乳房の超音波検査とマンモグラフィの効果は同等
ただし超音波検査では偽陽性率が高い
HealthDay News2016年1月14日 (木)配信 産婦人科疾患癌検査に関わる問題
音波検査とマンモグラフィで乳がんが検出される確率は同等であることが、新たな研究で報告された。超音波検査のほうが利用しやすい開発途上国の女性にとってはよいニュースである。研究を率いた米ピッツバーグ大学医療センター、マギー・ウイメンズ病院のWendie Berg氏によると、両検査の検出率には差はないが、超音波検査ではリンパ節転移陰性の浸潤がんを検出しやすく、欠点は偽陽性が多いことであるという。
この知見に対し、米シティ・オブ・ホープがんセンター(カリフォルニア州)のLusi Tumyan 氏は、「今回の研究からいえることは、米国の女性の場合、乳腺濃度の高い(dense breast)患者はスクリーニングの補助として超音波検査を受けたほうがよいということ。現時点で、平均的リスクの患者に対し、スクリーニングツールとして超音波検査を支持するデータも、否定するデータも十分にない」と述べている。
「Journal of the National Cancer Institute」に2015年12月28日掲載された今回の研究では、超音波検査およびマンモグラフィを3年間、毎年受診した米国、カナダ、アルゼンチンの女性2,600人を対象とした。
対象者には研究開始時点で乳がんの徴候はなかったが、乳房の乳腺濃度が高く(危険因子の1つと考えられる)、その他にも1つ以上の危険因子があった。それぞれの画像を別の放射線科医が読影した結果、研究終了時点で110人が乳がんと診断された。診断率は2種類の検査の間で差はなく、偽陽性の結果はマンモグラフィに比べて超音波検査のほうが高かったという。超音波検査では32%の女性が追加検査を指示されたのに対し、マンモグラフィでは23%であった。
「乳がんリスクが高くはないが乳腺濃度の高い女性の場合、マンモグラフィに加えて超音波検査も実施するほうが、多くのがんを発見できることが示唆される」とBerg氏は述べている。「米国では両検査にかかる費用は同程度だ。特に発見の必要性が高い、浸潤性のリンパ節転移陰性がんがみつかる比率は、超音波検査のほうが高かった」と同氏は指摘する。
乳がんスクリーニングに関するガイドラインにはばらつきがあるが、現行の米国がん協会(ACS)のガイドラインでは、危険因子に応じて40歳から受診を検討し、45~54歳は毎年受診、55歳以降は2年に1回への切り替えも可能とし、一部の女性にはMRIも推奨している。