天からふってきたお金/アリス・ケルジー・文 岡村和子・訳/岩波書店/1964年
ホジャさん、こんどは何をしでかすと思うと・・・。
ハリルさんのごちそうによばれたホジャ。ブドウ畑で働いていたホジャは、そのままの格好でハリルさんのところにでかけます。
ハリルさんの家ではお客がいっぱい。ごちそうに呼ばれたはずなのに、ホジャはテーブルに案内されません。
せきばらいをして注意をひこうとしますが、いっこうにききめがありません。
美しく着飾ったお客を接待するのにいそがしいハリルですが、ホジャは無視されます。
そこでホジャは家に帰って、服を着替え、再度ハリルのところにでかけます。
すると今度は、食道の一番良い席に案内されます。
ホジャはみんなが自分をみていることをたしかめると、おいしそうな肉を上着のポケットにいれます。
そのあとも「上着くん、さあ たくさんたべろ」といいながら、ピラフ、チーズ、イチジクを上着のポケットに入れてしまいます。
ハリルが上着にいれるのは、どういうわけかたずねると・・・。
汚れた服を着てたら、わしをテーブルに案内してくれなかった。よそゆきの服に着替えたら、たいそうなもてなしじゃないか。ということは、君がよんでくれたのは」、わしという人間ではなくて、わしの服だったんじゃないのかい?。
外観で人を判断するなというもっともな話。それにしても、ご馳走を上着に食べさせる?ホジャさんの皮肉は、なかなかのものです。
ところで、ホジャが一般的かと思うと、ナスル・エド・ディンという名前ででてくるのが、「ナスル・エド・ディンの晴着」(新編世界むかし話集⑦/山室静・編著/文元社/2004年)。もてなすのがハリルと同じ名前なので、どなたかが、とんちやユーモアのある話を、ホジャという名前で代表させたのかもしれません。