焦点:新型コロナ 宣言・まん延防止全面解除 専門家「第6波」警戒 人出拡大→「ブレークスルー」懸念
2021年9月28日 (火)配信毎日新聞社
新型コロナウイルス対策の緊急事態宣言(19都道府県)と、まん延防止等重点措置(8県)について、政府は30日をもって全面解除する方針を固めた。 ワクチン接種が加速し、新規感染者の減少傾向が続いていることを踏まえた。 しかし、宣言解除に伴う人流(人の流れ)の拡大とともに、接種を終えた人が感染する「ブレークスルー感染」の増加も懸念され、専門家からはリバウンド(感染再拡大)による「第6波」を警戒する声も出ている。
新型コロナウイルスの感染拡大の「第5波」で発令された7~9月の緊急事態宣言の間、大きく進展したのがワクチン接種だ。
政府のまとめでは、人口に占める2回の接種を済ませた人(医療従事者と職域接種の未入力分を除く)の割合は、東京都に宣言が発令された7月12日時点は16%だったが、9月26日時点で51%まで上昇。 医療従事者らも含めた接種完了率は57%となり、米国(26日時点で55%)を超えている。
年代別では、65歳以上で9割近くに達する一方、接種開始が遅れた若年層は低率にとどまる。 ただ、東北地方のある市の担当者は「今も若者向けの予約枠は瞬時に埋まる。供給が追いついていないが住民の接種意欲は十分あり、10月中旬には市内の対象人口の8割を超すのでは」と期待する。
効果も見え始めている。 厚生労働省に新型コロナの感染症対策を助言する専門家組織「アドバイザリーボード」が27日、今月15~17日の新規感染者について接種歴別の内訳を公表した。 接種歴が判明している感染者のうち約8割が未接種だった。 東京都が24日に開いたモニタリング会議でも、8月1日~9月20日の都内の死者の約8割が未接種と報告された。 感染と重症化は、接種を受けていない人に集中している。
政府は11月初めの希望者への接種完了を目指す。 ワクチンの普及で次の感染の波への対処は変わるのか。