抗体量、副反応で2割増 ワクチン2回接種、半年後 NHO宇都宮病院など研究
2022年4月15日 (金)配信下野新聞
新型コロナウイルスのワクチンの接種後に副反応があった人は、無かった人より半年後の抗体量が高い傾向にあることが、国立病院機構(NHO)宇都宮病院などの研究で分かった。発熱や倦怠(けんたい)感といった「全身性副反応」を発症した人は副反応が無かった人よりも抗体量が2割程度高く、副反応を抑える薬を飲んでも高い傾向は変わらなかった。3回目の接種後は、2回目接種の半年後に比べ抗体量は約40倍に増えており、関係者は「可能な人は接種を検討してほしい」と呼び掛けている。
研究は獨協医大、自治医大の両大学と共同で実施した。対象はNHO宇都宮病院の職員378人。米ファイザー製のワクチンを2回接種後、免疫機能の強さを示す「抗体価」を調べ、副反応との関連を解析した。
2回目の接種から半年後では、発熱や倦怠感、関節痛を発症した人の抗体価は、副反応がない人よりも15~28%高かった。副反応が起きて消炎剤を飲んだ人は、副反応がなかった人よりも約19%高かった。
研究責任者で同病院の杉山公美弥(すぎやまくみや)院長によると、これまでの研究でも2回接種後の抗体価がピークに達した段階では、全身性の副反応があった人は抗体価が高い傾向にあると報告されている。杉山院長は今回の研究を踏まえ、「半年後も接種直後の副反応の影響が残っていることは驚きだ」と話す。
杉山院長は「消炎剤を飲むとワクチンの効果が下がると思う人もいるが、そういうことはない」と説明する。副反応に対してはアセトアミノフェンの服用が有効だとしている。
研究では3回目のワクチン接種から2週間後の抗体価も調べた。2回目の接種の半年後より約40倍に上昇し、これまでのピーク時と比べても10倍以上高かった。詳細なデータは解析中だが、3回目の接種も副反応の有無が抗体価の高さと関係する可能性があるという。
杉山院長は「オミクロン株ではワクチンの発症予防効果が落ちているが、接種することで感染から守られる確率を少しでも上げることは期待できる」とし、接種を呼び掛けている。