温泉クンの旅日記

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読んだ本 2019年4月

2019-04-28 | 雑読録
  <読んだ本 2019年4月>

 酒呑みはたいてい漬物好きである。
 わたしもその例にもれないが血圧が高いので漬物は意識してセーブするようにしている。

 それなのに突然、しゃくし菜が食べたくなった。秩父の宿で五回くらい泊まっているが記憶がない。秩父地方の名物「しゃくし菜」は正式名称を「雪白体菜(せっぱくたいさい)」といって葉の形状がしゃもじに似ていることから名づけられた。一見したところ野沢菜に似ているが繊維質が少なく、塩辛くない。

 埼玉の秩父の<しゃくし菜>が食べられる酒場をどこか知りませんか? と酒場通の友人にメールしてみた。
「あるよっ!」
 間髪いれず返信がすぐに来たのは、さすがである。店名、住所、営業時間など詳細も書いてあった。
 友人はBS番組「酒場放浪記」は見逃さず必ず観ると決めているようで、放送日には酒場でどんなに盛りあがっていてもフッといつのまにか消えてしまう。時間を見計らって飛んで帰り番組に間に合わせるという変わったヤツである。たしか<ばっきゃ味噌>で呑みたくなったときもお世話になった。その酒場(酒肆)に関する知識は広範で、わたしには至極重宝、秘かにシュッシ―君と呼んでいる。

 六時半に店を見つけて入ってみると、カウンター席しか空いていない盛況ぶりだった。さっそく一番安い緑茶ハイとしゃくし菜を注文する。勘定は割り勘が鉄板ルールだが、この店は教示願ったのでそうもいくまい。

 

 しゃくし菜は、酸味こそ強めだがしゃきしゃきと歯触りもよくて思った通り酒にぴったりの逸品だ。ただ、包丁をもう一、二回ザックリと入れてもらうほうが好みである。

 残業を切りあげすっ飛んで来たというシュッシ―君が合流してくれて、焼き鳥も追加注文する。

 

 東松山焼き鳥(焼きトン=カシラ)にはピリッとする辛し味噌が付いていて、焼き鳥については好き嫌いの激しいわたしでも食べられた。
 バラは博多で旨いのを食べた記憶がまだ強烈に残っているのでこの店のはちょっと無理筋、シュッシ―君にお任せした。

 グレープフルーツやプチトマトをチーズに載せたクラッカーの彩りに魅かれて注文したが、これが冷酒にもぎりに合ってけっこういける。

 
 
 もう一軒だけ付き合えといわれ断れず、注文をあきらめたが、他の客が頼んだ辛し味噌で炒めた焼きそばに強烈に唆られた。

 さて、4月に読んだ本ですが、低迷の5冊、年間累積で25冊です。
 
 1. ○安南からの刺客      新・古着屋総兵衛八  佐伯泰英 文春文庫
 2. ○たそがれ歌麿      新・古着屋総兵衛九  佐伯泰英 文春文庫
 3. ○花氷                      松本清張 光文社文庫
 4. ○怪盗桐山の藤兵衛の正体 八州廻り桑山十兵衛   佐藤雅美 文芸春秋
 5. ◎あきない世傳 金と銀四 貫流篇         高田郁 ハルキ文庫

 久しぶりに読んだ「あきない世傳」第四巻なので、筋を思い出すにえらく時間がかかった。
 心斎橋で繁盛する店前現銀売りの呉服商に仕事振りを見に入った幸は、その店で「といち」、「いちと」、「ろくし」という言葉が、手代が丁稚にかける台詞の頭に付いているのに気づく。

 店を出て暫くしてから、幸は番頭の鉄助に訊く。
 
  「『といち』だの『いちと』だの、一体何の符牒なのかしら」
   と尋ねた。
   鉄助は、人差し指で空に「上」という字を書いて見せる。
  「『ト』に横一文字で、『上』という符牒やて、治兵衛どんに教わりました。五十鈴屋ではそないな符牒は使いまへんが、
  店前売りではお客の身形から、どないな絹織を求めてはるか、おおよその判断をするんだす。丁稚に上物を出すように
  指示する時に『といち』いうんだす」
   幸も真似て、「ト」と「一」と空に描いて、ああ、なるほど、と唸った。「一」と「ト」で「下」、「ロ」に串を刺せば
  「中」になる。


 

 商売ではけっこう符牒や隠語を使う。寿司屋も当たり前のように使うが、ピン(1)、キワ(9)など数(価格)の符牒を知るとオアイソの金額が大体わかる。
 スーパーや量販店、デパートなどでも注意して聞くと店内放送で日常的に使っているのがわかって面白い。温泉旅館ではB&Bの泊まり客を「たぬき」と呼ぶ。夕食抜きだから夕抜き、からきていて決して客の見かけではない。


   →「秋保のタヌキ」の記事はこちら
   →「読んだ本 2019年3月」の記事はこちら


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