乳癌発症、歯周病+喫煙で36%増【米国癌学会】
禁煙20年以内で最も高リスク
米国学会短信2016年1月15日 (金)配信 産婦人科疾患癌その他
米国癌学会(AACR)は12月21日、閉経後の女性では歯周病があると乳癌発症リスクが高まるとした研究を紹介した。本研究はCancer Epidemiology, Biomarkers & Prevention誌に掲載されている。
研究では、Women’s Health Initiative Observational Studyに登録した乳癌を発症していない閉経後女性7万3737人を対象に、乳癌と歯周病の関連を検討した。これまでに歯周病による影響は、喫煙習慣によっても異なることが示されているため、喫煙習慣の関連性も調べた。
その結果、対象者のうち歯周病が報告された女性は26.1%で、追跡期間(平均6.7年)後に乳癌と診断された女性は2124人だった。乳癌リスクは歯周病のある女性の方が全女性よりも14%高く、特に禁煙20年以内の女性で歯周病がある場合は、乳癌リスクが36%高いことが分かった。 一方、研究時点で喫煙習慣がある女性の乳癌リスクは、歯周病のある女性が32%増加したものの、統計学的な有意差は認められなかった。喫煙歴がない女性や20年以上前に禁煙した女性では、歯周病のある女性の乳癌の発症リスク増加率は、それぞれ6%と8%だった。
禁煙後20年以内の女性は最もリスクがたかかったことが示されたことから、研究者のJo L. Freudenheim 氏は、「喫煙の影響がなくなるには時間を要することが分かった」と説明。さらに「喫煙者や最近禁煙した者の口腔細菌が非喫煙者とは異なっていることが明らかになっている」と述べている。
また、同氏によれば、歯周病と乳癌の関連性を説明する機序として、(1)歯周病による全身炎症が乳房組織に影響する、(2)口腔内から循環器に入った細菌が乳房組織にも影響する――などが考えられるという。