前立腺肥大症の最新治療機器 岐阜県内で初導入 高温水蒸気で肥大組織を壊す 県立多治見病院
2023年1月17日 (火)配信岐阜新聞
岐阜県立多治見病院(多治見市前畑町)は、前立腺肥大症の最新治療機器「Rezum(レジューム)システム」を県内で初めて導入した。高温の水蒸気で前立腺の肥大組織を壊死(えし)させる治療法。切除を伴わず体への負担が少ないため、高齢患者の新たな選択肢として期待されている。
同システムはボストン・サイエンティフィックジャパン(東京都)が販売し、昨年9月1日から保険適用された。全国で導入の動きが広がっている。
前立腺肥大症は、前立腺が肥大して尿道が圧迫される進行性の病気。80歳以上では80%を超えるといわれている。
同システムでは、内視鏡で尿道から入り、高温の水蒸気を注入。肥大した組織を壊し、体内で自然に吸収されることで退縮させ、症状を緩和する。10分以内の短時間で済み、尿道粘膜や性機能温存が可能。患者の体への負担が少ないため、全身状態が悪く合併症の危険性が高い人などにも手術が可能になる。
泌尿器科部長の藤田高史医師(47)が担当し、12月の導入後1件を行った。前立腺肥大症の症例は年間30~40件あり、うち20~24件について今後、同システムによる手術が適用できる見通し。
藤田医師は「80歳を超える高齢者、抗凝固薬を飲んでいて手術に耐えられない人、認知症でじっとしていられない人などに向く。薬物治療の効果が不十分で切除手術をためらっている人に知ってほしい」と話している。