入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

       2016年元旦

2016年01月02日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 元旦の日の出前、入笠は厚い雲に覆われていた。しかし、いつ降ったのか夜のうちに辺りは雪が薄っすらと粧い、新しい清浄な年は、薄暗い森にも、林にも、凍てついた草原にも漲り、溢れているようだった。
 日の出の写真を撮ろうか迷っていたが、あっさりこれで中断できると思った。それでどうということはなかった。迷った理由はこのブログのせいで、元旦にふさわしい八ヶ岳から昇ってくる初日の写真を、是非見たいと言われていたのだ。
 ところが小屋に戻って天気予報を見ていたら、日の出は7時少し前で、考えていたよりも大分遅いことが分かった。もっと明るくなったら、近くでそれらしい写真でも撮るつもりでいたたが、日の出までには時間的な余裕があり、かつそれまで何もすることがなかった。上には食糧らしい物を持っていってなかったため、元旦を寿ぐための酒肴やらを準備する煩わしい手間など必要なかった。
 そんなわけでじっとしていると、何か口に入れろと腹がやかましく訴えてくる。それで仕方なく、富士見側の八ヶ岳がよく見える展望台まで行ってみることにしたわけだ。
 やはり、展望台には同じことを期待してやってきた人たちの車が3,4台停まっていた。しかしそこからも、灰色の雲がほぼ完全に視界を塞いでいて、とても思い描くような光景が出現するとは思えなかった。ただ、天気予報は日の出の時間は快晴を予報していたから、その外れ方を見届けてやろうという魂胆があったかも知れない。誰も車外には出ていなかったが、何となく元旦の淑気にでも触れていたくて、車から出て目の前の雲の動きをしばらく見つめていた。
 と、突然右手眼下の落葉松の林一体を隠していた雲に、ポッと朱が染まるように滲んだ。そしてその朱色の円が、次第に色を濃くしながら拡散を初めた。大気なのか雲なのか、プリズムの効果と同じようなことが太陽の光に対して起きているようだった。朱と言えばよいのか黄金と呼べばよいのか、森は燃え出した。
 
 

 明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。年頭から腹を空かすはめになり、今年1年が危ぶまれます。何卒みなさまにおかれては、平和で実り多き年となりますよう、念じてます。元旦。
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