モモの木をたすけた女の子/ムギと王さま/エリナー・ファージョン 石井桃子・訳/岩波少年文庫/2001年初版
7歳になったマリエッタが溶岩流に飲み込まれそうになり、ルチアおばあちゃんとおにいちゃんのジャコモが探すに行くと、マリエッタは大事にしていたモモの木のそばで眠り込んでいました。
溶岩流はマリエッタのそばで、流れをかえて横にそれていたのでした。
「奇跡だ」とさけぶルチアおばあさんのセリフがいい。
「そうかもしれないよ、そうかもしれないよ。どうしてそうでないとわかるね?」
マリエッタが生まれたのはシシリー島。
島にはモモやアンズ、赤いカキなどくだものの木がいっぱいあり、ピンクの花のアマンド、いつもみどりのオリーブ、ブドウ畑も。
マリエッタが生まれた日に、植えられたモモの木。
マリエッタはこのももの木を大事にしていたのです。そしてモモがなっているときは「きょうは、この子はとても元気よ」、モモがもがれてたべられてしまうと「あの子は。よそへいったの。だからでてきてあそばないの」といったりしていました。
しかし、ある日、マリエッタは「やまの王さまは、なにかでおこっている」と思います。
シシリー島では何年かごとに火山の噴火があり、マリエッタは、この噴火に巻き込まれます。
逃げ込んだ協会の坊さん(と訳されています)が、「危険が大きく家と木をすてていきなさい」と避難を進めます。
マリエッタが逃げる途中、木にキスしている人をみて、おばあちゃんに尋ねます。
「木がたすかるようにだよ」とルチアおばあさん。
マリエッタは、だいじにしていたモモの木に、キスしてこなかったのを思い出します。
おばあちゃんは「あのモモの木は、一番先にやかれるだろうよ」といいます。
人ごみのなかで、ルチアばあさんがきがつくと、マリエッタはいつのまにか、いなくなっていました。
マリエッタはモモの木に、キスをしにいったのでした。
何年かに一度は、火山の噴火があるシシリー島ですが、それでも島で暮らし続ける人々のたくましさがあります。
奇跡を「そうかもしれないよ、そうかもしれないよ。どうしてそうでないとわかるね?」というフレーズで肯定しているのが印象にのこります。
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