくりが優先して準備不足があきらかで、焦点の北朝鮮非核化も目標どまりであいまいなものとなった。
 今年に2回目の米朝首脳会談が浮上してきているが、協議の目的、意図に前進はなく、その間に米国トランプ政権では外交交渉に重要な役割の国務長官、国防長官が相次いで辞任、交代しており、政策の一貫性も危ぶまれている。

 (5)今回2回目の米朝首脳会談もトランプ政権が昨年末からの米議会下院優勢の民主党による壁建設費用への反対で予算失効が長期化して連邦政府の一部閉鎖が続く中で、米朝首脳会談に活路を求める目論みがみえて会談の実効性には疑問がある。

 トランプ大統領は北朝鮮の非核化目標を受けて金委員長を持ち上げているが、だから会談ペースは北朝鮮ペースともみえて米国内の不満の耳目をそちらに向けさせられるのか心もとないものだ。

 (6)トランプ大統領が人権問題を言わなくなり(個人資質として言えなくなりか)、北朝鮮の国民生活の窮状がどうなっているのか伝わってこない中で北朝鮮の非核化目標だけで北朝鮮現体制を評価、擁護するかのトランプ流儀では朝鮮半島問題の解決には向かわないだろう。

 確かに人権問題は国内問題として内政干渉の反発を招くものではあるが、拉致問題を抱える日本、世界の人権擁護勢力としてはトランプ流儀に信頼と実効性に欠け危うさがみえるだけだ。

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司法の独立性。 independency of justice

2019-01-21 19:58:17 | 日記
 (1)ゴーン前会長がCEOを務めた日産、三菱自から内部調査によるゴーン会長の不正行為が連日のように指摘、発表されて賠償請求も検討する一方で、ゴーン前会長の弁護人による保釈請求は却下されて勾留延長、取調べが続き、報道によるとゴーン前会長は起訴事実について全面否定しているといわれている。

 海外からは人質司法といわれてゴーン前会長の長期勾留に批判の声も出ているが、ゴーン前会長は起訴事実を全面否定するは、日産、三菱自からは内部調査でゴーン前会長の不正行為が次々と出てきて、ここまでくるともう公判裁判を始めて起訴事実をはっきりさせてくれというのが本音だ。

 (2)日産、三菱自にしてもゴーン前会長20年の長期CEO支配の間、ゴーン前会長がひとりでカネを集めてひとりで利益を得ていたわけでもなくて、日産も三菱自も組織として途中で事実関係を把握できる機会は十分にあったわけだから、今となって堰(せき)を切って内部調査とかでゴーン前会長の不正行為を指摘するというのもどういう企業ガバナンスなのかと不思議に思う。

 日産がゴーン前会長の逮捕を受けて残りの執行役員の中から次期会長を選ぶと表明したときに、残りの執行役員も背任同罪ないしはゴーン前会長の不正行為を結果として見過ごしてきた責任は重くその中から次期会長選びは不適切と書いたが、やはりその後次期会長選びは延期された。

 (3)しかし日産にしろ三菱自にしろ内部調査によるゴーン前会長の不正行為を次々と指摘はすれ、いまだに現執行役員の責任についてはどこからも言及がないままだ。
 おかしな話で、当初海外からはゴーン前会長逮捕は企業内権力争いの日産の仕掛けたワナという受け取り方をして反発して、ゴーン前会長在職のまま支持をしてきた。

 しかし仏ルノー社もゴーン前会長の勾留がさらに長引くのを受けて解任に向けて動き出した。これでゴーン前会長は日産、三菱自、ルノー3社体制から完全に切り離されて、あとは被告人として法廷裁判で決着をつけることになる。

 (4)東京地検特捜部は日産の内部調査、通報による司法取引でゴーン前会長の捜査、逮捕にこぎつけたといわれて、証拠能力に確証を得てのゴーン前会長の逮捕であり、長期勾留取調べ中に日産、三菱自が内部調査によるゴーン前会長の不正行為を次々とあきらかにするという筋書きは、日本の司法の独立性(independency of justice)、信頼性を揺るがしている。

 ゴーン前会長が勾留開示請求で公判裁判の前に無罪を主張するなど対応の理解に苦しむところであり、司法の独立性、信頼性が揺らいでおり、早く法廷裁判で陳述、立証して決着する必要がある。

 (5)ゴーン前会長の長期勾留はゴーン前会長が起訴事実、容疑を全面否定していることと保釈によって証拠隠滅、口裏合わせの可能性があることが考えられるからだが、検察の司法取引の思惑通りに捜査、立証が進んでいるのか、その間に日産などの内部調査によるゴーン前会長の不正行為もあきらかになって司法の独立性、信頼性が脅かされ、揺らいでいる。

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