市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

1泊2日の親学議員連盟の政務活動で2泊3日分を請求した星野寛・県議について住民監査請求

2016-02-01 23:30:00 | 県内の税金無駄使い実態
■カラ出張を繰り返すなどして政務活動費約913万円をだまし取ったとして、詐欺と虚偽有印公文書作成・同行使の罪で在宅起訴された元兵庫県議、野々村竜太郎被告(49)の初公判が、先週、平成28年1月26日、神戸地裁(佐茂剛裁判長)で始まったことはご存知のことだとおもいます。当初、平成27年11月24日に初公判が予定されていましたが、野々村被告はこれを欠席したため、神戸地裁は今回、欠席に正当な理由がない場合などに刑事訴訟法に基づいて強制的に出廷させる「勾引」の手続きを取り、平成28年1月25日午前から身柄を拘束していました。

 「号泣議員」として海外でも広く知られる野々村被告は、1期目だった平成23〜25年度の3年間に計1684万円の政務活動費(平成24年度までは政務調査費)のうち約913万円分について、収支報告書にうその使途を記載したり、クレジットカードの利用明細書を改ざんしたりして返還を免れたとしています。

 野々村被告は、同県川西市職員などを経て平成23年の県議選(西宮市選挙区)で初当選し、平成26年7月、政活費の不正支出を追及され、泣き叫びながら否定した「号泣記者会見」で注目を浴び、同月中に議員を辞職しました。その際、平成26年度分も含め在任中の政活費計1834万円全額を返還しました。

 この事件を契機に、日本全国の議会に衝撃が走ったと見えて、新聞社の調査によれば、政務活動費の不適切な支出が明らかになった平成26年7月以降、平成27年12月末までに、少なくとも31の地方議会で計約9400万円の政務活動費が議員から返還されていたことが判明しました。次の報道を参照ください。
○2015年1月20日:朝日新聞デジタル「政務活動費、全国9400万円超返還 元兵庫県議問題後」
http://digital.asahi.com/articles/ASH1M5V6WH1MPIHB02W.html

↑10万円以上の返還があった地方議会。↑

 これを見ると群馬県議会が見当たりません。実は当会では毎年、政務活動費収支報告書をチェックしているのですが、情報が膨大過ぎるため、閲覧に必要な人員の確保が足りず、全部に目を通すことがなかなかできていません。それでも、毎年、ズサンな使途が目につきます。

 そこで、平成26年度分の政務活動費についても、昨年6月の公開以降、7月から8月にかけて内容の閲覧に着手しました。しかし、なかなか手間がかかるため、政務調査費のうち調査研究費しか、目を通すことがデキませんでした。

■目を通した収支報告書のうち、明らかに酷いと分かった事案がありました。平成26年度において群馬県監査委員をしていた星野寛・県議が、南九州への調査研究のため、議長の岩井均・県議と、須藤昭男・県議と一緒に出掛けた際にとった不可思議な行動でした。

 この件は、平成27年9月に神戸で開催されら市民オンブズマン全国大会の分科会でも報告したのですが、非常に他の参加者にとって分かりやすい事例だとして、注目していただけました。

 そのため、群馬県議会の政務活動費の実態を図るバロメーターとして、今回、この件について群馬県監査委員に対して、住民監査請求を提出することにし、本日、県庁26階北フロアにある監査委員事務局を訪れました。提出した文書は次のとおりです。

**********20160201z.pdf
             群馬県職員措置請求書
群馬県議会議員・星野寛に対する措置請求の要旨
1.請求の要旨
 平成26年度政務活動費収支報告書のRef.No.052~054によれば、群馬県議会議員星野寛が、平成26年10月23日から25日にかけて、2泊3日で、親学議員連盟による「家庭教育支援条例」についての調査を行い、調査場所「熊本県庁、鹿児島県庁」、調査の相手方「熊本県庁職員、鹿児島県議会議員、鹿児島庁職員」であったとして、調査研究費として75,200円を請求したと、議長に報告をしていることがわかる。この内訳は次のとおりである。
①JR東日本が2014年10月23日付で発行の金5,390円、2014年10月25日付で発行の金5,390円の計2件の星野寛宛乗車券類代として、それぞれ上毛高原⇔東京駅間の乗車券が証憑として添付してある。
②また、交通費・宿泊費として、2014年10月17日付群馬ヤクルト観光(前橋市高井町1-7-1、電話027-251-8960)が「親学推進議員連盟県外視察(熊本県・鹿児島県)往復航空運賃、現地新幹線代、宿泊分(1泊分)として」と題して星野寛宛に38,920円の証憑が添付してある。
③さらに、宿泊費(1泊分)上限16,500円として、折橋旅館(鹿児島県霧島市牧園町下中津川2234)の2014年10月25日付の星野寛宛「宿泊代として」と題する20,038円の証憑が添付してある。
④加えて、調査雑費(3日分)として、9,000円を会派長織田沢俊幸名義の支払い証明で支払請求してある。
 一方で、この調査行為には、次の事項が不明である。
(1)1泊目の宿泊場所や宿泊代、東京⇔熊本、鹿児島⇔東京の航空券代や、熊本⇔鹿児島の新幹線代の内訳が不明。
(2)2泊目には、高級温泉旅館に宿泊しているが、なぜそのような場所の旅館を群馬ヤクルト観光ではなく、自ら手配したのか、経緯が不明。
(3)1日目、2日目、3日目の政務活動報告の内容が不明。
 同じく平成26年度政務活動費収支報告書のRef.No.062~063によれば、星野寛と同じ時期に、須藤明男が、平成26年10月23日から24日にかけて、1泊2日で「親学議員連盟による『家庭教育支援条例』についての調査」を、同じ調査場所「熊本県庁、鹿児島県庁」、同じ調査の相手方「熊本県庁職員、鹿児島県議会議員、鹿児島庁職員」であったとして、調査研究費として44,920円を請求したと、議長に報告をしている。この内訳は次のとおりである。
①交通費・宿泊費として、2014年10月17日付群馬ヤクルト観光(前橋市高井町1-7-1、電話027-251-8960)が「親学推進議員連盟県外視察(熊本県・鹿児島県)往復航空運賃、現地新幹線代、宿泊分(1泊分)として」と題して須藤昭男宛に38,920円の証憑が添付してある。
②加えて、調査雑費(2日分)として、6,000円を会派長織田沢俊幸名義の支払い証明で支払請求してある。
 同じく平成26年度政務活動費収支報告書のRef.No.074によれば、星野寛、須藤昭男と同じ時期に、岩井均が、平成26年10月23日から24日にかけて、1泊2日で「親学議員連盟による『家庭教育支援条例』についての調査」を、同じ調査場所「熊本県庁、鹿児島県庁」、同じ調査の相手方「熊本県庁職員、鹿児島県議会議員、鹿児島庁職員」であったとして、調査研究費として38,920円を請求したと、議長に報告をしている。この内訳は、次のとおりである。
①交通費・宿泊費として、2014年10月17日付群馬ヤクルト観光(前橋市高井町1-7-1、電話027-251-8960)が「親学推進議員連盟県外視察(熊本県・鹿児島県)往復航空運賃、現地新幹線代、宿泊分(1泊分)として」と題して岩井均宛に38,920円の証憑が添付してある。
 こうしてみると、星野寛と須藤昭男と岩井均は、全員群馬ヤクルト観光が手配した旅程にもとづき、1泊2日で熊本県と鹿児島県における政務活動の一環として調査研究を行ったことがうかがえる。
 そして、1泊2日で調査研究を行ったとみられる岩井均は調査雑費を請求せず、同じく1泊2日で調査研究を行ったとみられる須藤昭男は調査雑費を2日分請求していることがわかる。
 ところが、星野寛だけが、2泊3日で調査研究を行ったことになっており、調査雑費を3日分請求している。また、1泊分、調査場所である鹿児島県で延泊しており、宿泊費として、プラス1日分の16,500円を請求している。
 3名の議員が同じ目的で同じ日程で、同じ場所を同じ調査の相手先に対して調査研究を行っている。にもかかわらず、星野寛だけが、1日調査を延長しなければならないのか、その理由が不明である。
 以上のように、星野寛は、1泊2日で調査研究を終えた後、ほかの2議員と行動をともにすべきところ、調査研究業務が終了後も、1泊2万円以上もする高級旅館に宿泊し、翌日、ゆっくり帰路についたことから、調査研究業務に従事していなかったことは明らかである。
 私的な都合で1泊し、余計に1日を費やした分の費用は、地方自治法第2条14項に基づき、議員自らが負担すべきであり、調査研究費から宿泊費や調査雑費を支出する理由は見当たらない。結果として、群馬県は、宿泊費の1日当たり上限分16,500円と調査雑費1日分3,000円の合計19,500円を損害として被ったことになる。
 よって、監査委員は、知事に対し次のように勧告するよう求める。
「同議員に対し、請求の要旨に記した行為による金額の全額を群馬県に対し返還させること」
2.請求者
 ・住所 群馬県安中市野殿980番地
  職業 会社員
  氏名 小川 賢 (自署・押印)
 ・住所 群馬県前橋市文京町一丁目15-10
  職業 自営業
  氏名 鈴木 庸 (自署・押印)

 地方自治法第242条第1項の規定により、別紙事実証明書を添え、必要な措置を請求します。
                    平成28年2月1日
 群馬県監査委員あて

(別紙)事実証明書
①平成26年度政務活動費収支報告書のRef.No.052~054
②平成26年度政務活動費収支報告書のRef.No.062~063
③平成26年度政務活動費収支報告書のRef.No.074
**********

■群馬県監査委員4名のうち、2名は県議会から議員が就任します。つまり、ドロボーがドロボーの悪行を監査するという構図の為、住民監査請求を行っても、まともに監査機能がはっきされたことは殆どありません。

 さて、今回はどのような展開になるのでしょうか。皆さまに今後の状況を逐次ご報告してまいります。

【2月2日追記】
 さっそく地元紙が記事を掲載しました。当時群馬県監査委員だった県会議員が、言い訳をしているようですが、きちんとまともな監査委員に判断をしてもらいましょう。
**********上毛新聞2016年2月2日
20160202_jomo_sinbun_seimuchosahi_futekisetu_juminkansaseikyuu.pdf
県議が不必要に延泊 政務費活用不適切
オンブズマン住民監査請求

 市民オンブズマン群馬の小川賢代表らは1日、県議会の議員連盟の県外調査の蔡、県議1人が不必要に1日延泊し、政務活動費から費用を支出したのは不適切として、1日分の宿泊費と調査雑費の返還を県議に勧告するようお止める住民監査請求書を県監査委員事務局に提出した。
 請求書によると、県議は2014年10月、2泊3日の日程で鹿児島県を訪問。同僚県議2人が1泊2日で研修を終えたものの、この県議は延泊し、宿泊費など計1万9500円を余計に費やしたとしている。
 オンブズマンの指摘に対し、県議は「研修はもともと2泊3日の日程で、都合のつかない人が1泊で帰っただけ。計画通り2泊した県議は他にもいる」とし、適正な支出だったとしている。

**********

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】
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頓挫した安中バイオマスに目を付けた東電グループと行政が急遽浮上させた前橋バイオマス発電計画の無理難題

2016-02-01 00:07:00 | 前橋Biomass発電問題・東電福一事故・東日本大震災
■現在、前橋市内の赤城山南麓で計画されている木質バイオマス発電事業計画は、当初、安中市で計画されていました。そのため、安中市に情報開示請求をしていましたが、先日、開示されたので、その情報を報告します。なお、開示された情報はこの記事の末尾に掲載してあります。


 この計画は「安中木質バイオマス発電事業計画」と呼ばれていました。計画内容は次のとおりでした。

○場  所  安中市松井田五料中河原 地区
○事業主体  (株)トーセン主体で現地法人(株式会社)を設立予定
○発電規模  2,500kw(2,000kw売電)
○木質燃料  燃料用木質チップ5.0万t/年(林地残材3.5万t、製材工場残材1.5万t)
○事 業 費  16.0億円(消費税抜き)
○補助金等  発電施設は国庫100%の無利子資金融資(事業費12.0億円、融資9億円、返済期間15年)
       チップ化施設は国庫50%の補助金(事業費4.0億円、補助金額2.0億円)
       年間売上高 約4.8億円
○工場雇用  12人程度
○稼働時期  平成27年4月(予定)
〔今後のスケジュール〕
2013年10月 建設予定地の選定、各種調査(水質、地盤排水、送電、雪、騒音、交通等)
2014年02月 工場用地の取得、現地法人の設立、設備等の協議・設計
2014年03月 受変電設備の決定、工事計画書の提出(経済産業省)
2014年04月 FIT設備認定(経済産業省)、接続契約(㈱東京電力)
2014年06月 ハード(チッパー等)施設整備、発電施設整の着手
2014年12月 チッパー施設等完成、試運転
2015年02月 発電施設等完成、試運転
2015年04月 本格稼働

【安中バイオマス発電所システムフロー(案)】
森林組合土場、土場
  ↓
チップ生産
  ↓⇔ストックヤード(チップ)
チップ乾燥施設
  ↓
発電所:バイオマス発電2,500kw
チップ使用量:約50,000t/年
  ↓排熱利用
碓氷製糸工場、農業・園芸

【安中木質バイオマス発電施設整備事業計画調書】
●事業主体:㈱安中バイオマス(仮称)
①ハード施設関連
・チッパー設備      1式   90,000(千円):国庫補助金45,000+自己資金45,000
・管理棟         1棟   35,000(千円):国庫補助金17,500+自己資金17,500
・計量装置(台貫秤)   1式   15,000(千円):国庫補助金7,500+自己資金7,500
・グラップル付ホイルローダー1台・ホイールローダ1台・リフト1台 3台 30,000(千円):国庫補助金15,000+自己資金15,000
・チップヤード      1棟   90,000(千円):国庫補助金45,000+自己資金45,000
・チップ乾燥施設     1式   90,000(千円):国庫補助金45,000+自己資金45,000
・原料貯木場       1式   50,000(千円):国庫補助金25,000+自己資金25,000
  計(国庫補助50%)=400,000(千円)
②FIT発電施設整備への無利子資金融通
・土木・建設(640㎡)(タービン棟2F 1棟、ボイラー棟1棟) 1式 120,000(千円)
・GTB設備(ボイラー・タービン他) 1式 1,000,000(千円)
・受変電設備         1式   80,000(千円)
 計(融通/15年償還)=1,200,000(千円):国庫無利子融通額900,000+自己資金300,000
 合計=1,600,000(千円):国庫無利子融通額900,000+国庫補助金200,000+自己資金500,000
●事業主体・地域協議会
③協議会支援
・コスト支援 素材(3,000/㎥)50,000㎥ 150,000(千円):国庫補助金150,000
・コスト支援 立木(3,000/㎥)50,000㎥ 150,000(千円):国庫補助金150,000
  計(国庫補助金)=300,000(千円):国庫補助金300,000
 合計=300,000(千円):国庫補助金300,000
 総計=事業費1,900,000(千円):国庫無利子融通額900,000+国庫補助金500,000+自己資金500,000

【安中木質バイオマス発電事業計画の概要】
<県の役割>
①バイオマス発電関連施設整備への支援(基金事業等)
②発電事業計画に関する指導、助言
③持続可能な林業経営施策の強化
・森林経営計画策定に関する指導・助言
・林内路網整備、搬出間伐、高性能林業機械導入の促進等
<安中市の役割> 
①発電関連施設・道路整備への支援(市単)
②発電事業実施に伴う規制・法令等の指導、助言
③排熱利用による新たな産業創出等の検討
④持続的診療経営への支援
・森林経営計画認定に係る指導・助言
・林業専用道の整備など
<森林組合等の役割>
①森林所有者との合意形成による森林経営計画の策定
②集約化施業と機械化による生産量の増大・コストの軽減
③新規雇用に確保並びに林業事業体の育成
④木質バイオマス原料の安定供給
・林地残材・未利用材…35,000ton/県森連・碓氷川・烏川・下仁田・何目・鏑側森林組合等
・製材工場チップ等…15,000ton/県産材加工協同組合及び群馬管内の製材工場
   ↓↓↓
<木質バイオマス発電>
○発電事業者:㈱安中バイオマス(仮称)
○発電規模:2,500kw発電(2,000kw売電)
○必要木質燃料:50、000ton/年
・林地残材・未利用材/35,000ton
・製材工場チップ/15,000ton
・(地域発生材受入)
  ↑↑↑
<期待される効果>
①森林資源のフル活用による地域林業の再生(未利用材の活用による収益の増加)
②新たな雇用創出(発電施設・木材生産・運送業等で増加)
③新エネルギー供給と排熱利用で新たな産業の創出
④社会的イメージアップと地域活性化への期待 など

●発電事業収支計画(6年目)
Ⅰ 売上高  2,000kw売電    4億8300万円
Ⅱ 売上原価  
 ・木質燃料仕入れ        2億7000万円
 ・製造経費           1億8500万円
Ⅲ 販売費及び一般管理費       2100万円
○営業利益〔Ⅰ-(Ⅱ+Ⅲ)〕      700万円

●木質バイオマス発電施設整備計画(単位:千円)
・発電設備等     1式    1,080,000
・土木・建物     1式     120,000
・チッパー設備    1式      90,000
・管理機       1棟      35,000
・計量装置      1式      15,000
・ホイールローダ他  3台      30,000
・チップヤード    1棟      90,000
・チップ乾燥施設   1式      90,000
・原料貯木場     1式      50,000
 合計(事業費)      1,600,000

【安中木質バイオマス発電事業計画のスケジュール】
事業主体:㈱安中バイオマス(仮称)
・用地確保(投棄まで):H25年10月~H26年2月末
・現地法人設立等(株式会社):H26年2月初~2月末
・協議・設計/メーカー:H26年2月初~3月末
・受変電設備の決定/業者:H26年2月初~3月末
・FIT設備認定/経産省:H26年3月初~4月末
・接続契約/東京電力:H26年3月初~5月末
・工事計画書/経産省:H26年2月初~5月末
・設備工事関係:補助事業の期間
 ○ハード施設整備:H26年6月初~12月末
 ・チッパー設備:同上
 ・計量装置(台貫秤):同上
 ・チップヤード:同上
 ・貯木場(コンクリート舗装):同上
 ・車両導入(2台):同上
 ・チッパー試運転:H26年12月初~12月末
 ○発電施設整備:H26年6月初~H27年3月中
 ・土木・建物:同上
 ・BGT設備(ボイラー他):同上
 ・受変電設備:同上
 ・試運転:H27年3月初~3月末
本格稼働:H27年4月~

【㈱安中バイオマス燃料供給フロー】
<安中バイオマス協議会>
・群馬県森林組合連合会
・㈱トーセン
・碓氷川森林組合
・烏川森林組合
・下仁田森林組合
・南牧森林組合
・鏑川森林組合
  ↓↓原木供給
計測・選別(台貫計測、選別機)
  ↓↓チップ加工
林地残材由来チップ(約25,000t/年)、燃料供給
  ↓↓
<㈱安中バイオマス>
発電:木質チップ使用量:約50,000t/年
バイオマス発電:2,500kw/h
     売電:2,000kw/h
  ↑↑製材端材由来チップ(約15,000ton/年)、燃料供給
・県産材加工協同組合
・群馬県内製材工場

■開示された文書を見ると、平成25年10月31日に、事業者である㈱トーセンは安中市農林課に農用地区域変更申出書を提出しています。そして、平成25年11月28日(木)13:30~16:15にかけて安中市役所本庁舎201会議室(2階)において、「農業振興地域の一部変更について」と題する審議が、浅川久志・農林課長の司会で、平成25年度第2回安中市農業振興地域整備促進協議会(会長・高林一郎)により開催され、この結果、平成25年12月25日付で、当時の岡田義弘・安中市長(産業部農林課)から、土地所有者らに対して、「農用地区域変更申出(計画変更届)の承認通知について」と題する書面が発行されました。

 この承認通知には「承認後2年以内に利目的通りに使用されなかった場合には、農用地区域に編入する」旨の尚書きが明記されており、平成27年12月25日をもって2年が経過したため、安中市松井田地区における㈱トーセンの木質バイオマス発電計画は実現不可能となりました。

■なぜ、松井田地区におけるこの木質バイオマス発電計画が実現しなかったのでしょうか。当時の申請資料によれば、計画地の北側にある「道路の改良が必要」とあります。また、地元関係者の話によれば、地権者が土地を売らなかったということです。

 この㈱トーセンのバイオマス発電計画は、碓氷川森林組合の代表理事である上原又樹(うえはら・またじ)組合長を通じて動き出しましたが、用地の接続道路(農道)が狭いことや騒音面で、一部に反対の声があったそうです。そのため、解決に時間がかかるため、㈱トーセンは、この計画で立ち上げようとした㈱安中バイオマス(仮称)をそのまま前橋市における木質バイオマス発電計画に流用したのでした。

■一方、当時の新聞報道によれば、群馬県は一旦補助金の支出を決定したことがわかります。

**********日本工業経済新聞社(群馬)2014年2月21日
【群馬】安中市に木質バイオマス発電施設建設
 安中市松井田町五料地内で(仮称)碓氷木質バイオマス発電事業が計画されている。未利用木材の利用促進や再生可能エネルギー導入促進のため、木質バイオマス加工流通施設やバイオマス発電施設を建設する。木材製材などを行うトーセン(栃木県矢板市)が主体で現地法人となる株式会社を設立し、その株式会社が事業を行う。県では2月補正予算案に関連事業費4億円を計上し、加工流通施設整備や木質燃料の安定確保を支援する。
 建設地は、一級河川碓氷川を挟んだ碓氷製糸工場の対岸1・1ha。4億円を投入して木質バイオマス加工流通施設を整備するほか、12億円かけて発電施設を建設する。県では、林野庁の「森林整備加速化・林業再生基金事業」を活用して、2月補正予算案で加工流通施設整備費の50%にあたる2億円を補助する。これ以外に、発電施設の稼働初年度から安定的な燃料の供給を実現するため、燃料用チップの事前生産経費などに対して1億9500万円、燃料用チップ原料木材の安定供給などについて検討する協議会の運営経費などに対して500万円をそれぞれ補助する。発電施設はFIT(固定価格買い取り制度)により採算がとれるという考えから、整備費の補助は認められていない。
 (仮称)碓氷木質バイオマス発電事業計画をめぐっては、昨年10月に建設予定地の選定、11月には地権者説明会、ことし1月には用地測量のほか水質や地盤、排水、送電、雪、騒音、交通などの各種調査を実施している。今月に工場用地を取得するとともに現地法人の設立、設備などの協議・設計に着手する。その後、3月に受変電設備の決定や経済産業省へ工事計画書を提出する。4月に経産省からFIT設備認定を受け、東京電力と接続契約を結ぶ。6月から加工流通施設および発電施設に工事着手することとなりそうだ。加工流通施設は2015年3月、発電施設は16年2月の完成を見込み、同年4月の稼働開始を目指す。
 発電規模は一般家庭約4000軒分にあたる2500kW。このうち2000kWは売電する。年間売上高は約5億1000万円を見込み、12人程度を工場で雇用する計画だ。
 年間に必要とする燃料用木質チップは5万tと膨大で、林地残材4万5000t、製材工場残材5000tをあてる。県林業振興課は「5万tもの木質燃料を集めるのは大変。建築資材の不適格材だけではまかないきれない」と話しており、安定調達コスト支援費として1億9500万円を補助、各種手続きや加工流通施設整備と並行して燃料を確保していく。どのように安定して燃料を確保するかを話し合う協議会も設立し運営費500万円を補助する。協議会は森林組合や素材生産業者を中心に構成し、県や周辺市町村がオブザーバーとして参加する見通しだ。毎年5万tの材料調達に向けて協議会で検討を重ねていく。
事業者 群馬県林業振興課
見出し 安中市に木質バイオマス発電施設建設
掲載 2014年2月22日 群馬建設新聞

**********毎日新聞 2014年03月06日 地方版
木質バイオマス:協議会設立 発電所安定供給検討--安中/群馬
 安中市松井田町で、民間の木質バイオマス発電所の建設が計画されており、3日には燃料用木質チップの安定供給について検討する「松井田バイオマス協議会」が設立された。県も今年度2月補正予算案で4億円を計上して事業を後押ししており、2016年4月の稼働に向けた動きが本格化している。
 県によると、木材製材会社「トーセン」(栃木県矢板市)が主に出資して発電所を運営する株式会社を設立し、15年3月には木質チップ加工施設が稼働する予定。発電規模は毎時2500キロワットで、このうち2000キロワットを固定価格買い取り制度(FIT)を利用して東京電力に売電することで、年5億1000万円の売り上げを見込む。
 一方、課題は木材チップの原料となる未利用材の安定供給だ。発電規模を維持するために必要な木材チップは年5万トンで、4万5000トンを未利用材でまかなう予定だが、運搬費などの燃料調達コストがかさむため、県の試算では発電所の黒字化は早くとも単年度で7年目、累積では10年目になる見通しだ。
 県林業振興課は「収支の面だけで見れば難しい事業には違いないが、これまで無駄になっていた未利用材を活用し、林業振興につなげたい」としている。
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■このように、採算面では非常に困難な事業でしたが、㈱安中バイオマス(仮称)が安中市松井田での事業計画をあきらめたにもかかわらず、なぜ、前橋市で再び息を吹き返したのでしょうか。それは、パートナーに東電のグループ会社である関電工が名乗りを上げたからです。

 東電の後ろ盾が得られれば、放射能汚染木くずを燃料として受け入れることができ、東電から多額の処理費を得ることも可能です。

 ㈱前橋バイオマスの商業登記簿を見ると、平成26年2月28日に㈱松井田バイオマスとして設立され、平成26年10月27日に商号を㈱前橋バイオマスに変更し、同10月30日に登記したことがわかります。
※㈱前橋バイオマスの履歴事項全部証明書→ scan0072.jpg

 このことから、平成26年秋までに、安中市松井田地区における木質バイオマス発電計画の実現が頓挫したことが確定的になった段階で、前橋市にある電力中央研究所の土地に目をつけ、放射能汚染木くずの受け入れに積極的な前橋市長の後押しもあり、赤城山南麓での事業計画にシフトしたものと見られます。

■それにしても、不思議なのは、チップ化施設の建設費が、トータル4億円で、当初はその50%の2億円を国庫補助金で賄う計画でした。ところが、新聞記事が掲載された平成26年春には、県からの補助金が4億円も手当てされ、さらに、前橋バイオマス発電計画では、昨年10月に県議会が4億8000円(うち県の補助金が8000万円)の支出を決めたように、補助金の金額がどんどん増えていることです。一方、その補助金の支出根拠は全く不透明です。

 安中バイオマス発電計画では、必要木質燃料が年間5万トン(うち林地残材・未利用材が3.5万トン、製材工場チップが1.5万トン)で、発電出力は2,500kwでした。一方、前橋バイオマス発電計画では、間伐材等を年間8万トン利用して、発電出力が6,700kwとなっており、どうも辻褄が合いません。

 関電工の説明では、チップ化施設の建設費の50%を4.8億円の補助金で賄うため、チップ化施設の建設費は9.6億円ということになります。これも、安中バイオマス発電計画ではチップ化施設の建設費は4億円だったことから、なぜ2.4倍も建設費が増加したのか、理解に苦しみます。

 これでは、初めにバイオマス発電ありきの計画と見られても仕方がありません。

 引き続き、前橋バイオマス発電計画の不可思議な点に注目していきたいと思います。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

※安中市農林課によって開示された情報
0 行政文書開示に関わる安中市からの通知一式
20151227sssmicocixjss.pdf
20160120gzdvam.pdf
20160120gzdvbjm.pdf

1 安中木質バイオマス発電事業計画について
20160120gzdvpmn.pdf
20160120gzdvps.pdf

2 農用地区域変更申出書(計画変更届)
20160120gzdvq.pdf

3 農用地区域変更申出書(計画変更届)(起案用紙)
20160120gzdvr.pdf

4 農用地区域変更申出 受付簿
20160120gzdvs.pdf

5 農用地区域変更申出(計画変更届)の承認通知について
20160120gzdvt.pdf

6 平成25年度第2回安中市農業振興地域整備促進協議会の結果報告及び市長宛答申について(起案用紙)
20160120gzdvu.pdf

7 第2回安中市農業振興地域整備促進協議会会議(結果)
20160120gzdvv.pdf

8 平成25年安中市農業振興地域整備計画変更審議書(結果)
20160120gzdvw.pdf

9 平成25年度第2回安中市農業振興地域整備促進協議会議事録
20160120gzdvx.pdf

10 安中市農業振興地域整備促進協議会の審議結果について(答申)
20160120gzdvpo.pdf
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