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吉村拓也「リザーブランド」、山田シロ彦「彼女のホントウ。」中心ヤングジャンプ2016年34号の感想

2016-07-21 | ヤングジャンプ感想












リザーブランド/吉村拓也



これは凄く面白かった
「神様のハナリ」以来久々の読切なんですが
ガラッと方向性を変えてダークファンタジー漫画です
何が面白かったか、と言えば残虐非道、冷酷の限りを尽くされている
青年誌らしい残酷さとダークさが兎角素晴らしかった
始まりがね、主人公がいかにも勇ましくて偉大な英雄風に持ち上げられてただけに、
ただのコピー用人間、商品でしかない現実、奥さんの数度に渡る中絶、そして殺害・・・
加えて、自分の信じて来た国がろくでもない極悪国家でしかなかった、、、という凄まじい展開の数々が兎角刺激的で。
主人公は大分可哀想だったんだけど、その分ダークファンタジー的なカタルシスは十二分にあって
これ連載にしたらトップクラスに人気が出そうなくらい面白いなあ。。って個人的には感じました

また、複線の使い方も秀逸なんですよね
「憎しみの象徴」、そりゃそうなるわ!っていうオチに加えて
死ぬ間際の炎、というフレーズ、主人公が殺さずを貫いて来た前提があったからこそ
最後に思い切り首を撥ね飛ばして「死ね」と殺害するカタルシスと冷徹さ・・・等々
前半の色々な点の数々が最後に美しく線になって行く相様は見事としか言いようがなかったです

正義のヒーロー、だったはずなのに
自分がそんな戦争の、憎しみの象徴及び殺戮兵器だった、という現実
自国を信じ戦って来たなれの果てがむしろ極悪だったのは自国、という真実
罪なき相手国の兵士を傷付けて来たという仕様のない罪悪に
愛する奥さんがただの代替えでしかなかった、という残酷
そして、既に代替えされてポイされているという宣告。
何もかもが辛く、
だからこそ募る憤りや憎しみの気持ちに最大限に感情移入出来る。。という
ハナリとは真逆の“冷酷”に振り切った作劇が物凄くギャップ的にも単純に刺激性的にも面白かった
そんなこれぞ青年誌!と呼べるようなダークファンタジーに仕上がっていたと思います。

思い返せば、ハナリの前身であった「海河童」も超面白かったし、
吉村さんの読切はいつも面白いなあ。。って今回で思いました
ハナリは読切から方向転換していた部分も大きかったので、
これが連載になるとしたならば、
変に方向転換などせずこのまま、冷酷で過剰なまでのダークさを保ったまま来て欲しいですね
通常三度目のチャンスは貰いにくいものなんですが、このクオリティなら大丈夫なんじゃないかと思う。
アンケは当然入れますよ。



シンマンGP Season2 エントリー作品② 彼女のホントウ。/山田シロ彦



うわっ、こういうの物凄く好みだわ(笑
思春期感というか、素直になれない少年少女感というか・・・笑
正直ああいう素朴で、でも確かな美少女に手玉に取られてみてえ、って思ってしまった位に
感情移入してしまいましたし、新人とは思えぬ安定感と完成度があったんじゃないか、と思いました

また、いかにも純朴なテイストが漂っている作画が素晴らしいですね
味があって、優しさがあって、読みやすくて、人を選ばない良さのある絵柄だなあ、と。
扉絵の時点から惹かれてたんですが、思っていた以上に甘酸っぱく、思春期感が満載だったので
読みながら「もうっ!もうっ!」って悶えてしまった類の読切でしたね
読切として完成されている作品だと思ったので、
連載で読みたい!的な感情はそこまで強くない(これはこれで美しくまとまってる)ので、
票は・・・いや、ここまでニヤニヤとドキドキを味わってクスクスも出来た位なんで
読切向け/連載向け関わらず票を入れちゃいたいと思います
だって、好きなんだもん!って事で(笑
いや~、このレベルの新人が居て、しかも来週以降のシンマン作品も面白そうで、、、とヤンジャンの未来は明るいですね!
お世辞抜きで真剣にそう思ってしまいましたよ。逆に言えば新人らしい荒さがない、とも言えますけど
それはそれで即戦力として素晴らしいんじゃないかと。仮にGP獲れなくてもこの方は絶対連載まで辿り着けると思う。





またこの主人公である龍がいいですね~
いかにも思春期こじらせ系男子!って感じの雰囲気と言動が微笑ましく
ある意味彼がヒロインのようなものでした(?)
俺は思春期フェチっていうか、
本当に思春期が大好きなんですよ
思春期ものが大好きで仕方ないんです
だから、それを上手く形にしている、ってだけで大手を振って支持せざるを得ない、完敗なんですよね
ラブコメは女の子の可愛さばかりが注目されますけど、本当は男の子も可愛くて、微笑ましくあるべきなんですよ
そんな大切な事実をまじまじと感じましたし、伝えなきゃ!って気持ちにさせられました
また、シールが溜まって行くのも正直分かるしね(笑
男はバカだから・・・(遠い目)

簡単に騙されるし、
簡単に踊らされちゃいますからね
でも、レイちゃんだったらそれもアリかな~って思うし
単純に翻弄されちゃってる龍が可愛かったです笑
必死に抵抗している様も微笑ましい。
こういう距離感、
こういう関係性、
実にイイなあ・・・って思いながら読んでたんですが、
上京時の別れのシーンは相当胸キュンで痛みすら伴う感じでそれもまた良かったなあ。。
ああいう、青春の後悔的なニュアンス漂うシーンを仮に連載になったら、そこも表現してくれそうで
そういう意味でも期待したくなる一作なんですよね 

そして、「お届けもの」のオチでは「おいおい」って感じで思わず吹いてしまいましたし、
物凄く美しく“王道”を貫いていて正直ニヤニヤが止まりませんでした
龍くん、本当に可愛いなあ・・・って胸キュンしまくりましたね(笑
やっぱり、ラブコメは男の子も微笑ましくなくちゃ!
そんな事を改めて思わせてくれた傑作でした。現時点で暫定トップ、正直優勝も狙えるクオリティだと思いました。
ラストページの紅潮したレイちゃんも堪らなかったし、デフォルメ顔も可愛くて、全体的に秀逸な漫画だと思いました。推し。













◆かぐや様は告らせたい

思いっ切り下ネタじゃねーか!
かぐや様は天才なんだかアホなんだかよく分からないところが面白い、
そして素敵ですねえ。



◆結崎さんはなげる!

ダンベルを持ち上げる結崎さんもイイっすね・・・(笑顔)
それはそうとして読切版の下衆さが全く無くなってるのが気になる
正直ここまできれいにならなくても。。って気持ちもあります



◆もぐささんは食欲と闘う

つけ麺食べたくなってきた・・・(笑)
食欲すら誘う第二部にパワーアップしてますね
水戸さんの豪快な食べっぷりも素直で良かったです。
人間取り繕わず素の方がやっぱりイイものです。
外だと偽らなきゃ居場所さえないですからね。



◆リクドウ

王子・・・(笑)。
食事中に読むんじゃなかった。



◆元ヤン

ここまでコテコテの鹿児島人を敢えて描くセンスが凄い
全国放浪の旅に出たくなる仕上がりだ。
日常なんて碌な事ないし・・・(遠い目)
それを考えるとある意味青年誌読者の願望を叶えている漫画なのかもしれない。



◆君と100回目の恋

ズル、と一言でいえばそうなんですけど
他の人より優れてて当たり前、と言えばそうなんですけど
そこまで努力した事実はきっと他人と変わらない
そもそも努力したって必ず上手くなるとは限らない
事実センスのない所からスタートしましたからね
それを考えると、
他人とは同列に語れないとはいえ
物凄く尊い行為をしている人なのかもしれません
その心意気は認めてあげたいな、と。ラブコメ全開の雰囲気も良かった。



◆潔癖男子!青山くん

「勝てない」事と「手を抜かれる」事
どっちが腹が立つかって言われたら間違いなく後者
同情と見くびりの上で成り立った勝利は疑いの余地が残らないレベルで無価値だと思います
だからこそ、嬉しかった、対等に扱ってくれるからこそ、嬉しかった・・・
そんな財前妹の気持ちに素直に感情移入出来て良かったですね
本当は出来る子なのに、偏見で判断されるのは可哀想。
でも案外そんな想いがパワーに変わっていくんじゃないかな、とも思いました。にしても幼女描くのも上手い

い、いや、一応中学生でした。一応。













次号は、「ボクガール」の杉戸アキラさんが読切で復活だー!!
頼もしいぜヤンジャン!!!!
更に、「ねじまきカギュー」の中山敦支さんの新連載(0話)、シンマンGPはまたしても淡い恋物語らしく
こりゃ来週も絶対に楽しいに決まってる!って事で早くも来週号が待ち切れません。
特に、次号予告から最初に見て杉戸さんの絵と名前があった時には
もうそれだけでニヤニヤが止まりませんでしたからね(笑
来週も全力で感想書くのでよろしくお願いします!


そして、先日「ボクガール」の11巻が出ました
最終巻です
ボクガの感想をいつも読んで下さってた方、勿論そうじゃない方も、感想を書いたのでお時間がありましたら是非・・・!と思います。
君が選ぶ道 ボクガール 11巻(最終巻)/杉戸アキラ