バイデン氏「あなたは真の友人」、岸田首相を自ら出迎え昼食会も…日本の防衛力強化を歓迎
【ワシントン=阿部真司】岸田首相は、就任から1年3か月で念願の米ワシントン訪問を果たし、バイデン大統領との信頼関係の強さをアピールした。米政府は中国に対抗するために日本の防衛力強化を歓迎しており、歓迎姿勢は首相へのもてなしにも表れた。 【表】主要国の国防費はこうなっている
会談のため移動する岸田首相(左)とバイデン米大統領(13日午前、ワシントンのホワイトハウスで)=源幸正倫撮影
13日午前(日本時間14日未明)から始まった日米首脳会談の少人数会合の冒頭、バイデン氏は「どうすればもっと緊密に協力できるかを考えるよりも、どう意見が違うかを考える方が難しい。あなたは真のリーダーであり、真の友人だ」と手放しでたたえた。
首相は防衛力強化と防衛費拡充の方針を伝え、「様々な重要な課題についてジョーと率直な意見交換を楽しみにしている」と述べた。
米側は今回、首相を手厚く遇した。首脳会談に先立ち、ハリス副大統領が首相を副大統領公邸に招き、朝食を共にしながら約1時間、意見交換した。首相がホワイトハウスの玄関前に到着するとバイデン氏が自ら出迎え、首相の肩に手を置いて親しげに言葉を交わした。
日本政府によると、バイデン政権では各国首脳は儀典長が出迎えるのが通例で、バイデン氏自ら出迎えるのは異例だという。バイデン氏が食事付きで会談するのも珍しく、昼食会ではコース料理を振る舞った。
両首脳の共同声明は、昨年5月に出したばかりだ。包括的な内容の共同声明を短期間で繰り返して発表するのは異例で、日本政府高官は「日米があらゆるレベルで緊密に連携できている証左だ」と語る。
軍事力を増強する中国に対し、米国だけで対抗するのは困難となっており、日本への期待は大きい。日本政府が昨年12月、防衛費と関係費を国内総生産(GDP)比2%に増やす方針を決めたことを受け、ラーム・エマニュエル駐日米大使が「きちんと待遇すべきだ」と、ホワイトハウスに働きかけたという。
首相は首脳会談後、記者団に「個人的な信頼関係もいっそう深めることができた」と成果を強調した。会談に同席した木原誠二官房副長官も記者団に「異例とも言える厚遇を受けた」と語った。