iPSで椎間板組織を再生 ラットで、腰痛治療に道
大阪大の妻木範行(つまき・のりゆき)教授(生化学)らのチームは18日、人工多能性幹細胞(iPS細胞)で椎間板の中心にある組織をつくり、ラットに移植して組織を再生することに成功したと発表した。腰痛治療への応用が期待され、3年後をめどに人で臨床試験(治験)を始める準備に入りたいという。
人の脊椎は骨と椎間板が交互に積み重なった構造。それぞれの椎間板の中心にはクッションの役割を果たす「髄核」と呼ばれる組織があるが、加齢などで変性したり消失したりすると腰痛の原因となる。
チームは人の脊椎に似た構造を持つラットの尾で実験。尾から髄核を取り除いたラットと、除去後に人のiPS細胞からつくった髄核を移植したラットを比較。6カ月後、髄核を除去したラットは椎間板が変性していたが、移植したラットは椎間板の構造が保たれていた。
チームによると、日本では約1300万人が腰痛を患い、うち2~4割は椎間板の変性が原因という。妻木教授は「髄核は薬では再生できない。新たな治療法候補の一つを示した」としている。