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若者むしばむ市販薬 依存症、命の危険も 広がるオーバードーズ問題

2023年01月11日 22時25分42秒 | 健康の保持増進

若者むしばむ市販薬 依存症、命の危険も 広がるオーバードーズ問題

 2023年1月10日 (火)配信共同通信社
 

 精神的苦痛から逃れようと、市販薬を大量摂取する若者が増えている。「オーバードーズ(OD)」と呼ばれ、ふわふわとした感覚を得られる一方、覚醒剤や大麻といった違法薬物と同じように依存症に陥るケースも。専門家は「内臓に強い負担がかかり、死の危険性もある」と警鐘を鳴らし、背景にあるメンタルヘルスの不調にこそ目を向けるべきだと訴える。

 愛知県の男性(22)は、学校生活のストレスからODを始めた。幼い頃から学校になじめず、中学でうつ病を発症。高校は校則が厳しく、「髪が長い」と何度も叱責(しっせき)された。「抑圧されている」とふさぎ込み、ストレスで声が出なくなった。

 居場所を求めるように繁華街のたまり場へ。似た境遇の仲間と一緒に市販の風邪薬を20錠ほど飲むと、平衡感覚を失った。頭がふわふわとし、息苦しさから少しだけ解放された。

 ODを繰り返したのは「体に悪いことをしている」という感覚を得たかったから。せき止めや睡眠導入剤なども手当たり次第に飲んだ。

 数カ月前、親しい知人が亡くなり「思い出を曖昧にせず、しっかり残しておきたい」とODをやめた。ただ、生きづらさは解消されず、今も残ったままだ。

 ODのまん延はデータにも表れている。

 国立精神・神経医療研究センター(東京都小平市)によると、薬物依存症の治療を受ける10代のうち、市販薬が原因の割合は2014年のゼロから20年は6割近くにまで増加。首都圏にある三つの救急センターの集計では、薬物の過剰摂取による搬送のうち市販薬の摂取で運ばれた事例は、18年は32件だったが、20年は2倍以上の75件だった。

 国立精神・神経医療研究センターの松本俊彦(まつもと・としひこ)・薬物依存研究部長は、10代のOD患者の多くは非行歴がない一方で、メンタルヘルスの問題を抱えているケースが多いと指摘。家庭や学校で抱える精神的苦痛を緩和するため、市販薬に「鎮静剤」の役割を求める若者が多くを占めると説明し、「薬を無理やりやめさせれば逃げ場を失ってしまう。医師や周囲の人が信頼できる話し相手になり、薬以外の選択肢を持ってもらうことが必要だ」と強調する。

 埼玉医大病院臨床中毒センター(埼玉県毛呂山町)の上條吉人(かみじょう・よしと)センター長によると、市販薬の中には依存性のある成分が含まれるものもあるため「繰り返し摂取すれば薬物依存に陥る危険がある」と警告。製薬会社は依存性のある成分を規制すべきだとし、ドラッグストアなどでの大量購入を防ぐ対策も重要だと話した。

 ※オーバードーズ

 薬剤などの過剰摂取を意味する「overdose」。「dose(ドーズ)」は、薬を服用する際の1回あたりの用量を指す。若者による市販薬の大量摂取は、違法ではないものの、依存症に陥ったり内臓を悪くしたりする例が増えていることから、社会問題になっている。

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コロナとインフルエンザの同時流行 現実に…九州・沖縄でインフルが急増、両方に感染のケースも

2023年01月11日 22時15分33秒 | ウイルス

コロナとインフルエンザの同時流行 現実に…九州・沖縄でインフルが急増、両方に感染のケースも

 2023年1月11日 (水)配信読売新聞
 

 インフルエンザと新型コロナウイルスとの同時流行が近づいている。年末から患者が急増しているインフルは九州・沖縄全県で流行期に入り、コロナの感染者も各地で最多を更新している。両方に同時感染する「フルロナ」の患者も出始め、発熱外来が重症化リスクのある人に受診を絞らざるを得ない状況も迫っている。(谷口京子、手嶋由梨)

 「発熱外来の電話が鳴りやまない。確実に同時流行が始まっている」

 福岡市西区の「やまもとホームクリニック」の山本希治院長(48)は厳しい表情で話す。発熱外来の患者は昨年のクリスマス前まで1日30~40人程度だったが、年明けの4日に再開した時には倍の約80人まで増えた。受診予約の電話は朝から鳴り続け、つながらない時もあるという。

 現状は8割がコロナ、1割がインフルに感染しているが、インフルの急増が目立ち、さらにインフルとコロナの両方で陽性となる「フルロナ」も出た。10日までに5、6人を診察し、インフルの薬とせき止め薬などを処方した。若い世代が中心で症状は重くないが、海外では「コロナ単独の感染よりも重症化しやすい」との報告がある。山本院長は「高齢者がフルロナになると非常に怖い」と警戒する。

 コロナは人の移動が増える年末年始に感染が拡大。山口、佐賀、熊本、大分、宮崎、鹿児島の各県で最多を更新している。

 インフルも、1日までの1週間に報告された1医療機関あたりの患者数が福岡4・19人、宮崎3・29人など、九州・沖縄の全県で流行期入りの目安(1人)を超えた。2021年、22年の同時期は0・01人(全国)で、3シーズンぶりの流行となる。

 なかでも沖縄県は全国最多の9・89人で、注意報の発令基準である「10人」が目前だ。患者の半数が0~9歳の子どもだという。9日までの3連休では発熱外来の予約枠が午前中だけで埋まることもあり、県の担当者は「インフルかコロナか分からず、病院で診断を受けたいというニーズが高まっているようだ」と話す。

 飯塚病院(福岡県飯塚市)の的野多加志・感染症科部長は「コロナとインフルは症状の違いがある」と話す。インフルは鼻水やせきが出てから24時間以内に、悪寒や強い倦怠(けんたい)感などの全身症状が出る。現在オミクロン株が主流のコロナは、強いのどの痛みがあるが全身症状はひどくない場合もある。

 基礎疾患のある人や高齢者、妊婦は両方で重症化の恐れがあり、乳幼児はインフルでは注意が必要で、的野医師は「診断して重症化予防の薬を処方することが重要だ」とする。ただ、重症化リスクの低い人は検査を断られる状況もあるといい、「あらかじめ解熱鎮痛剤を準備し、慌てずに症状が治まるのを待ってほしい」としている。

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登録制見送り「不十分」 来年にも情報公表開始 かかりつけ医制度

2023年01月11日 21時52分24秒 | 行政

登録制見送り「不十分」 来年にも情報公表開始 かかりつけ医制度

 2023年1月10日 (火)配信共同通信社
 

 政府は身近な「かかりつけ医」の仕組みを広げる制度の骨格案をこのほど、まとめた。2024年度にも医療機関ごとに休日対応や在宅医療などの役割を公表し、医療を受けやすくする。ただ、患者が事前にかかりつけ医を決めておく登録制は見送られた。新型コロナウイルス禍で発熱した患者が、普段かかっている診療所などで受診を拒否される例が相次ぎ、制度化のきっかけになったが「対策としては不十分だ」との批判も出ている。

 ▽医師と患者が書面

 厚生労働省の骨格案によると、これまで法律で定義していなかったかかりつけ医に関し、医療法で「身近な地域における日常的な医療の提供や健康管理に関する相談などを行う機能」と明記。具体的な役割として(1)日常的な疾患への幅広い対応(2)休日や夜間の対応(3)在宅医療(4)介護サービスとの連携―などを挙げた。

 各診療所や病院が担える機能を都道府県が集約。インターネットで公表する。医療機関は慢性疾患などで継続的な医学管理が必要な場合、患者の希望に応じてかかりつけ関係を示す書面を交わす。健康な人は対象として想定していない。厚労省は23日召集予定の通常国会に医療法改正案を提出する方針だ。

 ▽日医が反発

 かかりつけ医を巡っては、財政制度等審議会(財務相の諮問機関)が昨春、提言を発表。要件を満たした医療機関を公的に認定する制度や、患者による登録制の導入を求めた。受診先を明確にすることに加え、一元的に患者の情報を管理することで薬の重複処方を避けるといったメリットが指摘されている。

 ただ、日本医師会(日医)はこれに反発。松本吉郎(まつもと・きちろう)会長は「患者が自由に受診先を選べる『フリーアクセス』を阻害する。選択するのは患者の権利で、義務ではない」と強調した。政府関係者は「日医にマイナスになる要素はなくす必要があった」と、登録制などを見送った理由を吐露する。

 ▽責任が不明確

 かかりつけ医制度を推進する日本プライマリ・ケア連合学会の草場鉄周(くさば・てっしゅう)理事長は法定化を「第一歩」と評価しつつ、「『患者を誰が診るか』という責任が明確になっていない。新たな感染症などの際に、受診できないという問題が再び起きかねない」と課題を指摘。

 「機能の公表も第三者による質の保証がなければ、国民はどこを選択すればよいのか判断が難しい。今の案ではまだ不十分で、今後も必要な改善をしていくべきだ」と求めている。

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若者むしばむ市販薬 依存症、命の危険も 広がるオーバードーズ問題

2023年01月11日 00時10分39秒 | 事故事件訴訟

若者むしばむ市販薬 依存症、命の危険も 広がるオーバードーズ問題

 2023年1月10日 (火)配信共同通信社
 

 精神的苦痛から逃れようと、市販薬を大量摂取する若者が増えている。「オーバードーズ(OD)」と呼ばれ、ふわふわとした感覚を得られる一方、覚醒剤や大麻といった違法薬物と同じように依存症に陥るケースも。専門家は「内臓に強い負担がかかり、死の危険性もある」と警鐘を鳴らし、背景にあるメンタルヘルスの不調にこそ目を向けるべきだと訴える。

 愛知県の男性(22)は、学校生活のストレスからODを始めた。幼い頃から学校になじめず、中学でうつ病を発症。高校は校則が厳しく、「髪が長い」と何度も叱責(しっせき)された。「抑圧されている」とふさぎ込み、ストレスで声が出なくなった。

 居場所を求めるように繁華街のたまり場へ。似た境遇の仲間と一緒に市販の風邪薬を20錠ほど飲むと、平衡感覚を失った。頭がふわふわとし、息苦しさから少しだけ解放された。

 ODを繰り返したのは「体に悪いことをしている」という感覚を得たかったから。せき止めや睡眠導入剤なども手当たり次第に飲んだ。

 数カ月前、親しい知人が亡くなり「思い出を曖昧にせず、しっかり残しておきたい」とODをやめた。ただ、生きづらさは解消されず、今も残ったままだ。

 ODのまん延はデータにも表れている。

 国立精神・神経医療研究センター(東京都小平市)によると、薬物依存症の治療を受ける10代のうち、市販薬が原因の割合は2014年のゼロから20年は6割近くにまで増加。首都圏にある三つの救急センターの集計では、薬物の過剰摂取による搬送のうち市販薬の摂取で運ばれた事例は、18年は32件だったが、20年は2倍以上の75件だった。

 国立精神・神経医療研究センターの松本俊彦(まつもと・としひこ)・薬物依存研究部長は、10代のOD患者の多くは非行歴がない一方で、メンタルヘルスの問題を抱えているケースが多いと指摘。家庭や学校で抱える精神的苦痛を緩和するため、市販薬に「鎮静剤」の役割を求める若者が多くを占めると説明し、「薬を無理やりやめさせれば逃げ場を失ってしまう。医師や周囲の人が信頼できる話し相手になり、薬以外の選択肢を持ってもらうことが必要だ」と強調する。

 埼玉医大病院臨床中毒センター(埼玉県毛呂山町)の上條吉人(かみじょう・よしと)センター長によると、市販薬の中には依存性のある成分が含まれるものもあるため「繰り返し摂取すれば薬物依存に陥る危険がある」と警告。製薬会社は依存性のある成分を規制すべきだとし、ドラッグストアなどでの大量購入を防ぐ対策も重要だと話した。

 ※オーバードーズ

 薬剤などの過剰摂取を意味する「overdose」。「dose(ドーズ)」は、薬を服用する際の1回あたりの用量を指す。若者による市販薬の大量摂取は、違法ではないものの、依存症に陥ったり内臓を悪くしたりする例が増えていることから、社会問題になっている。

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