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AYA世代の試練、学ぶ環境、整備遅れ、ん大国白書:第3部

2016年09月18日 22時40分30秒 | 
AYA世代の試練、学ぶ環境、整備遅れ、ん大国白書:第3部 
2016年9月16日 (金)配信毎日新聞社

 東京都の専門学校生、濱中真帆さん(24)は高校1年の3月、卵巣で発症したがんの一種、「未分化胚細胞腫」と診断され、入院を余儀なくされた。「勉強がしたい」と院内学級を訪ねたが、教員に「小中学生しか入れない」と断られた。欠席が続いた2年生の1学期、成績表には判断不能を意味する「不」が並んでいた。「『不』がなければ、志望大学の推薦基準に届いたのでは」と、今も悔やむ。
 がんで入院生活を送るAYA(※)世代の高校生が直面するのが学習環境の確保だ。入院で欠席が続けば、卒業にも影響する。病院内に高校を設ける都道府県は、東京都(4校)と沖縄県(2校)など少数。小中学校は特別支援学校分教室として院内学級が設置できるが、高校は規定がなく、各教委に委ねられている。文部科学省も状況を把握していない。
 東京都の高校生向け院内学級の一つ、国立がん研究センター中央病院(中央区)の「墨東特別支援学校いるか分教室中・高等部」は1998年に設置された。各教科の教員が常駐し、週30コマの授業がある。原則として生徒は同校へ編入するが、入院前の在籍校の課程に合わせた授業を編成し、退院後の復学も支援する。
 他の道府県の取り組みは限定的だ。大阪府では2012年、肉腫で入院中の府立高2年の久保田鈴之介さんが橋下徹・大阪市長(当時)に院内学級設置を訴え、注目を集めた。この訴えがきっかけとなり、同市と大阪府は同年4月、入院先への教員派遣制度を創設した。その後、愛知、神奈川両県も同様の制度を整備し、福島県も今年度から通信制高校に転校した上での教員派遣制度を始めた。
 久保田さんはこの制度を使って学習を続け、翌13年に大学入試センター試験受験直後に亡くなった。父の一男さん(55)は遺志を継ぎ、全国の教委に高校生向け院内学級の設置を求める運動を続ける。「鈴之介の願いは同年代の仲間と一緒に学ぶこと。教員派遣の実現はうれしいが、目標は院内学級設置だ」と話す。
 日本の院内教育の課題について、埼玉大教育学部の関由起子准教授は「発達段階の未成年は入院中も教育が必要だ。ところが、日本は『まず治療が大事』と、入院中の教育を後回しにしてきた」と指摘する。埼玉県では、昨年から県立岩槻特別支援学校が、隣接する県立小児医療センターに入院中の高校生の学習支援を始めた。同校職員が在籍校と連絡を取り、病室で指導する。関准教授の下で学ぶ同大生が入院中の高校生と交流する取り組みも始まった。「入院中に教育機会を提供しないのは、学習の権利を奪っているのも同然」と関准教授は話す。
 義務教育ではない高校特有の課題もある。公立私立の別や工業科などの専門学科の違いなどが、受け入れを難しくしているという。白血病で国立がん研究センター中央病院に入院中に、都知事に直訴し、分教室設置のきっかけを作った小畑和馬さん(35)は振り返る。「当時、都教委から『なぜ学校が必要なの』と聞かれた。でも、そんなの当たり前でしょ。病気を克服した後の将来を僕らは考えている。社会性を身につけるには、友人と共に過ごす学校が必要。ごく自然な願いです」=つづく
 ※AYA=Adolescent and Young Adult(思春期・若年成人)
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 ご意見は〒100―8051毎日新聞医療福祉部(住所不要)がん大国白書係
 iryo@mainichi.co.jp ファクス03・3212・3978
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雑草原因、秋でも花粉症に

2016年09月18日 22時25分13秒 | 仕事
雑草原因、秋でも花粉症に
2016年9月16日 (金)配信毎日新聞社

 春に飛散するスギ花粉で苦しむ日本人は多いが、スギの季節でもないのに目がかゆい、くしゃみや鼻水が出るといった症状があるときは、ほかの樹木や草による花粉症かもしれない。「秋の花粉症」も油断大敵だ。
 ●スギと似た症状
 「夏から秋にかけてスギ花粉症のような症状が出たら、それは草本(そうほん)花粉による花粉症の可能性がある」と話すのは、日本医科大学大学院の大久保公裕教授(頭頸(とうけい)部感覚器科学)。草本とは、イネ科やキク科などのいわゆる雑草のことで、カモガヤ、ブタクサ、ヨモギによる花粉症がよく知られている。土手、公園、道ばた、ゴルフ場と、どこにでも生えている植物だ。スギと同様に目や鼻にアレルギー症状を起こすほか、イネ科は皮膚のかゆみが出やすいのも特徴という。
 ●子どもにも発症
 スギやヒノキの花粉は山から数十キロの距離を飛んでくるが、これらの草本植物の花粉は草丈が低いため、数十~数百メートルの範囲にしか広がらない。「秋の花粉症は範囲が限定的で、症状もスギやヒノキに比べて悪化しにくいため、あまり注目されてこなかった。この時期にアレルギー症状を訴える患者は増えている」と大久保教授は指摘する。
 スギ花粉で症状が出ている人は、ほかのアレルゲンでも症状が出やすくなるという。草本花粉は地面から1メートルほどの高さまでで漂うため、子どもが発症するケースも少なくない。自宅や職場の周辺に生えていなくても、ウオーキング、ランニング、犬の散歩、ハイキングと行動範囲が広がれば、発症のリスクは高くなる。
 ●川のそば注意を
 自衛策は、イネ科、キク科の草が生えている場所にはなるべく近づかない▽特に風の通り道となる川のそば、土手沿いに住む人は川に面した窓を開けない▽もし草の生えた場所に出かけてムズムズしてきたら、マスクや眼鏡で防ぐ。
 また、秋の花粉症の原因となる植物が近くにないのに症状が出ている人は、夏に増えたダニの死骸やハウスダストによるアレルギーの可能性がある。早めに耳鼻咽喉(いんこう)科を受診して、不快な症状を抑えたい。
 一方、スギ花粉症で苦しむ人にとって気になるのは、来春のスギ花粉の飛散量だ。
 スギ花粉の量は、前年夏の天候に大きく左右される。夏が完全に終わらないと予測は難しいが、ウェザーニューズ社(千葉市)は2017年のスギ、ヒノキ、シラカバ(北海道)の花粉飛散予報を速報ベースで公表している。暑くて晴れの日が多かった東海から西日本は「前年の1・5~2倍」と予想。関東から東北南部は「前年並みかやや多いくらい」、東北北部から北海道は「前年の1・5倍」。全国的に今年より多めの飛散量になりそうだ。【銅山智子】
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心理的虐待の摘発3% 見えぬ傷、難しい立件

2016年09月18日 22時14分17秒 | 医療情報
心理的虐待の摘発3% 見えぬ傷、難しい立件
その他 2016年9月16日 (金)配信共同通信社

 今年1~6月の上半期に全国の警察が摘発した512件の児童虐待のうち、心理的虐待による被害の立件は16件にとどまり、摘発件数全体のわずか3・1%だったことが15日、警察庁のまとめで分かった。
 警察から児童相談所へ通告した18歳未満の子どもは2万4511人で、このうち心理的虐待が68・0%を占めているが、立件にはつながっていない実態が浮かんだ。
 警察庁の担当者は「骨折やあざなど見た目で分かる身体的虐待と違い、心を傷つける行為を立件するのは難しい。子どもの成長に大きな影響を与えるだけに、関係省庁と連携しながら取り締まりに努めたい」と話す。
 今年上半期における心理的虐待の摘発は、前年同期より6件増えた。半期ごとの統計がある2000年以降で最多だったが、415件の身体的虐待や70件の性的虐待とは大きな差があった。
 心理的虐待は、子どもに「あんたなんて生まれてこなければよかった」などと暴言を浴びせたり、他のきょうだいと比べて著しく差別的な扱いをしたりすることを指す。04年の児童虐待防止法改正では、子どもが見ている前で配偶者に暴行するなどの「面前DV」も含まれるようになった。
 16件の内訳は、刃物を突きつけて怒鳴りつけるなどの暴力行為等処罰法違反が10件で最も多かった。車に閉じ込めたり、部屋から出られなくしたりするなどの監禁が4件、下着姿のままベランダに立たせるなどの強要が2件だった。
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受精卵凍結から出産、累計21万人に 体外受精の主流に

2016年09月18日 21時56分55秒 | 医療情報
受精卵凍結から出産、累計21万人に 体外受精の主流に
2016年9月16日 (金)配信朝日新聞

 体外受精させた受精卵をいったん凍結保存したうえで生まれた赤ちゃんの累計が国内で21万人に達し、体外受精による出産のほぼ半数を占めたことが、日本産科婦人科学会が15日に公表した統計でわかった。生命を「一時停止」する技術ともいえる受精卵凍結には、かつて慎重論もあったが、妊婦の負担を軽減する観点から普及が進み、体外受精の主流となっている。
 この日公表された2014年の体外受精の治療成績によると、この年の体外受精で生まれた子どもは4万7322人(累計43万1626人)で過去最高を更新、うち8割近い3万6595人(累計21万4194人)が凍結を経て生まれた。ほとんどは受精卵を凍結したケースで、卵子の段階で凍結したケースが16人いた。14年には全国で約100万人の赤ちゃんが誕生しており、21人に1人が体外受精で、27人に1人が凍結保存を経て生まれた計算になる。
 体外受精は1983年に、凍結保存された受精卵では89年に、国内初の出産が報告された。体外受精はかつて、妊娠率を高めるため複数の受精卵を子宮に戻していたが、双子や三つ子につながりやすく、妊婦の負担が大きい。そのため現在は原則、受精卵1個を戻し、残りは凍結保存する。
 採卵後すぐに受精卵を戻すと、採卵のための薬の副作用で起こる卵巣の腫れが悪化することもあり、いったんすべての受精卵を凍結するケースも増えている。受精卵を凍結・融解させる技術の改良や普及も進み、日本は世界的にみても凍結する割合が高いとされる。
 凍結を経て生まれた子どもについては自然妊娠の場合に比べ、出生時の体重がやや重めという報告がある。統計をまとめた国立成育医療研究センター周産期・母性診療センターの齊藤英和・副センター長は「凍結技術が子どもを望むカップルに恩恵となっているのは間違いないが、安全性の検証はこれからも必要だ」と話す。(編集委員・田村建二、福宮智代)

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