温泉クンの旅日記

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東海道五十三次(3)

2008-03-23 | 街道を歩く
  <東海道五十三次(3)>

 (3)大磯~小田原

 酒呑みだから、いろいろと失敗談は尽きない。
 そのひとつが乗り越しである。酔いと電車の快い揺れで、不覚にもちょいちょい
深い眠りに落ちてしまうのだ。学習能力が希薄なのか、飲み代が三千円くらいから
いっても五千円で、タクシー代が一万五千円などと馬鹿馬鹿しいことこのうえな
い。

 わたしが使う戸塚駅は、東海道線と横須賀線が止まる。だからとんでもないとこ
ろまで行ってしまうのだ。
 東海道線で戸塚のひとつ先の大船で「あ、いかん! 乗り越した」とガバッと
起きて、「あっ、あの電車だ。よし!」と勝手に決めつけてホームと跨線橋を、
酔客を蹴散らしながら脱兎のごとく走り、ドアが閉まる寸前に飛び乗った横須賀線
でさらにひと駅先に行ってしまったこともあるのだ。言い訳無用の馬鹿丸出しで
ある。

 横須賀線では、終点の横須賀、久里浜、逗子など。途中の大船、鎌倉などは数限
りない。
 横須賀線は総武線と連絡しているところから、木更津のすぐ手前の姉ヶ崎まで
行ってしまったこともある。東京湾を挟んで反対側である。これはショックであっ
た。あとから思えば地下のホームの千葉方面側の椅子にウトウトしていて、来た
電車に飛び乗って眠りこけたのであろう。

 であるから、当然、東海道線でも大船から小田原まであちこち乗り越したもの
だ。小田原への乗り越しも十回ぐらいあるのではないか。



 一度など、新橋で乗ったとたんスヤスヤと眠り込んで、起きたら目の前に新幹線
乗り場の長大な建物があり、小田原と知って愕然として、時間的にまだあった上り
の電車に乗り、よせばいいのに乗ったとたん安心してふたたびガーピー眠り込み、
起きたらまた目の前を新幹線が目の前を横切っていて、振り出しの新橋に戻った
こともあるのだ。あまりの無念と不覚に、ただ唇をかみ締め悔し涙を飲むだけで
ひとには言えない。

 小田原まで乗り越して手持ちの金がなかったときなど、酔った勢いで「よし、
歩いて帰るか」と本気で歩き出したこともある。もちろん、あっけなく途中で挫折
した。小田原から戸塚の距離は十里(40キロ)あるから、元気なときでも十時間かか
るのだ。

 さて、その因縁の小田原までのウォーキングである。


9.大磯~小田原 3月15日 3時間50分 22,061歩 15キロ

 東海道も大磯から、小田原、箱根、三島まではキツイ行程となる。
 それぞれが四里(約16キロ)ある。
 大磯から小田原までは高低差がないのでまだしもだが、小田原から箱根までは
標高約八百メートルの登り、箱根から三島までは降りだから、相当に疲れることを
覚悟しなければならない。

 大磯を発して小田原に向かって歩き始める。
 街道沿いに、いかにも由緒のありそうな蕎麦屋だの和菓子屋などをみかける。



 大磯宿には本陣が三つあったそうだ。


 
 歩き出してすぐ気温があがってきて汗が噴出しはじめた。日なたでは二十度を
越しているのではないか。
 昔日の東海道の面影を残す松並木の道となった。



 金柑だろうか、艶のある緑のなかに若々しいオレンジ色が鮮烈である。そういえ
ば喉が渇いてきた。





 あまり飲み食いはしないのであるが、途中のコンビニでエビアンの小さいボトル
を購入した。

 やっと小田原市にはいった。



 翌日に湘南マラソンがあるようで、今日歩くことにしてよかったなと思う。

 汐の香りに誘われて脇道にはいり、海岸に出てみた。海の色が汚れていて波が
荒い。



 小田原駅近くで支那ソバ屋の450円のラーメンをみつけ、これなら量的にちょう
どいいとかなり遅めの昼食とした。歩いているときや疲れきったときは、軽めの
ものしか身体が欲しないようだ。



 ふだんビールはやらないが、あまりの暑さに生ビールが無性に呑みたくなった。
しかし、小田原で呑みはじめるのも、なにかいやな展開が頭にちらつきぐっと我慢
したのであった。


  累計:9宿(次) 日本橋より20里半(82キロ) 所要日数:9日
     所要時間:19時間30分 
     歩数:127,895歩 歩いた距離90キロ 
     交通費:2,960円(戸塚までは通勤定期を使用)
     宿泊費:0円


  →「東海道五十三次(2)」の記事はこちら

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