広島のむかし話/広島県小学校図書館協議会編/日本標準/1974年
力持ち 助友の ほのぼのとした話。
・ある年、大雨が降り続き、川下で家が流れそうになったとき、助友が、がんじょうな戸板をもってきて、川の水をせきとめると、水を川上におしあげ、家が流れることを防いだ。
・助友の住んでいる村に、寺の釣り鐘をはこんできた一行が、その日、宿をとることになり、いろんな道具が盗まれないようにかたずけたが、さすがに釣り鐘は、盗まれないだろうと、広場に残した。この一行を驚かしてやろうと、助友は、釣り鐘を 広場のそばにあったさがり松の枝へ、その釣り鐘を かけておいた。
朝になって、広場においた釣り鐘が見つからず、大騒ぎになると、助友がゆっくりやってきて、釣り鐘を松から降ろすと、すたすた帰っていった。
・助友のことを伝え聞いた、九州の力持ちが、力比べにやってきたが、助友が、道の真ん中でドスンドシンとしこを踏むと、ひざまで土の中へめりこんだので、九州の力持ちは、とてもかなわないと、逃げかえっていった。
・子どもから、「草取りをして、おじさんにまけたら、家の手伝いをする。おじさんが負けたら薪をいっぱいつくっておくれ。」といわれた助友が、草取りの競争をはじめますが、草取りには力の出しようがなく、約束にしたがって、薪を作ることになった。助友は、うら山へ行き、大きな枯れ木を一本引き抜くと、たちまち、いっぱい薪を作ってかえってきました。よろこんだのは子どもたちでした。
とんでもない力持ちではなく、ほどほどの力持ちというのが、うれしい話。