■行政のムダや横暴を無くすことを活動の柱の一つに掲げる市民オンブズマン群馬として、常に意識していることのひとつに、「パーキンソンの法則」があります。この法則は、1958年に、英国の歴史学者・政治学者シリル・ノースコート・パーキンソンがその著作「パーキンソンの法則:進歩の追求」の中で提唱した法則のことで、「役人の数は、仕事の量とは無関係に増え続ける」というものです。具体的には、第1法則「仕事の量は、完成のために与えられた時間をすべて満たすまで膨張する」、第2法則「支出の額は、収入の額に達するまで膨張する」から構成されています。
当会でも長年に亘り、「役所」という民間人のジョーシキを遥かに逸脱した組織の問題点を見つめて来ました。そのため、上記のパーキンソンの法則ほど明瞭ではありませんが、次の傾向を示しておきたいと思います。
「役人の出世は、その能力よりも、悪事に手を染めた経験の有無で左右される」
つまり、役所の中で不祥事件が起きたとき、それに関与していても捜査機関の事情聴取に対して、真実を喋らなかった職員ほど、市役所の人事権を持つトップによって“信頼”される傾向にあるのです。
安中市における51億円巨額詐欺横領事件でも、事件にかかわった関係職員はいずれもクビにならず、部長級で退職する者がほとんどで、高額な退職金や手厚い再雇用制度など、民間では想像できないほどの厚遇を受けているのが実情です。
■さて前置きはそのくらいにしておき、51億円による103年ローンを市民に押し付けている安中市と並び、役所での悪しき行状ぶりがとかく話題となっている渋川市で、最近話題となっている情報をご紹介しましょう。
群馬県渋川市は、有害スラグ問題や廃コンクリート瓦礫不法投棄問題など、行政内で不審な対応が話題となっていることで知られていますが、特に前副市長が昨年2月逮捕されたことは渋川市の体質を象徴的に表すものと言えます。
この事件は、市の発注した電気設備工事で業者に入札情報を漏らしたとして官製談合防止法違反で当時の副市長が逮捕され、有罪判決が確定したもので、市民の間でも強烈な記憶として残っています。この副市長は解任されましたが、任命した市長の責任や空席となっている副市長ポストはどうなっているのでしょうか?
■そうした最中、2月24日付の地元紙で次の記事が報じられました。
**********2016年2月24日上毛新聞2016n0226ass.pdf
空席1年続く渋川市副市長
企画部長で調整
渋川市の阿久津貞司市長は23日、空席となっている副市長の人事案件を、1日開会予定の市議会3月定例会に提出する方針を明らかにした。具体的な名前は後日としたが、市職員から登用する意向で、田中猛夫企画部長(60)で最終調整しているもようだ。
昨年2月に前副市長が完成談合容疑で逮捕、解職されて以降、ナンバー2不在の状態が続いていた。少子高齢化、厳しい財政状況など市政の課題が山積する中、トップの市長を支える人材が必要との声が上がっていた。
田中氏は旧北橘村役場から合併に伴い渋川市職員となり、法制管理課長、行政課長などを経て2013年4月から現職。病院再編統合や市南部開発などを担当してきた。
**********
↑渋川市副市長逮捕の報道画面。↑
1年前に、当時の副市長が官製談合防止法違反で逮捕、解職されているだけに、後任には市政に明るいだけでなく、清廉・廉潔な人物が望まれるところです。現在、最終調整中とされる田中猛夫企画部長とはどのような人物なのでしょうか?
実は気になることがあります。田中猛夫企画部長には、北橘運動場を巡ってある疑惑が取り沙汰されているからです。ちなみに、渋川市の北橘運動場については、疑惑の多い運動場として、当ブログで何回か取り上げたことがあります。次のブログ記事を参考にしてください。
○2015年11月22日:大同スラグ問題を斬る!・・・渋川市の対応「ここが変だよ」番外編その4↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1810.html
○2015年10月29日:大同スラグ問題を斬る!・・・渋川市の対応「ここが変だよ」番外編その3↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1779.html
○2015年10月11日:大同スラグ問題を斬る!・・・渋川市の対応「ここが変だよ」番外編その1↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1755.html
■渋川市に在住する当会会員にもたらされた情報によると、この田中猛夫企画部長の所有する土地が、北橘運動場の造成のため渋川市に買い上げられた、という事実のあることがわかりました。次に示す当該土地に関する謄本をご覧下さい。
clnol.pdf
↑問題土地の登記簿謄本。↑
上記の謄本の下から2つ目の欄をご覧下さい。次のとおり、記載されています。
2 所有権移転 平成25年5月2日 原因 平成13年9月25日相続
所有者 田中猛夫
代位者 渋川市
となっていることが分かります。
■驚くのは、上記の謄本の一番下の欄です。2で所有権移転された土地が、同じ日に渋川市に所有権が移転されていることが分かります。
3 所有権移転 平成25年5月2日 原因 平成25年3月22日売買
所有者 渋川市
■これは一体どういうことなのでしょうか?この土地が田中猛夫企画部長の所有する畑地だとして登記されたのが、平成13年9月13日相続後、12年あまり経過した平成25年5月2日となっています。しかも渋川市が、所有者の田中氏に代わって嘱託登記をしています。
登記簿上は、田中氏が所有した日が平成25年5月2日でその日のうちに渋川市の土地になっています。この土地について、きちんと農地転用許可手続きが行われ、相続手続きが行われ、関係する固定資産税、都市計画税、相続税などは収められてきているのでしょうか?
もう一つ疑問があります。新聞報道によると2013年(平成25年)4月から田中氏は企画部長になっていますが、所有権を移転したのが平成25年5月2日となっています。
一方、この土地の売買が成立した日は、平成25年3月22日となっています。
確かに体裁上は、部長就任直前の3月下旬に売買されたことになっています。しかし、3月後半と言えば、人事は既に内定して、本人にも内示が出ているのが通例です。したがって、田中氏が企画部長に就任することが決定してからの、実に不可思議な土地売買となっていることが、この謄本から窺い知ることができます。
また、渋川市は日付を遡るなど、日常茶飯事な役所なのだそうです。この件では、一昨年亡くなった旧赤城村に住んでいた当会会員の方の土地が、いつのまにか、登記簿が改ざんされて、もともとの位置から消滅させられた経緯について、当会関係者が情報公開を渋川市役所に求めた際、渋川市役所の実に不誠実な対応からも明らかです。
■一般的に、役所が行う登記手続きは、嘱託登記と呼ばれて、通常の登記手続きにくらべると非常にズサンな書類でも法務局で受け付けてくれるのです。安中市土地開発公社を巡る巨額詐欺横領事件でも、元職員タゴが公共工事を巡り土地買収の過程で、好き放題に土地ころがしをやっていましたが、その際も、ズサンな嘱託登記を最大限、活用していました。
このことを裏付けるように、昔から役所勤めをしている人の土地所有面積が、非常に広大になる傾向が取りざたされています。このことは、嘱託登記の名のもとに、役所が、勝手に土地の登記を行えることが背景にあると思われます。
■今回の渋川市の運動場計画を巡っては、当初、7町歩の広さの土地に400メートル陸上競技用トラックを備えた本格的な運動場となるはずでした。ところが、その後計画が変更され、5町歩の広さで300メートル陸上トラックに減変更となりました。
この変更について、「旧北橘村役場出身の田中氏が影響を与えたのではないか?」というふうに、地元の住民の皆さんは見ているそうです。
なぜなら、地域住民が「300メートル陸上トラックなどどこにもない。400メートルでなければ建設する意味がない」として、スポーツ愛好家の若者を中心に約2000名の署名嘆願を集めて、役所に提出し、詰め寄っても、頑として渋川市は受け付けなかった経緯があったことを、聞き及んでいるからです。
その減変更になった土地ですが、田中氏の所有する土地は事業計画地の上端の一番端にあるにも関わらず、土地選考に最後まで残り、売買に至りました。
旧北橘村役場出身であり、北橘運動場の建設に計画段階から深く関わっているとみられる人物ですので、運動場の規模が減変更される中、どのように端にある自らの所有地を、渋川市との売買に絡めることに及んだのか、その背景や過程について、当会はもとより渋川市民として、非常に興味が沸いてきてしまうところです。
もちろん運動場は渋川市体育課の管轄です。しかしこの運動場の一部は、行政情報を全て知りうる立場にある旧北橘村役場出身の幹部職員として、この運動場の建設計画段階から深く関わり、今回副市長候補にまで推挙される人物が所有していた土地です。田中氏には、こうした疑問点について、副市長候補人事の最終調整の段階にあるこの時期に、きちんと説明責任を果たしていただかなければなりません。
渋川市政に多大な影響力を持ち得る、このような人物が、逮捕・有罪判決が確定した飯塚前副市長の後任候補であることは、はたして妥当なのでしょうか?それとも、こうしたグレーな部分を持った職員を副市長として、自分の片腕に起用するのは、任命者である現市長の好みの表れなのでしょうか?
■副市長を選任する前に、前副市長の任命責任を現市長にとっていただきたいと思うのは、渋川市民の皆さんとして当然のことです。生ぬるい危険スラグ対策の陣頭指揮を取る渋川市長の姿勢を見れば見るほど、今後も市民目線からほど遠いやり方しかとろうとしないのではないか、という懸念が膨らんできます。
前・副市長の不祥事件の再発防止どころか、再び疑問だらけの人物が後任候補者になっているという現実を目の当たりにして、渋川市民の心配は、癒えるどころか、益々増大しているのです。
【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】
当会でも長年に亘り、「役所」という民間人のジョーシキを遥かに逸脱した組織の問題点を見つめて来ました。そのため、上記のパーキンソンの法則ほど明瞭ではありませんが、次の傾向を示しておきたいと思います。
「役人の出世は、その能力よりも、悪事に手を染めた経験の有無で左右される」
つまり、役所の中で不祥事件が起きたとき、それに関与していても捜査機関の事情聴取に対して、真実を喋らなかった職員ほど、市役所の人事権を持つトップによって“信頼”される傾向にあるのです。
安中市における51億円巨額詐欺横領事件でも、事件にかかわった関係職員はいずれもクビにならず、部長級で退職する者がほとんどで、高額な退職金や手厚い再雇用制度など、民間では想像できないほどの厚遇を受けているのが実情です。
■さて前置きはそのくらいにしておき、51億円による103年ローンを市民に押し付けている安中市と並び、役所での悪しき行状ぶりがとかく話題となっている渋川市で、最近話題となっている情報をご紹介しましょう。
群馬県渋川市は、有害スラグ問題や廃コンクリート瓦礫不法投棄問題など、行政内で不審な対応が話題となっていることで知られていますが、特に前副市長が昨年2月逮捕されたことは渋川市の体質を象徴的に表すものと言えます。
この事件は、市の発注した電気設備工事で業者に入札情報を漏らしたとして官製談合防止法違反で当時の副市長が逮捕され、有罪判決が確定したもので、市民の間でも強烈な記憶として残っています。この副市長は解任されましたが、任命した市長の責任や空席となっている副市長ポストはどうなっているのでしょうか?
■そうした最中、2月24日付の地元紙で次の記事が報じられました。
**********2016年2月24日上毛新聞2016n0226ass.pdf
空席1年続く渋川市副市長
企画部長で調整
渋川市の阿久津貞司市長は23日、空席となっている副市長の人事案件を、1日開会予定の市議会3月定例会に提出する方針を明らかにした。具体的な名前は後日としたが、市職員から登用する意向で、田中猛夫企画部長(60)で最終調整しているもようだ。
昨年2月に前副市長が完成談合容疑で逮捕、解職されて以降、ナンバー2不在の状態が続いていた。少子高齢化、厳しい財政状況など市政の課題が山積する中、トップの市長を支える人材が必要との声が上がっていた。
田中氏は旧北橘村役場から合併に伴い渋川市職員となり、法制管理課長、行政課長などを経て2013年4月から現職。病院再編統合や市南部開発などを担当してきた。
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↑渋川市副市長逮捕の報道画面。↑
1年前に、当時の副市長が官製談合防止法違反で逮捕、解職されているだけに、後任には市政に明るいだけでなく、清廉・廉潔な人物が望まれるところです。現在、最終調整中とされる田中猛夫企画部長とはどのような人物なのでしょうか?
実は気になることがあります。田中猛夫企画部長には、北橘運動場を巡ってある疑惑が取り沙汰されているからです。ちなみに、渋川市の北橘運動場については、疑惑の多い運動場として、当ブログで何回か取り上げたことがあります。次のブログ記事を参考にしてください。
○2015年11月22日:大同スラグ問題を斬る!・・・渋川市の対応「ここが変だよ」番外編その4↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1810.html
○2015年10月29日:大同スラグ問題を斬る!・・・渋川市の対応「ここが変だよ」番外編その3↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1779.html
○2015年10月11日:大同スラグ問題を斬る!・・・渋川市の対応「ここが変だよ」番外編その1↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1755.html
■渋川市に在住する当会会員にもたらされた情報によると、この田中猛夫企画部長の所有する土地が、北橘運動場の造成のため渋川市に買い上げられた、という事実のあることがわかりました。次に示す当該土地に関する謄本をご覧下さい。
clnol.pdf
↑問題土地の登記簿謄本。↑
上記の謄本の下から2つ目の欄をご覧下さい。次のとおり、記載されています。
2 所有権移転 平成25年5月2日 原因 平成13年9月25日相続
所有者 田中猛夫
代位者 渋川市
となっていることが分かります。
■驚くのは、上記の謄本の一番下の欄です。2で所有権移転された土地が、同じ日に渋川市に所有権が移転されていることが分かります。
3 所有権移転 平成25年5月2日 原因 平成25年3月22日売買
所有者 渋川市
■これは一体どういうことなのでしょうか?この土地が田中猛夫企画部長の所有する畑地だとして登記されたのが、平成13年9月13日相続後、12年あまり経過した平成25年5月2日となっています。しかも渋川市が、所有者の田中氏に代わって嘱託登記をしています。
登記簿上は、田中氏が所有した日が平成25年5月2日でその日のうちに渋川市の土地になっています。この土地について、きちんと農地転用許可手続きが行われ、相続手続きが行われ、関係する固定資産税、都市計画税、相続税などは収められてきているのでしょうか?
もう一つ疑問があります。新聞報道によると2013年(平成25年)4月から田中氏は企画部長になっていますが、所有権を移転したのが平成25年5月2日となっています。
一方、この土地の売買が成立した日は、平成25年3月22日となっています。
確かに体裁上は、部長就任直前の3月下旬に売買されたことになっています。しかし、3月後半と言えば、人事は既に内定して、本人にも内示が出ているのが通例です。したがって、田中氏が企画部長に就任することが決定してからの、実に不可思議な土地売買となっていることが、この謄本から窺い知ることができます。
また、渋川市は日付を遡るなど、日常茶飯事な役所なのだそうです。この件では、一昨年亡くなった旧赤城村に住んでいた当会会員の方の土地が、いつのまにか、登記簿が改ざんされて、もともとの位置から消滅させられた経緯について、当会関係者が情報公開を渋川市役所に求めた際、渋川市役所の実に不誠実な対応からも明らかです。
■一般的に、役所が行う登記手続きは、嘱託登記と呼ばれて、通常の登記手続きにくらべると非常にズサンな書類でも法務局で受け付けてくれるのです。安中市土地開発公社を巡る巨額詐欺横領事件でも、元職員タゴが公共工事を巡り土地買収の過程で、好き放題に土地ころがしをやっていましたが、その際も、ズサンな嘱託登記を最大限、活用していました。
このことを裏付けるように、昔から役所勤めをしている人の土地所有面積が、非常に広大になる傾向が取りざたされています。このことは、嘱託登記の名のもとに、役所が、勝手に土地の登記を行えることが背景にあると思われます。
■今回の渋川市の運動場計画を巡っては、当初、7町歩の広さの土地に400メートル陸上競技用トラックを備えた本格的な運動場となるはずでした。ところが、その後計画が変更され、5町歩の広さで300メートル陸上トラックに減変更となりました。
この変更について、「旧北橘村役場出身の田中氏が影響を与えたのではないか?」というふうに、地元の住民の皆さんは見ているそうです。
なぜなら、地域住民が「300メートル陸上トラックなどどこにもない。400メートルでなければ建設する意味がない」として、スポーツ愛好家の若者を中心に約2000名の署名嘆願を集めて、役所に提出し、詰め寄っても、頑として渋川市は受け付けなかった経緯があったことを、聞き及んでいるからです。
その減変更になった土地ですが、田中氏の所有する土地は事業計画地の上端の一番端にあるにも関わらず、土地選考に最後まで残り、売買に至りました。
旧北橘村役場出身であり、北橘運動場の建設に計画段階から深く関わっているとみられる人物ですので、運動場の規模が減変更される中、どのように端にある自らの所有地を、渋川市との売買に絡めることに及んだのか、その背景や過程について、当会はもとより渋川市民として、非常に興味が沸いてきてしまうところです。
もちろん運動場は渋川市体育課の管轄です。しかしこの運動場の一部は、行政情報を全て知りうる立場にある旧北橘村役場出身の幹部職員として、この運動場の建設計画段階から深く関わり、今回副市長候補にまで推挙される人物が所有していた土地です。田中氏には、こうした疑問点について、副市長候補人事の最終調整の段階にあるこの時期に、きちんと説明責任を果たしていただかなければなりません。
渋川市政に多大な影響力を持ち得る、このような人物が、逮捕・有罪判決が確定した飯塚前副市長の後任候補であることは、はたして妥当なのでしょうか?それとも、こうしたグレーな部分を持った職員を副市長として、自分の片腕に起用するのは、任命者である現市長の好みの表れなのでしょうか?
■副市長を選任する前に、前副市長の任命責任を現市長にとっていただきたいと思うのは、渋川市民の皆さんとして当然のことです。生ぬるい危険スラグ対策の陣頭指揮を取る渋川市長の姿勢を見れば見るほど、今後も市民目線からほど遠いやり方しかとろうとしないのではないか、という懸念が膨らんできます。
前・副市長の不祥事件の再発防止どころか、再び疑問だらけの人物が後任候補者になっているという現実を目の当たりにして、渋川市民の心配は、癒えるどころか、益々増大しているのです。
【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】