愛媛のむかし話/愛媛県教育研究協議会国語委員会編/日本標準/1975年
貝やヒジキ、ワカメをとって暮らしていたおとらばあさん。
きょうも海へ行くと、おおきな岩の上に、今まで見たこともない大きな大きなタコが寝ていた。おとらさんよろこんで、タコをかごにいれようと思ったが、とてもはいりきらん。それで足一本だけでもと、鎌で切って町へ売りにいくと、いつもの二倍のお金をもうけた。
つぎの日も、タコのおった岩にいくと、やっぱりタコはねとった。おとらさん、そろっと二本目の足を切って、また町へ売りにいった。
つぎの日も、つぎの日もタコの足を切り取って、とうとう八日目に、八本目の足になったとき、タコはぐいとおきて、「この足はおまえにやれん」と、八本目の足でおとらさんをぐるぐる巻きにして、海へ引きずり込んでしまった。それでタコが寝ていた岩を「おとら岩」というようになったんじゃと。
過ぎたるは猶及ばざるが如しか?