社内禁煙へ取り組み広がる スペース閉鎖、有休付与も 健康促し業務効率化狙う 〈けいざいトレンド〉
▽全社を全日
ローソンは、2017年6月から本社のほか地域の事業所を含む全社を全日禁煙とした。社員約4500人が対象だが、子会社やコンビニ加盟店の従業員は含まない。勤務時間中は外出時も含めて禁煙とするが罰則は設けない。休日や勤務時間外は制限しない。紙たばこに比べて他の人に迷惑をかけにくい加熱式たばこは例外的に認めるという。
16年度に約33%だった社員の喫煙率を、18年度には10%程度引き下げる目標を掲げる。
広報担当者は「昨年から週1日、2日と段階を踏んで禁煙日を設定してきた。さらなる禁煙化を進めたい」とした。
▽憩いの場
損保ジャパン日本興亜ひまわり生命保険は17年8月、全国の営業拠点を含め全社を終日禁煙とした。本社ビル内の喫煙所を全社員が小休憩を取ることができるスペースにした。
受動喫煙による被害を防ぐ狙いで、社員の健康維持、増進を目指す。また、禁煙治療費の一部を補助する仕組みも導入している。
約30年間喫煙していた瀬戸雅之(せと・まさゆき)執行役員は、これを機に医療機関に通い禁煙しているという。「非喫煙者の社員に体や髪に付いた臭いを嫌がられることがなくなった。部下にも禁煙の動きが広がりつつある」と話した。
▽労働時間差
ウェブマーケティングを手掛けるピアラ(東京)は、9月からたばこを吸わない人に対して、年6日間の有休を加える「スモ休」制度を始めた。
きっかけは「休憩時間外で1日に数回、たばこを吸いに行く喫煙者とは労働時間に差が出る」という非喫煙社員の声だった。飛鳥貴雄(あすか・たかお)社長に意見を出せる社内の目安箱に寄せられた。
飛鳥社長は「業務を離れる時間を考えると正しい意見だと感じた。また、罰則や強制ではなくメリットを提示することで禁煙化を促すことができれば」と説明した。
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受動喫煙対策 20年の東京五輪・パラリンピックに向けて、政府が受動喫煙防止策を強化している。企業でも社員の健康に配慮し、禁煙が広まりつつある。