<津軽海峡フェリー(2)>
(2)復路:函館~大間 (09:30―11:10)
ラビスタ函館ベイホテルの自慢の朝食を少量しかいただかず、函館港へ向かう。
駐車場に車を止め乗船手続きのため、ひさびさの函館港ターミナルへ。
なにしろ往路で着いた際には、先を急ぐため脇目もふらずにターミナル横を走り去ったのでまるで記憶がない。
飯場か番屋かと見紛う大間と偉い違いだが、これはフェリー路線の需要と供給の関係で止むを得ない。そうそうこの函館だって、それほどのターミナルではなかった。
わたしは建物がピカピカなものに新装されてからは、初めてだ。
往路で乗った船、「ばあゆ」が到着する。
前部が開かれ、本州からの車が北海道の大地に嬉々として踏み出し始める。隣の大型船は青森港行きだろう。
出航して、大型船の前部をみてこれがあの高速船「なっちゃん」だなと思う。
わたしも最初から辺鄙な大間港を往復に利用していたわけではなく、ずっと青森と函館を往復するフェリーを使っていたのだ。
フェリーに乗る前日には、夜の酒量を控え朝食も少量しか食べない。
函館から乗り、青森港に着く。ここで、一気に食欲が戻る。
国道へ出るまでに大型の焼肉店が何軒かあり、そのなかのお気に入りの一軒に乗りつけ極上の焼肉を腹いっぱい食うのが、青森に着いてすぐの無上の楽しみだった。極上といっても、千円以内のランチである。安い。
勤め人であるからには、旅に日数がかかる北海道旅は時期が限られる。
職場のみんなが交代で夏休みをとるあたりのころ、夏場の六月から九月くらいまでだ。これが台風のシーズンとピタリと重なる。
ある年、函館から青森へ帰ろうとしたら台風で足止めをくった。わたしは、珍しく予約がとれていた蔦の湯温泉の宿も泣く泣くキャンセルした。
フェリー客は函館港の駐車場で運航再開を延々と待つことになった。青森とか本州で大事な予定があるので次第に誰もがいらついて、ターミナルに状況を確認にいくがどうしようもない。
やがて深夜になり、大間港への便がまず運航することになり、わたしは迷わずに切符を買い求めた。
闇の中、黒い海は荒れ狂う凶暴さこそ潜めつつあったがまだ怒りは燻っていた。
うねりの残る暗い海峡をやや小さめなフェリーが進む。波は上下に船を持ちあげ、ときおり大波に揉みしだかれる。
船酔いに強いひとでもついに根をあげそうになるころ、対岸の大間港に着いたのであった。
この一回の経験で、北海道へは大間を使うようになってしまったのだ。
函館港は曇天のなかの出航だったが、一時間もすると綺麗に晴れてきてわたしもとても気分が良くなる。
このあたりの海峡であの巨大マグロが獲れるのだろうか。
しばらくして、大間がはっきり見えてきた。もうだいじょうぶ、すぐそこである。
よっしゃー、帰って来たぞ、大間港。
そろそろ、上陸の準備に船倉の車に乗り込む。
暗い船倉から青空に解放されるのは、いつでもたまらなく気持ちがいいものだ。
北海道が見える国道の端に車を止めて、名残を惜しむ。またくるぞ、と。
→「津軽海峡フェリー(1)」の記事はこちら
→「ラビスタ函館ベイ(1)」の記事はこちら
→「ラビスタ函館ベイ(2)」の記事はこちら
(2)復路:函館~大間 (09:30―11:10)
ラビスタ函館ベイホテルの自慢の朝食を少量しかいただかず、函館港へ向かう。
駐車場に車を止め乗船手続きのため、ひさびさの函館港ターミナルへ。
なにしろ往路で着いた際には、先を急ぐため脇目もふらずにターミナル横を走り去ったのでまるで記憶がない。
飯場か番屋かと見紛う大間と偉い違いだが、これはフェリー路線の需要と供給の関係で止むを得ない。そうそうこの函館だって、それほどのターミナルではなかった。
わたしは建物がピカピカなものに新装されてからは、初めてだ。
往路で乗った船、「ばあゆ」が到着する。
前部が開かれ、本州からの車が北海道の大地に嬉々として踏み出し始める。隣の大型船は青森港行きだろう。
出航して、大型船の前部をみてこれがあの高速船「なっちゃん」だなと思う。
わたしも最初から辺鄙な大間港を往復に利用していたわけではなく、ずっと青森と函館を往復するフェリーを使っていたのだ。
フェリーに乗る前日には、夜の酒量を控え朝食も少量しか食べない。
函館から乗り、青森港に着く。ここで、一気に食欲が戻る。
国道へ出るまでに大型の焼肉店が何軒かあり、そのなかのお気に入りの一軒に乗りつけ極上の焼肉を腹いっぱい食うのが、青森に着いてすぐの無上の楽しみだった。極上といっても、千円以内のランチである。安い。
勤め人であるからには、旅に日数がかかる北海道旅は時期が限られる。
職場のみんなが交代で夏休みをとるあたりのころ、夏場の六月から九月くらいまでだ。これが台風のシーズンとピタリと重なる。
ある年、函館から青森へ帰ろうとしたら台風で足止めをくった。わたしは、珍しく予約がとれていた蔦の湯温泉の宿も泣く泣くキャンセルした。
フェリー客は函館港の駐車場で運航再開を延々と待つことになった。青森とか本州で大事な予定があるので次第に誰もがいらついて、ターミナルに状況を確認にいくがどうしようもない。
やがて深夜になり、大間港への便がまず運航することになり、わたしは迷わずに切符を買い求めた。
闇の中、黒い海は荒れ狂う凶暴さこそ潜めつつあったがまだ怒りは燻っていた。
うねりの残る暗い海峡をやや小さめなフェリーが進む。波は上下に船を持ちあげ、ときおり大波に揉みしだかれる。
船酔いに強いひとでもついに根をあげそうになるころ、対岸の大間港に着いたのであった。
この一回の経験で、北海道へは大間を使うようになってしまったのだ。
函館港は曇天のなかの出航だったが、一時間もすると綺麗に晴れてきてわたしもとても気分が良くなる。
このあたりの海峡であの巨大マグロが獲れるのだろうか。
しばらくして、大間がはっきり見えてきた。もうだいじょうぶ、すぐそこである。
よっしゃー、帰って来たぞ、大間港。
そろそろ、上陸の準備に船倉の車に乗り込む。
暗い船倉から青空に解放されるのは、いつでもたまらなく気持ちがいいものだ。
北海道が見える国道の端に車を止めて、名残を惜しむ。またくるぞ、と。
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