<松本、烏城と十割ざるそば>
(ひゃー! 今日はなんか、背景のアルプスがとっても綺麗だ・・・)
松本に来ると、近場で便利なのでわたしはたいてい城を見にくる。
いままでにこの城を何度か同じアングルで撮っているが、空気がとことん澄んでいるせいか一番“抜けがいい”ように思えた。
「烏(からす)城」こと「松本城」である。
天守壁面に塗られた黒漆の艶めいた色が美しいことから、別名「烏城」と呼ばれているのだが、最近になってそんな文献は存在しないとしてHP上で「松本城の別名とされる“烏城”は誤りで、別名は“深志城”である」と主張しているそうだ。もしかしたらどこかの城にでも気をつかっているのであろうか。
固いこといわず、世間に既に広まってしまった“烏城”でいいではないかと思う。
松本駅に着くと、とりあえず予約した近場のホテルに荷物を預けることにした。
ずーっと行きたかった蕎麦屋「野麦」があいにく休業日だったため、困って、ホテルの初々しい女性コンシェルジュに訊いたところ「そば処 浅田」を勧めてくれたのだった。
「あそこか!」
なかなかの佇まいで、期待できそうだ。
シンプルすぎるメニューは、温かい蕎麦はきのこそばだけ、冷たい蕎麦はざるそばと十割ざるそばの二択、全部で三種類のみだ。「大盛」すらもない。
メニューにできればもう一品、大好きな“田舎そば”があったら、わたしはまったく悩まないですむのにな。
(そういえば「発芽そば」とかいう、小布施の十割蕎麦があったけな・・・)
なぜか最近知った十割そばをふと思いだしてしまい、ついつい高い「十割ざるそば」(1,200円)と、蕎麦前として大吟醸「雪の茅舎(ゆきのぼうしゃ)」(800円)を注文してしまう。
「蕎麦屋に置いてある酒てえのは、どれでも旨いよ!」
斜め前に座った独り客が、蕎麦前の選択に迷いに迷っているのを見かねたのか厨房からでてきた主人が胸を張ってそう声をかけた。
「雪の茅舎」は、秋田の酒場で呑んだ記憶があった。たしか名前の由来は、茅葺屋根の家々が雪におおわれた秋田の冬景色である。香り豊かで雑味がなく、雪解け水のように澄んだ味わいである。
酒をひと口味わうと、水を飲んで口中を清めた。旅先の蕎麦の名店で「あの、もしかしてご同業の方ですか」と詰め寄られたこともある、いつもの悪いクセ(ルーティン作業)を始める。
蕎麦つゆを蕎麦猪口に入れ、ほんの少しだけ啜る。
和食での椀物の出汁のように、つゆで蕎麦屋の力量と甘みの加減を測る。甘ければ薬味の投入を早めるのである。
高度な職人技が光る、十割ならではの綺麗な切り口の美人蕎麦が登場すると、二、三本摘み、蕎麦を味わう。
コシとしなやかさはないが、香りと風味がとても強い。いい蕎麦だ。
蕎麦の半分をつゆだけで、残りを、薬味の葱と安曇野産のわさびを入れたつゆ、そして最後は伊那産のからみ大根を加えたつゆで食べきる。
満足感を感じながら残りの酒をゆっくり味わうと、濃い目の蕎麦湯で締めくくった。
二八だ十割だとか、わたしは蕎麦粉とつなぎの配合比率にまったく拘らない。
美人な十割もいいが、可愛くて魅力的な二八もいい。できるだけ安くて、とにかく問答無用で旨い蕎麦が好きなのだ。
→「もときの天麩羅蕎麦」の記事はこちら
(ひゃー! 今日はなんか、背景のアルプスがとっても綺麗だ・・・)
松本に来ると、近場で便利なのでわたしはたいてい城を見にくる。
いままでにこの城を何度か同じアングルで撮っているが、空気がとことん澄んでいるせいか一番“抜けがいい”ように思えた。
「烏(からす)城」こと「松本城」である。
天守壁面に塗られた黒漆の艶めいた色が美しいことから、別名「烏城」と呼ばれているのだが、最近になってそんな文献は存在しないとしてHP上で「松本城の別名とされる“烏城”は誤りで、別名は“深志城”である」と主張しているそうだ。もしかしたらどこかの城にでも気をつかっているのであろうか。
固いこといわず、世間に既に広まってしまった“烏城”でいいではないかと思う。
松本駅に着くと、とりあえず予約した近場のホテルに荷物を預けることにした。
ずーっと行きたかった蕎麦屋「野麦」があいにく休業日だったため、困って、ホテルの初々しい女性コンシェルジュに訊いたところ「そば処 浅田」を勧めてくれたのだった。
「あそこか!」
なかなかの佇まいで、期待できそうだ。
シンプルすぎるメニューは、温かい蕎麦はきのこそばだけ、冷たい蕎麦はざるそばと十割ざるそばの二択、全部で三種類のみだ。「大盛」すらもない。
メニューにできればもう一品、大好きな“田舎そば”があったら、わたしはまったく悩まないですむのにな。
(そういえば「発芽そば」とかいう、小布施の十割蕎麦があったけな・・・)
なぜか最近知った十割そばをふと思いだしてしまい、ついつい高い「十割ざるそば」(1,200円)と、蕎麦前として大吟醸「雪の茅舎(ゆきのぼうしゃ)」(800円)を注文してしまう。
「蕎麦屋に置いてある酒てえのは、どれでも旨いよ!」
斜め前に座った独り客が、蕎麦前の選択に迷いに迷っているのを見かねたのか厨房からでてきた主人が胸を張ってそう声をかけた。
「雪の茅舎」は、秋田の酒場で呑んだ記憶があった。たしか名前の由来は、茅葺屋根の家々が雪におおわれた秋田の冬景色である。香り豊かで雑味がなく、雪解け水のように澄んだ味わいである。
酒をひと口味わうと、水を飲んで口中を清めた。旅先の蕎麦の名店で「あの、もしかしてご同業の方ですか」と詰め寄られたこともある、いつもの悪いクセ(ルーティン作業)を始める。
蕎麦つゆを蕎麦猪口に入れ、ほんの少しだけ啜る。
和食での椀物の出汁のように、つゆで蕎麦屋の力量と甘みの加減を測る。甘ければ薬味の投入を早めるのである。
高度な職人技が光る、十割ならではの綺麗な切り口の美人蕎麦が登場すると、二、三本摘み、蕎麦を味わう。
コシとしなやかさはないが、香りと風味がとても強い。いい蕎麦だ。
蕎麦の半分をつゆだけで、残りを、薬味の葱と安曇野産のわさびを入れたつゆ、そして最後は伊那産のからみ大根を加えたつゆで食べきる。
満足感を感じながら残りの酒をゆっくり味わうと、濃い目の蕎麦湯で締めくくった。
二八だ十割だとか、わたしは蕎麦粉とつなぎの配合比率にまったく拘らない。
美人な十割もいいが、可愛くて魅力的な二八もいい。できるだけ安くて、とにかく問答無用で旨い蕎麦が好きなのだ。
→「もときの天麩羅蕎麦」の記事はこちら
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます