温泉クンの旅日記

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大津、あがり家(1)

2017-04-05 | 食べある記
  <大津、あがり家(1)>

 寒風のなかのテラス席での昼食で冷え切ってしまい、予定していた下鴨神社はすっぱりあきらめ、とにかく身体を温めようと地下鉄北山駅に出た。
 地下鉄を四条で降り京極に向かおうと錦市場を通ったのだが、まるで初詣のような人出であり、押し合いへし合いで進まなかった。しかも外人観光客は重そうなザックを背負いグループで目当ての店の前で突然立ち止まったり、あろうことか歩き食いをしているので渋滞に拍車がかかり始末に困る。
 京極の「スタンド」も外人でいっぱいでダメだった。



 祇園裏通りの白川あたりも観光客と新婚夫婦がいっぱいいて表通りと変わらない人出である。白川沿いの桜のライトアップだが、観光客が多すぎて今年は中止だそうである。
 祇園四条から八坂神社までの四条通の両側の舗道は、錦市場とまったく同じ混乱状態だった。



 ようやく入れた廿一軒町の喫茶店「ナカタニ」で珈琲を飲む。
 店内のあちこちに喫茶店らしくない岡持が積みあげられている。後で知ったがタマゴサンドとかサンドイッチを南座へ出前しているらしい。
 すこしだけ落ち着いたので、珈琲を飲みながら今回の旅を振り返る。



 突然、京都に行こうと思い立って京都市内に宿をとることは至難の業だ。
 トップシーズンの桜の四月と紅葉の十一月はとにかく絶対に無理のひと言だ。
 三大祭りである下鴨・上賀茂神社の葵祭り(賀茂祭り)の五月、八坂神社の祇園祭の七月、平安神宮の時代祭りの十月も極めて難しい。そして大文字五山の送り火が八月も一年前から予約せねば不可能であろう。地元のひと曰く、正月明け、梅雨時、祇園祭りのあと、紅葉が終わった十二月の第二週以降が空いているというが、宿がとれてもいく気がしない。

 では、手はまるでないかといえばそうでもない。
 発想を変えればいい。観光は京都でするが、京都ではないところに泊まればいいのだ。事実、大阪や滋賀に泊まる京都観光客は多いのだ。
 たとえば京都から大津までは琵琶湖線でたったの二駅、わずか九分しか掛からない。なんと京都府の府庁所在地の京都と滋賀県の県庁所在地の大津は直線で十キロ足らずと恐ろしく近いのである。



 ただ今回は思い立ったのが遅かったので、大津はとれず草津の先にある栗東泊まりになってしまった。それでも京都までは三十分とかからないのである。



 喫茶店を出て歩きだし、比較的空いているかと思った先斗町でさえ混んでいたので、騒乱とさえいえる喧しい京都の街をあきらめとっとと大津に向かうことにした。

 耳がおかしくなったかと思うほどの静謐な大津駅で降りると、前にいったことがことがある店に向かう。
(あった・・・)



 人はいないが予約がいっぱいなのだろう、案内されたカウンター席の端っこに座ると芋焼酎の水割りと鯛の刺身を頼んだ。




  ― 続く ―


   →「秋色の上賀茂神社(2)」の記事はこちら
   →「京極スタンド」の記事はこちら
   →「大津駅前、はもとの遭遇」の記事はこちら

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