顕微授精45万件、体外受精の2倍 2010年、世界60カ国で
2016年6月16日 (木)配信朝日新聞
2010年に世界60カ国で実施された不妊治療のひとつ「顕微授精」は45万件で、体外受精の約2倍に上ることが日米欧などの研究者によるNPOの調査でわかった。機器の進歩などで世界中で急速に普及しているとみられるが、ほぼ全員が顕微授精を選ぶ地域もあるなど地域差も大きい。
顕微授精は、精子の数が少ない、動きが悪いなど、シャーレの中で精子を卵子に振りかけて受精を促す体外受精がうまくいかない場合の治療法とされる。一般的に顕微授精の方が費用がかかり、日本では、どちらも1回数十万円だが、顕微授精の方が10万円前後高いことが多い。
NPO「国際生殖補助医療モニタリング委員会」が英専門誌に発表した論文によると、日米英やロシア、ブラジル、エジプト、南アフリカなど60カ国で10年に実施された顕微授精は計45万5千件で、体外受精は約22万件。同委員会の00年の調査(49カ国)では顕微授精が17万5千件、体外受精は19万1千件だったが、逆転した。
委員会に参加する石原理・埼玉医大教授によると、機器の進歩で簡単で確実に精子を卵子に注入できるようになったことが背景にあるという。
日本産科婦人科学会によると、日本でも顕微授精は03年に体外受精を上回り、12年は体外受精約7万9千件に対して顕微授精はその1・5倍に当たる約12万2千件に上る。
調査結果について、欧州生殖発生学会の元議長でマーストリヒト大(オランダ)のハンス・エバーズ名誉教授は「男性不妊ではない場合、体外受精と比べて顕微授精に利点はない。医師は必要のない高価な施しをするサンタクロースになってはならない」などとする論説を発表した。
顕微授精は約20年前に開発された不妊治療の方法で、精子と卵子を体外で受精させた後に子宮へ戻す点では体外受精とほとんど同じ流れですが、体外で精子と卵子を受精させる方法が異なります。体外受精では卵子に精子を振りかけて自然に受精するのを待ちますが、顕微授精は顕微鏡で見ながらピペットを使って卵子の中に直接精子を注入します。
2016年6月16日 (木)配信朝日新聞
2010年に世界60カ国で実施された不妊治療のひとつ「顕微授精」は45万件で、体外受精の約2倍に上ることが日米欧などの研究者によるNPOの調査でわかった。機器の進歩などで世界中で急速に普及しているとみられるが、ほぼ全員が顕微授精を選ぶ地域もあるなど地域差も大きい。
顕微授精は、精子の数が少ない、動きが悪いなど、シャーレの中で精子を卵子に振りかけて受精を促す体外受精がうまくいかない場合の治療法とされる。一般的に顕微授精の方が費用がかかり、日本では、どちらも1回数十万円だが、顕微授精の方が10万円前後高いことが多い。
NPO「国際生殖補助医療モニタリング委員会」が英専門誌に発表した論文によると、日米英やロシア、ブラジル、エジプト、南アフリカなど60カ国で10年に実施された顕微授精は計45万5千件で、体外受精は約22万件。同委員会の00年の調査(49カ国)では顕微授精が17万5千件、体外受精は19万1千件だったが、逆転した。
委員会に参加する石原理・埼玉医大教授によると、機器の進歩で簡単で確実に精子を卵子に注入できるようになったことが背景にあるという。
日本産科婦人科学会によると、日本でも顕微授精は03年に体外受精を上回り、12年は体外受精約7万9千件に対して顕微授精はその1・5倍に当たる約12万2千件に上る。
調査結果について、欧州生殖発生学会の元議長でマーストリヒト大(オランダ)のハンス・エバーズ名誉教授は「男性不妊ではない場合、体外受精と比べて顕微授精に利点はない。医師は必要のない高価な施しをするサンタクロースになってはならない」などとする論説を発表した。
顕微授精は約20年前に開発された不妊治療の方法で、精子と卵子を体外で受精させた後に子宮へ戻す点では体外受精とほとんど同じ流れですが、体外で精子と卵子を受精させる方法が異なります。体外受精では卵子に精子を振りかけて自然に受精するのを待ちますが、顕微授精は顕微鏡で見ながらピペットを使って卵子の中に直接精子を注入します。