陽だまりの中で
正義のグロさに吐き気がした日に (存在?)
ランクヘッドのニューアルバム「アリアル」を聴きました。
今作は前半と後半で相様がまるで違うアルバムに仕上がっています
このアルバムはCDでリリースされているんですが、ある意味レコードで出しても良かったんじゃないか?ってくらい
文字通りの“明暗”が分かれたアルバムになっているんですよね。
アルバムの中盤まではスケール感の大きいラブソングや応援歌が中心、
特にメロディとリフからして名曲感溢れる「優しくしたい人がいる」や「ユキシズク」、
そして本作の中では最もポジティブで勇敢な応援ソング「葉桜ファイター」など
所謂名曲然とした良い意味で外向けのランクヘッドが序盤から鳴っていて。
しかし、7曲目の「存在?」に差しかかってくると
途端にネガティブでダークで、人間くさい「負のランクヘッド」が牙を剥きます
頑張っても報われない、どうしようもない現実に対する訴えのような叫びが響く「存在?」から始まり
自己批判も交えながら鬱屈した感情を吐き出す「空白」の切迫感もまた凄まじい
この曲は演奏自体も雪崩のような、ゴリゴリのハードコアみたいなアレンジになっているのが余計に気持ち良いですね
頑張り切れない自分を歌いながらも絶望に途方に暮れる様を描く「うぇいうぇいうぇい」も含めて
それまでが何だったのか、というくらいこれでもか!と人間の負の心理を描き出す楽曲が後半から一気に並んでいます。
ある意味ランクヘッドの、、、いや、人間の本質のようなアルバムです
人間明るい気分の時だけではないし、
かといって暗い気分の時だけでもない
ある種はっきりと明暗を分けた事で「これが人間なんだ。」と包み隠さず主張しているかのような作品に仕上がってるな、、、と思いました
「葉桜ファイター」のようなただただ勇ましく、行くんだ!って気持ちもあって当然だし
「空白」のような本当はダメダメな自分に対して嘆きの感情を放出する気持ちもあって当然、
物凄く人間臭いアルバム、であると同時に
物凄くランクヘッドらしいアルバムでもあると思いました
“痛みを感じたからこその優しさ”を描き
“希望を感じたからこその失望”も描く
それを敢えて両極端に配置して
そんな真実と、
そんな「らしさ」を明確に暴き出す
そういう効能、、、というか、作用の強いアルバムじゃないかな。って
歯を食いしばりながら負けん気をもって突き進む前向きなポジティブさも
世界と自身に失望しながら祈りを込めた嘆きを吐き出すネガティブさも今作には詰まっている
そして、そういう抜け目のない構成に気持ち良さを感じるアルバムになっている・・・と個人的には思いました
目の前に広がっているこの現実が、自分が思い描く理想とはまるで乖離してしまっている、、、って俺の中でよく感じるので
そんな自分への歯がゆさも相俟って後半の流れにはついつい感情移入しながら聴いてしまったアルバムでした。
アルバムの中で一番好きなのは「うぇいうぇいうぇい」です
このタイトルを見た時、いかにもアルバムにありがちなお遊び曲
しかもライブでの盛り上がり重視で家で聴くには適してない曲なんじゃ・・・って不安があったんですけど
まずこのタイトルにもちゃんと意味があって、歌詞カードを読むとそれが分かる、、、って仕様になってたのに感心
更にガレージのようなささくれだったリフとアレンジ、絶望しか歌われてない詞世界、
頑張り切れない自分の虚しさや哀愁まで表現されている細やかな表現に一発で大好きになってしまいました
また、合田さんの煽りも入っていて、それと絶望的な作中観との混在によるカオティックな味わいがすっごく癖になるんですよね
歌われるのは自己批判と、(他人と比べた時との)圧倒的な敗北感、、、、、
それを常日頃感じる今日この頃だったので、この曲は特に自分の胸に強く響いてくれました
かと思ったら、頑張りたい気分の時には「葉桜ファイター」が思い切り響いてくれたり、
割とオールマイティな、どのランクが好きでも好きになれるアルバムじゃないかなあ・・・って思います
特にダークなランクがお好きな方々には後半の流れは堪らないものがあると思う
頑張ってても報われる訳では決してないし、
そこで足踏みしてしまう自分にも失望してしまう
そんな気分の時には・・・是非「アリアル」を聴いてみて下さい。
前半の痛々しくも優しく温かい音像と相俟ってきっと気持ちに強く作用してくれる(はず)。
明暗をクッキリさせた事でオリジナリティと「これが人間です。」感がよく表現されている最新の傑作。
握りしめたナイフで
切り刻みたい全部を
気が狂い切る前に
否定しないでよそんなに
否定しないでよそんなに
否定しないでよそんなに (存在?)
世の中には自分の力だけではどうしようもない事もあるし
頑張っても、頑張り続けても報われない事が多々あって
いつでもそういう事柄に立ち向かえる力があればいいんだけど
時にはそんな力すら沸かない時があって、
そういう時に、
そういう時のペーソスにしっかり応えてくれる
自分の気持ちと確かに重なって昇華してくれる・・・
そういうアルバムだとも思います
聴けば聴くほど良くなって来た、自分に馴染んで来たアルバムでもあったので
繰り返し繰り返し聴くのにも適しているアルバムです いつまでも変わっているようで変わらない、そんなタフなバンドであるランクヘッド
そんなランクの最新の衝動が詰まっているアルバム、コンセプチュアルではありますが、「らしい」新作になってるなあ。と思います
本作を引っ提げてのロング・ツアーも来月からスタート
自分も参加したいんですが、取り合えず「うぇいうぇいうぇい」の仕上がり具合が楽しみですね(笑
合田さんの煽りなど単純にメロディだけとれば盛り上がりそうな曲だけど、歌詞が地獄なので酷い相様になりそうだ笑
そんな期待も含めて秋からのランクには注目、です。