エルシー・ピドック、ゆめでなわとびをする/エリナー・ファージョン・作 シャーロット・ヴォーク・絵 石井 桃子・訳/岩波書店/2004年
三日月の晩、ケーバーン山でなわとびをするというしきたりをつくったのはだれかということが忘れられ何十年か経たちました。
荘園に住む領主は、次々に入れかわり、村もかわっていきます。
古い家族は死にたえ、新しい家族がやってきました。遠方にひっこししていくものたちもいました。
新しい領主は、山道をふさぎ、村人たちの通行権を取り消し、あちこちの共有地を出入り禁止にします。
そして、地代をあげ、村人ががまんできないほどの税をおしつけました。
さらにケーバーン山の頂上全部を柵で囲い、だれも山の上を通さない計画をたて、工場を建てるといいだします。
村人たちは、領主にひとつの提案をします。これまでに、そこでなわとびをしたものに、一人残らずもういちど三日月の晩、順番になわとびをさせるというのです。
そのなわとびがおわったら、工場をたてさせるというのです。
領主は「やつら、折れて出たな!」とあざわらい、なわとび大会を開くことに同意します。
村中のよちよちあるきの子から、おとなになった娘も、若い母親も、中年のおっかさんもぞくぞくとケーバーン山にあつまります。
村中のひとがとびおわったとき、領主は工場建設のためのレンガを据えようとします。
そのとき一人の老女が進み出ます。109歳という老婆が、子どものころケーバーン山でなわとびをしたというのです。
約束は”一人残らず”ということでした。
「エルシー・ピドック! エルシー・ピドック!」人々のあいだに、ささやきが走ります。ケーバーン山でなわとびをするというしきたりをつくったのは伝説となったエルシー・ピドックでした。
エルシー・ピドックがとびはじめます。一時間、二時間、三時間がたち、朝がやってきてもとんでいます。
「時間ぎれだ!」とさけぶ領主に、「わたしが、とびおえたとき、レンガを据えなされ。」とエルシー・ピドックは、とびつづけます。
この村の子はだれもがケーバーン山でなわとびをしてきたのです。その場所をまもるためとびつづけるエルシー・ピドック。
前半部もながく、エルシー・ピドックのちいさいころのエピソード。なわとび上手の女の子だったエルシー・ピドックの評判が山の妖精にまで届き、なわとびの名手アンディ・スパンディから、数々のなわとびの技を教わります。
ストーリーテリングがなにかよくわからないまま、2年ほどたって、この話にふれたときのことを思い出しました。たんたんと語られていましたが、気がつくと時間は50分ほどたっていました。
109歳は印象に残っていませんでしたが、読み直してみると、なわとびが女の子だけのものというのがやや物足りません。
なわとびの歌「アンディ、スパンディ、さとうのキャンディ、アマインド入りあめんぼう!おまえのおっかさんのつくってる晩ごはん パンとバターのそれっきり!」は、どんなメロディでしょうか。
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