やらなければならないことがないわけではないが、と言って今日、それをしなければならないわけでもない。だから、ほったらかしにしている。今日もいい天気だ。外に出る予定がなければ朝起きがけに、習慣化しないように戒めながら、ビールを飲むこともある。そうやって自身を、家の中に閉じこめてしまうこともある。そして風呂に入る。そうしないと、変温動物のように、行動もままならない。今年はそれでも暖かいから有難い。
無理に入笠にこじつけたととられたかも知れない郷土史の一端に触れたり、万の語を連ねても尽くせない心打たれる人のことも書いた。そろそろブログをまた、入笠に戻そうと思う。、まだ前回行ってから幾日も経っていないはずなのに、何となく気になり始めている。
今日の写真は昨年の初夏に撮ったもの。この緑陰が歴代の牛のお気に入りの場所のひとつで、入牧の牛が少ないと、ここで全頭の頭数確認ができてしまうこともある。給塩のときと、そうでないときは牛への対応を変えるようにしているが、例えば給塩のときは軽トラを使わずに歩いていって笛や声で呼ぶ、その区別のまだ分からないうちはこっちの姿を見ると、ドドドッとやってくる。この写真も、「おっ、来たな。塩を持ってきたのか」といったふうに、じっとこちらに目を凝らしてを見ている。とにかく、じっと見つめてくれるのが牛の特徴で、慣れないうちは不気味にさえ感じたこともあった。
鳶(とび)色の ひとみのおくに なにごとか 悪しきをひそめ われを見る牛 ―宮沢賢治ー
いまでは何と言うか、この牛たちのおおらかで、少し滑稽にさえも見えるふうが懐かしい。今年で確か、牧場で働くようになって10年になる。そう思ってみれば、「10年ひと昔」というけれど、尊くも呆気なかった気がする。もう「another ten years」はありえないのだから、そのことを心してゆく。
前回上がったときは、冬の星座がひときわ美しかった。
大粒の 寒星闇を ととのへる ―大谷昌子― 今日の毎日新聞「季語刻々」より
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