島根県と松江市、コロナ感染対策に食い違い 丸山知事「松江市問題だ」上定市長「学習機会を維持する」
2022年4月21日 (木)配信山陰中央新報
松江市内の新型コロナウイルス感染者の拡大を受け、島根県の丸山達也知事が20日、「県内の感染状況は『松江市問題』だ」と強い危機感を示した。県内で過去2番目の感染者数となった同日発表の186人のうち、6割が市内在住者。市内の小学校の休校を提案したものの、市に拒否されたことを明かし「危機感が全く違う」と憤った。上定昭仁市長は「児童の学習機会をできる限り維持する」との考えで、県と県都のトップで感染対策への考えが食い違っている。
20日の県発表分に占める松江市内在住者は113人で、市内で確認された1日当たりの感染者数としては過去最多。4月の累計感染者数は18日時点で市が1095人と、県全体(2439人)の4割以上を占める。1週間の感染者数(人口10万人あたり)は同日時点で236・8人と、県内8市で唯一200人を超えた。
松江市の感染者数増を受け、県は18日、4月下旬からの大型連休前の25日~28日に、市内の小学校を休校するよう市へ打診。1月中旬~下旬に出雲市など計5市1町、2月下旬~3月上旬に雲南市(三刀屋町、木次町)がそれぞれ休校措置を講じ、感染者数の抑制につながった効果を改めて説明した。
これに対し、松江市は1、2月の休校要請と同様、従わない考えを20日に県に伝達。出張中のため、同日コメントを発表した上定市長は、市内全34校(義務教育学校を含む)のうち感染確認で休校が必要な小学校は6校にとどまると指摘し「一斉休校は最適と考えていない」と説明した。
市内の1週間の年代別感染者数(人口10万人あたり)は、6歳以下が800人、7~12歳が609・1人、30~39歳が475人。学校現場や保育施設を起因とするクラスター(感染者集団)が19日時点で14件発生しており、子どもを介してウイルスが家庭内に入り、親世代が感染する傾向が浮かび上がる。
丸山知事は「出せるアイデアは出したが採用されない。このままでは飲食を含めて経済を回せる状況になく、松江市に関してはお手上げ状態だ」と突き放した。市は、近日中に市が有効と考える感染拡大防止策を発表する予定という。