10代拒食症女性、脳が小さく…欲求制御の部位
臨床 2015年8月24日(月)配信読売新聞
10代で拒食症になった女性では、欲求などを制御する脳の部位が小さくなることを、福井大の藤沢隆史・特命助教らのチームが画像診断装置を使った研究で突き止めた。
「太りたくない」という願望に歯止めをかけられない状態が固定化しているため、精神療法だけではなく、脳に対する治療も必要とみられる。論文は米電子版科学誌プロスワンに掲載された。
拒食症は、極端な食行動を引き起こす精神疾患「摂食障害」の一種で、若い女性に多い。カウンセリングなどの精神療法が行われるが、初診から4~10年で全快した人は5割に満たないとの報告もあり、治りにくいことで知られる。
チームは、初診で拒食症と診断された12~17歳の女性20人の脳をMRI(磁気共鳴画像装置)で撮影。食行動に問題のない11~16歳の女性14人と比べて異状がないか探った。
その結果、患者の脳の容積は、痩せた影響などで全体的に10%程度少なかったが、前頭前野にある「下前頭回かぜんとうかい」だけは減少率が左で平均19・1%、右で同17・6%と突出していた。
この部分は、欲求や衝動のコントロール、行動の抑制などをつかさどる。
実際に拒食症にかかっていた期間と下前頭回の容積との関係は、はっきりしていないが、最年長の17歳に近づくほど容積が小さくなる傾向も見られたという。
藤沢特命助教は「精神面だけではなく、下前頭回の容積も何らかの方法で戻す必要があるのだろう。今回の成果を基に、有効な治療法が見つかるかもしれない」としている
臨床 2015年8月24日(月)配信読売新聞
10代で拒食症になった女性では、欲求などを制御する脳の部位が小さくなることを、福井大の藤沢隆史・特命助教らのチームが画像診断装置を使った研究で突き止めた。
「太りたくない」という願望に歯止めをかけられない状態が固定化しているため、精神療法だけではなく、脳に対する治療も必要とみられる。論文は米電子版科学誌プロスワンに掲載された。
拒食症は、極端な食行動を引き起こす精神疾患「摂食障害」の一種で、若い女性に多い。カウンセリングなどの精神療法が行われるが、初診から4~10年で全快した人は5割に満たないとの報告もあり、治りにくいことで知られる。
チームは、初診で拒食症と診断された12~17歳の女性20人の脳をMRI(磁気共鳴画像装置)で撮影。食行動に問題のない11~16歳の女性14人と比べて異状がないか探った。
その結果、患者の脳の容積は、痩せた影響などで全体的に10%程度少なかったが、前頭前野にある「下前頭回かぜんとうかい」だけは減少率が左で平均19・1%、右で同17・6%と突出していた。
この部分は、欲求や衝動のコントロール、行動の抑制などをつかさどる。
実際に拒食症にかかっていた期間と下前頭回の容積との関係は、はっきりしていないが、最年長の17歳に近づくほど容積が小さくなる傾向も見られたという。
藤沢特命助教は「精神面だけではなく、下前頭回の容積も何らかの方法で戻す必要があるのだろう。今回の成果を基に、有効な治療法が見つかるかもしれない」としている