サブカルチャーマシンガン

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最近、妹のようすがちょっとおかしいんだが。 11巻(最終巻)/松沢まり

2016-07-10 | 単行本感想









最終巻、読みました。











初期は官能の波と、ニヤニヤの恋愛要素で楽しませてくれた本作ですが
気が付けばそんな官能も有り体な恋愛要素も越えて、
もっと大きな―――
“家族愛”だったり、“友情”を描いて、描き切って終わった感触が個人的にはありました
美月や日和が困っているなら、きっと夕哉兄ちゃんが助けてくれる、いつでも支えてくれる、見守っていてくれる・・・という優しさといたわりと強さ
美月と夕哉がそういう関係になる云々というよりも、あくまで家族愛として物語は終わっていて
ある意味恋愛よりも「もっと大きなもの」を表現して終われたんじゃないかな。。って個人的には思いました
ま、夕哉が意識したり、美月がテレたり、ちょっとはそういう要素でラブコメファンを満足させてはいるんですが(笑
それでも、夕哉の「お帰り」と美月の「行ってきます」が象徴している通り
この漫画はあくまで“家族愛”の物語だったんだなあ、、、と今になって思えばそう感じますし、
またそう感じさせる最終巻だったな。って思います

そして、初期は日和が美月に(官能的要素含めて)ちょっかいかけたり、そういう相様がコミカルで面白い漫画だったと思うんですけど
最終的には、そんな二人に誰よりも深い絆が生まれて終わる―――、という
“友情”の物語でもあった・・・とも感じました
特に、どんな姿になってたとしても
必ずあなたという光を見つけ出す・・・とお互いに気持ちを確認し合うシーンは
本作に於ける屈指の名シーンに仕上がっていると思う
本当は、別れるのが寂しかった
本当は、もう会えないのが悲しかった
本当は、お兄ちゃんに優しくされて満たされる事よりもずっと―――、という
日和と美月の“友情”を深く感じる、そういう表現が際立つような内容にも仕上がっていて
これもまた官能や恋愛を越えたもっと大きなもの、確かなカタルシスを感じるようなものとして成立していると思います
きっと会いに行く、
きっと見つけ出す―――
そんな約束が果たされたエンディングは正に爽やかな気分で読み終えられるようなものでした
作品の方向性は変わったけれど、本来描こうとしてたもの、松沢まりさんの本質自体は変わってないと思った
どこまでも誠実で、どこまでも真摯で・・・不条理から始まったスタートラインでしたけど、
エンディングは何よりも正しく終わっている、、、というのが兎角素敵でしたし、
有り体な本作に対するイメージを覆すものに仕上がっていると思います
官能や背徳的な恋愛要素から始まった今作が、
気持ちの良い友情と、圧倒的に正しい家族愛の表現で終わりを迎えている
そのきれいに着地させた構成と美しいテーマの結実で終わらせた手さばきこそ本作の最も素晴らしい点であり
名作として仕上がったな。と、いちファンとして確かに思いました そして、そんな着地はある意味オルタナティブなものでもありました
あとは、ただただ知って欲しい
ただただ伝わって欲しい。
それだけですね、うん。


この漫画は1巻から(欠かさず)感想を書いて来ましたが、
1巻こそ飛び道具的な印象もあったんですけど
そこからはどんどん松沢まりさんらしい繊細で胸に来る表現が多々増えて来て
なのにも関わらず、このタイトルと色々なイメージでそれがそこまで伝わっていない
音楽で例えるならガリレオガリレイのような、とっくに進化し切ってるのに、かつてのアレやソレで語られてしまうような
そういう・・・なんていうんでしょう、ファンとしては、もどかしい複雑な気持ちがあったのも正直な話事実です
ただ、このタイトルの正しさ、というか、ちゃんと内容を表している感は全然嫌いじゃないですし
「妹ちょ。」という略称も可愛くて言いやすくて好きでした
しかし、そういう繊細な部分よりも
もっと別の部分がクローズアップされてしまった感は否めなくて
そういうメディア戦略的に損をしてしまってた作品、、、っていうのも否めない
まあ、これは無事に終了した今だからこそ書ける事なんですが(笑)。
「妹ちょ。」どころか松沢まりさんのシャープで繊細な表現自体が好きないちファンなので
そういう意味ではちゃんと本質が伝わり切らなかった、或いは伝わり切っていない現状に対して悔しく思う気持ちもあります

だから、原作を最後まで読んで欲しいんですよね
美月と夕哉の距離の縮まり方だとか、色々な変遷を経ての
この最終巻での美月の相様だとか、そういうものを感じて欲しい
すっかり夕哉の前でリラックスしたり、明るくなった主人公の美月を見て
感慨深い気持ちになって欲しい、、、って想いとか、色々とあるんです
日和の美月に対する想いの膨らみ方だとか、
そんな二人のお互いにお互いを思い遣る成長っぷりだとか
そこまで見てから判断して欲しいな。って気持ちが確かにある
まあ、それは個人的なエゴっちゃあエゴなんですけど(笑
少なくとも、あなた方の抱えているイメージや偏見の数十倍素晴らしく、面白く、そして豊かな作品ですよ。って最終巻の感想に乗じて言及しておきたいです
元々家族愛的なアプローチをところどころでしていた本作ですけど、それが最後の最後で美しく結実した印象で
その真っ当さや誠実さ、そして恋愛や官能を越えた「何か」を感じて欲しい、と切実に思います
近年、こんなに素晴らしい名作ラブコメも早々ないのでは、、、って思う位に
素晴らしいラブコメの名作でした。と断言しておきます
最後まで読んでから最初から読み返すと、
また新しく感じれる気持ちなんかもあったりして
その意味でも末長く楽しめる作品かと思います
夕哉の最高のお兄ちゃんっぷりと、日和の最高の友達っぷりと、そして、美月の最高の成長っぷりを、どうぞ味わって下さい。


あの日、不安げで仏頂面で、誰も信じてない雰囲気だった少女はもういない
それは、意地悪な生き霊と、誰よりも優しいお兄ちゃんが奪い去っていった
そして、そんな少女美月は、誰よりも真っ直ぐな成長を迎えて育って―――
みんなを笑顔に、ハッピーエンドにするぐらいの強さと素直さを得た。
そんな“美しさ”に溢れた物語をありがとうございました
誰が何と言おうと2014年で一番心に残ったアニメは「妹ちょ。」であり、
そして松沢まりさんの「最近、妹のようすがちょっとおかしいんだが。」は近代ラブコメの一つの金字塔だと確信しております
(そういえば、二人の赤ちゃん~ってセリフはアニメ版へのオマージュみたいでそれもまた良かった)
いずれにせよ、妙なイメージで語られるには、あまりにももったいない、堂々たる兄妹ラブコメの傑作かと思います
ここまで友情も家族愛も、ほのかなラブコメ模様も描き切って着地させてくれた松沢まりさんの手腕に拍手を。
日和と美月のラストシーンを含めて、語り継ぐべき、語り継がれるべき確かな名作でした。
お疲れ様でした!!













この作品を経て、
松沢まりさんが次に描き出す作品も本当に楽しみです
きっとドキドキもワクワクもクスクスもニヤニヤも内包されてるんだろうなあ・・・と思いつつ
個人的には「妹ちょ。」に対しては強い想い入れと愛情が常に存在していました
毎巻毎巻良くなっていくので、レビューを書くのも至極楽しかったし
こういうコンセプトの中で、まりさんらしさが如実になっていくのもファン的に嬉しかった
アニメ化が決まった時はこのタイトルと1巻の内容からして軽視されそうだなあ、、、って不安がありつつも、
アニメ化前にずっと(部屋の中で)祈ったりドキドキしてたり、1話が始まる時は心臓バクバクさせながらTVの前で待機したり。。
そういう経験、というか、体験ももう早々ないんじゃないかな(笑)ってくらい陶酔していたタイトルの一つでした
そこまで自分を夢中にさせてくれた本作に関してはもう感謝しかないですね
だから、こういう感想で精一杯力になろう!って思ったし
伝えたい!!って強く感じたりもしたのでした
この先何年経っても読み続けられるほど、
見所、感じどころ満載の漫画になっていると思うので
最終巻のタイミングで改めて大手振って支持させて下さい。「妹ちょ。」は永遠です!!ありがとうございました。

キャラ達が踏みだした「一歩」の行方を想像してニヤニヤする日々が始まりそうです(笑)。
それもまた、きっと楽しいかと。