福井のむかし話/福井のむかし話研究会編/日本標準/1977年
昔話のお坊さんは、主人公を盛り立ててくれる存在ですが、お坊さんが主役の話。
用事ででかけた坊さんが、日が暮れ一夜の宿をもとめた山の中の家。
はじめはうんといわなかったが、なんとか頼み込んで泊めてもらうことに。その家のおばばは、「約束を守るなら」と、泊めてもらうことができたが、奥の座敷はのぞかないようにいって、奥の座敷へ。
真夜中になって、奥の座敷からポキン、ガリガリ、ポキン、ガリガリと変な音がするので、我慢できず奥の座敷をのぞきこんだお坊さんは、おばばが髪の毛を振り乱し、耳までさけたようま口で、人間の手や足を食べているのをみて、一目散に逃げだします。しかし、逃げ出すとき、戸のしきいにつまづいて、ガタンと音を出したので、人食いばばあに見つかってしまいます。逃げる坊さんが、もう少しでつかまえられそうになり、「ナミアブダブツ、ナミアブダブツ、ナミアブダブツ・・・」と、となえると、ふしぎなことに、人食いばばあの姿が消えてしまっていた。
坊さんが、仏さんのお力で、助かることができたという。