桶屋の源五郎の天上り/日本の民話11 民衆の笑い話/瀬川拓男 松谷みよ子:編集・再話/角川書店/1973年
昔話では天までのぼるのもいろいろですが、源五郎という桶屋が、酒屋の五尺桶の輪替をしていて、たがががはじれ、その勢いで天の上まではじきとばされてしまいます。
そこであったのは、からだはまっ裸で、虎の皮の褌をつけ、頭に角が二本、口は耳まで裂けた雷神。
雷神にいわれて、雨をふらせて、雨不足でなやんでいた自分の村に来ると、桶の水をぶちまけると、水の重みで雲がやぶれ、そのまままっさかさにころげおちていったさきは、海の中。
どげんなるとじゃと思って海の中を歩いていると立派な御殿の前にでた。竜宮城でした。
乙姫さまは、源五郎が、たがねにはねられたと聞くとおかしがり、天から足すべらして落ちたというと、またころころ笑い、「竜宮の庭はきでもしてくらすがええ。しかし天から降りてくるものは、どんなことがあっても食べてはなりません」といいます。
天からおりてきたものを食べてはならないというと、次にでてくるのは、天から下がってくるもの。
うまそうだったので食いつくと、力いっぱいひきあげられて舟の上につりあげられてしまいます。
つりあげたのは、同じ村の者。源五郎さん、それでやっと家に帰ることができたと。
天から落ちるという話は、ほかにもあるが、竜宮城につくというのはなさそうです。庭掃きというからには、竜宮に落ち葉でもあったのでしょうか?