性の話、もっとオープンに 元劇団営業マンが団体 「北ものがたり」
2016年6月27日 (月)配信共同通信社
札幌市中央区の成瀬正典(なるせ・まさのり)さん(37)は昨年、営業マンとして勤めた劇団四季を辞め、札幌市を拠点に、学校で性教育の出張講座を開く団体「つなぎびと」を立ち上げた。決断のきっかけは、あるミュージカルとの出合い。「性について、もっとオープンに話ができる社会をつくりたい」と意気込みを語る。
劇団四季の運営会社に入社したのは2003年。「ライオンキング」や「オペラ座の怪人」といった人気作のチケット販売に走り回った。「壁」にぶつかったのは10年。勤務先の名古屋市で上演したミュージカル「春のめざめ」は、米国での高評価とは裏腹に、チケット販売が低調だった。
10代の妊娠、中絶、性的虐待、同性愛―。思春期の少年少女の性を真正面から描いた内容に、普段は得意客だった教育関係者が「生々しい」「生徒に見せられない」と拒否反応を示した。
なぜ受け入れられないのか、ヒントを得ようと教育現場で悩む先生に話を聞いて回った。国内での人工中絶は年間約18万件(13年度)で、うち10~20代は約10万件。性感染症も深刻な問題だ。「性への無知が根本にある」。若いころ、交際相手の妊娠が発覚して中絶した、自身の過去とも改めて向き合った。
「性教育のセールスマンになる」。昨年11月、看護師らと「つなぎびと」を結成。妊娠や性感染症予防など、性にまつわる専門家の講座を有償で派遣するプログラムを計画するとともに、派遣先の学校探しに奔走中だ。中絶や性的虐待の経験者の「誰も大事なことを教えてくれなかった」との声は心強い。
「どんなにすてきなミュージカルでも、売り込む努力がなければ見てもらえなかった。性教育の必要性を感じているからこそ、若い世代に伝えていきたい」。18年中には、北海道内で300講座の実施を目指している。
2016年6月27日 (月)配信共同通信社
札幌市中央区の成瀬正典(なるせ・まさのり)さん(37)は昨年、営業マンとして勤めた劇団四季を辞め、札幌市を拠点に、学校で性教育の出張講座を開く団体「つなぎびと」を立ち上げた。決断のきっかけは、あるミュージカルとの出合い。「性について、もっとオープンに話ができる社会をつくりたい」と意気込みを語る。
劇団四季の運営会社に入社したのは2003年。「ライオンキング」や「オペラ座の怪人」といった人気作のチケット販売に走り回った。「壁」にぶつかったのは10年。勤務先の名古屋市で上演したミュージカル「春のめざめ」は、米国での高評価とは裏腹に、チケット販売が低調だった。
10代の妊娠、中絶、性的虐待、同性愛―。思春期の少年少女の性を真正面から描いた内容に、普段は得意客だった教育関係者が「生々しい」「生徒に見せられない」と拒否反応を示した。
なぜ受け入れられないのか、ヒントを得ようと教育現場で悩む先生に話を聞いて回った。国内での人工中絶は年間約18万件(13年度)で、うち10~20代は約10万件。性感染症も深刻な問題だ。「性への無知が根本にある」。若いころ、交際相手の妊娠が発覚して中絶した、自身の過去とも改めて向き合った。
「性教育のセールスマンになる」。昨年11月、看護師らと「つなぎびと」を結成。妊娠や性感染症予防など、性にまつわる専門家の講座を有償で派遣するプログラムを計画するとともに、派遣先の学校探しに奔走中だ。中絶や性的虐待の経験者の「誰も大事なことを教えてくれなかった」との声は心強い。
「どんなにすてきなミュージカルでも、売り込む努力がなければ見てもらえなかった。性教育の必要性を感じているからこそ、若い世代に伝えていきたい」。18年中には、北海道内で300講座の実施を目指している。