くつやのドラテフカ/千びきのうさぎと牧童/ポラジンスカ・文 内田莉莎子・訳/岩波書店/1972年初版
「くつやのドラテフカ」は、ポーランドの現代作家ポラジンスカ(1888-1971)の創作。
前段は、ひどく貧乏なくつやのドラテフカが、アリ、ミツバツを助け、野がもにはパンをごちそうします。
後段は、ドラテフカが、まほうつかいに塔にとじこめられたお姫さまを助け出すために、アリ、ミツバチ、野がもの助けをかりて、魔法つかいがだす難題をみごとに解決し、おひめさまと結婚します。
ぼろぼろのシャツ、ぼろぼろの皮ズボン、かたくなったパンの耳しかはいっていない袋だけというひどい貧乏なドラテフカが、最後にお姫さまと結婚するという対照が生きています。
前段と後段の三つが対応していて、主人公がしあわせになるという結末は昔話のパターン。現代の作家が書いていますが、昔話のイメージが大切にされています。
外国には、現在進行形で終わる話もみられますが、この話も「いまでもしあわせにくらしています」と現在進行形で終わっています。
登場人物がセリフをいうシーンが多くを占めている話では、どうしても語りで表現することが難しく感じます。