ぶんぶくちゃがま/富安陽子・文 植垣歩子・絵/小学館/2010年
村はずれのお寺にやってきたタヌキが、おそなえの団子を失敬しようとした時、小僧どんにみつかりそうになり、あわててドロロンパッと、大きな 茶釜に化けました。
小僧どんが、和尚様にいわれ、茶釜を磨くと「こぞう、こぞう。そうっと みがけや。きつう こすると、おしりが むけるぞ」と茶釜の声。
びっくりした小僧どんが、和尚様に報告すると、「高価な茶釜と いう ものは、みがけば そんな音がするもんじゃ。もうみがくのはいいから、茶釜に水を入れて、火にかけておくれ。茶を 一ぷく のみたいでな」
そういわれて、囲炉裏に茶釜をのせると、茶釜が あばれ、囲炉裏を転げまわりました。
タヌキのばけた茶釜は村のはずれの はらっぱに すてられてしまいました。
それを拾ったのは古道具屋のおやじ。
元の姿にもどれなくなったタヌキのいうとおり、見世物小屋でタヌキの芸当を披露すると、大評判。毎日毎日、あちこちからお客がつめかけて、小屋は、おすな おすなの 大賑わい。お金もたっぷり儲かります。
ところが、古道具屋のおやじさん、欲はなく、お金儲けは、もう じゅうぶんだ。これからは のんびり 山のお寺で 暮らしてはどうだ?とタヌキに提案。
タヌキは茶釜のまま、お寺で暮らすことになりました。
小僧どんが、力仕事や驚いてかく汗 仕事も大変そうです。本文にはでてこない ネコの表情にも注目です。