Mars&Jupiter

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イーゴリ・ストラヴィンスキーの歌劇「放蕩児の遍歴」第3幕を聴く

2012-08-17 11:22:15 | ストラヴィンスキーの作品
今回は前回からとりあげているストラヴィンスキーの
歌劇「放蕩児の遍歴(放蕩者のなりゆき)」の第3幕について、
演奏は昨日までと同様の自作自演によるものである。
第3幕第1場はトム・レイクウェル家の居間から始まる。
華やかな感じの音楽で始まり、人々が集まりにぎやかな感じが描写される。
ニックが持ちかけた事業は失敗し、トムは破産する。
コーラスはそのトムの破産を示すかのように不気味な感じを出している。
トムの家では競売人のゼレムが家具の競売を始めている。
群衆が彼の家の前に集まる中、アンはトムを探し求めて、
ゼレムの競売をする歌に、群衆は値を上げて参加していく。
やがてはトムの妻、ババまでが競売にかけられようとする。
妻をオークションにかけるということは、
当時のイギリスの文書にも見られることである。
ババはトムを今でも心配しているアンと会話をし、
トムがまだアンのことを愛していることを伝え、身を引く。
そして、アンにトムとともにいるニックに気をつけるように言う。
競売は終わり、アンはトムのもとに行こうとする。
ババは馬車に乗って去っていき、最後華やかに終わる。

第3幕第2場は星のない夜、墓場が場面となっている。
低弦により不気味な世界が描写されて始まる。
トムが不安さを歌う前にニックが現れ、
一年と一日が経ったので支払いがほしいという。
トムは財産がないことをいうと、ニックはお前の魂がほしいという。
二人の二重唱が続き、困惑するトムに対し、
ニックは賭けをして勝ったら猶予することを提案する。
その提案に乗ったトムはニックとトランプで賭けをする。
アンへの真実の愛に目覚めた彼は賭けでニックに勝ち、
トムはアンを求めようとし、アンの声が舞台裏から聞こえる。
敗れたニックは怒り、トムを放り込むための墓穴に入るが、
その時にトムへ精神障碍者となるように呪いをかける。

第3幕第3場は精神病院の場面となる。
狂気のうちに自分をアドニスだと思い込んでいるトムは、
ヴィーナスを求めて歌い、周囲の精神障碍者たちはコーラスを歌う。
管理者に導かれ、そこにアンが訪ねて来る。
アンがトムをアドニスと呼ぶと、アンをヴィーナスだと思ったトムは、
その喜びを歌い、トムとアンによる二重唱が続いていく。
急によろめくトムをアンはしっかり彼を支える。
そして彼のために子守唄を歌い、トムは眠りにつく。
そこに父トゥルーラヴがやって来て、アンを連れて帰ろうとする。
アンはトムに別れを告げようと歌い、トゥルーラヴとの二重唱となる。
歌が終わると、トムは眠りから目覚め、アンがそこにいないことに気づく。
「ヴィーナス、何処に行ったんですか」と叫び、
彼女を探そうとするが見つからず、悲嘆にくれて寝床に倒れて死ぬ。
最後はエピローグの部分となり、墓の前で全員が合唱で物語が終わったことを歌う。
そして軽快な音楽に乗って登場人物がそれぞれに放蕩者の物語への教訓を歌っていく。
最後は全員で歌って、最後華々しく、颯爽と終わる。

全曲を通して初めてしっかりこの作品を聴いた。
最初にこの作品の全曲を聴いたのは1994年頃で、
18年くらい前のイギリスだったと記憶している。
ロンドンのクイーン・エリザベス・ホールで行われたこの演目は、
当時話題となっていたが、物語の内容がよく分かっていなかった。
最初からよく内容を知っておけば、また楽しみ方も違っていたんだろうなあ。
コメント
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