<博多で餃子>
先だって博多うどんが食べたくなり東京駅八重洲地下街の店にいったら、九月二十四日を以って閉店した、永年のご愛顧に感謝する旨の貼紙がしてありびっくりした。
その店はずいぶん長い間八重洲地下街で営業してきたのであるが、すぐ前に讃岐うどんの大きな店ができたのがもしかしたら閉店の原因だろうか。
それとも、流行っている飲食店でも後継者がいないというだけで閉店しているのも多いので、そちらが原因かもしれない。
博多の中洲近くに安いホテルをみつけ泊まったときのことだ。
夕食はついていないので、天神方面にでもいってみることにした。
昼に鯛茶漬けを何度か食べたことのある店にいったが、夜は料亭らしくメニューも出ていなかった。一品料理などは出さないかもしれないと敬遠した。
天神駅に近い西鉄グランドホテルのそばに、フュージョン・ジャズが流れていて、森伊蔵を格安で呑ませてくれた店があったことを思い出した。
記憶にあるあたりをぐるぐる探してみたがどうしてもみつからない。トンコツスープの匂いがきつく漂う屋台の前を何度も往復してしまう。
そういえば、ひと昔といえるほど月日が経っている。やはり飲食店で、長期に営業していくことは相当に難しいことなのだろう。
あまりにこの日の博多が夜になっても異常に暑かったので、手近な店に飛び込んだ。刺身と酒をオーダーしたが、ひとくち食べて呑んだ瞬間に店選びに失敗したことを気づかされた。店選びは焦ったり妥協するとロクなことはないのだ。
博多は、いい味の料理を提供してくれて料金も適切な店が多いので、失敗は珍しいことだ。
すぐにあきらめて勘定すると、グランドホテル裏の大名あたりをぶらぶら歩いた。
これだ、という店がなさそうなら警固(けご)のほうまで足を伸ばすつもりである。せっかく博多で呑むのだから、わたしの博多のイメージを壊すような店はご免である。
さすがに大名、どの路地もひと通りが凄い。
何本目かの路地を、あちこちの店を覗きながら歩いていると目の前に「テムジン餃子」の提灯をみつけたのだ。そういえば昔のヒット曲に「イムジン河」ってあったなあ。
博多はいろいろ旨いものがあるが、餃子もぜひ試してほしい、そんな記事をどこかで読んだことを思い出した。
さきほどの不味かった刺身の口直しに次の居酒屋などやめて、思い切り気分を変え「餃子」もいいかもしれない。酒くらい置いてあるだろう。よし。
カウンター席に座ると、とりあえず芋焼酎の水割りを頼んだ。
広い店だが、八割ほどの客の入りである。客層は若い。深夜遅くまでやっているようだから、ピークはこれからになるのだろう。
焼酎が運ばれてきて、さきほどの店とは違ってちょうどいい濃さである。
そうだ餃子を頼まねばとメニューをみると、十個単位である。ただし、四百八十円と安い。
「五十個、あがったよ!」
と運んで行くところをみて、ビックリする。いったい、何人で食べるのだろうか。
「ええと、餃子十個と、三種の豆腐で!」
豆腐で焼酎を呑みながら、メニューをよく見るとここは麺類は少なく炒飯が人気があるようである。それにしても清潔に磨きあげられた厨房で感心する。
運ばれてきた餃子の焼き色の良さはどうだ。なんとも手頃な大きさもいい。
一個食べて、なるほど博多の餃子はたしかに旨いと納得する。
どこかで食べた餃子に似ている。どこだろう・・・そうか、大阪の点天の餃子に似ているのだ。あれほどのしっかりした味ではないが、たしかに二十個食べられる餃子である。
創業四十七年という。十年でも大変なのに半世紀に近い営業とはもの凄いことである。
博多の餃子・・・すっかり気に入って焼酎のお代わりを注文するわたしであった。
先だって博多うどんが食べたくなり東京駅八重洲地下街の店にいったら、九月二十四日を以って閉店した、永年のご愛顧に感謝する旨の貼紙がしてありびっくりした。
その店はずいぶん長い間八重洲地下街で営業してきたのであるが、すぐ前に讃岐うどんの大きな店ができたのがもしかしたら閉店の原因だろうか。
それとも、流行っている飲食店でも後継者がいないというだけで閉店しているのも多いので、そちらが原因かもしれない。
博多の中洲近くに安いホテルをみつけ泊まったときのことだ。
夕食はついていないので、天神方面にでもいってみることにした。
昼に鯛茶漬けを何度か食べたことのある店にいったが、夜は料亭らしくメニューも出ていなかった。一品料理などは出さないかもしれないと敬遠した。
天神駅に近い西鉄グランドホテルのそばに、フュージョン・ジャズが流れていて、森伊蔵を格安で呑ませてくれた店があったことを思い出した。
記憶にあるあたりをぐるぐる探してみたがどうしてもみつからない。トンコツスープの匂いがきつく漂う屋台の前を何度も往復してしまう。
そういえば、ひと昔といえるほど月日が経っている。やはり飲食店で、長期に営業していくことは相当に難しいことなのだろう。
あまりにこの日の博多が夜になっても異常に暑かったので、手近な店に飛び込んだ。刺身と酒をオーダーしたが、ひとくち食べて呑んだ瞬間に店選びに失敗したことを気づかされた。店選びは焦ったり妥協するとロクなことはないのだ。
博多は、いい味の料理を提供してくれて料金も適切な店が多いので、失敗は珍しいことだ。
すぐにあきらめて勘定すると、グランドホテル裏の大名あたりをぶらぶら歩いた。
これだ、という店がなさそうなら警固(けご)のほうまで足を伸ばすつもりである。せっかく博多で呑むのだから、わたしの博多のイメージを壊すような店はご免である。
さすがに大名、どの路地もひと通りが凄い。
何本目かの路地を、あちこちの店を覗きながら歩いていると目の前に「テムジン餃子」の提灯をみつけたのだ。そういえば昔のヒット曲に「イムジン河」ってあったなあ。
博多はいろいろ旨いものがあるが、餃子もぜひ試してほしい、そんな記事をどこかで読んだことを思い出した。
さきほどの不味かった刺身の口直しに次の居酒屋などやめて、思い切り気分を変え「餃子」もいいかもしれない。酒くらい置いてあるだろう。よし。
カウンター席に座ると、とりあえず芋焼酎の水割りを頼んだ。
広い店だが、八割ほどの客の入りである。客層は若い。深夜遅くまでやっているようだから、ピークはこれからになるのだろう。
焼酎が運ばれてきて、さきほどの店とは違ってちょうどいい濃さである。
そうだ餃子を頼まねばとメニューをみると、十個単位である。ただし、四百八十円と安い。
「五十個、あがったよ!」
と運んで行くところをみて、ビックリする。いったい、何人で食べるのだろうか。
「ええと、餃子十個と、三種の豆腐で!」
豆腐で焼酎を呑みながら、メニューをよく見るとここは麺類は少なく炒飯が人気があるようである。それにしても清潔に磨きあげられた厨房で感心する。
運ばれてきた餃子の焼き色の良さはどうだ。なんとも手頃な大きさもいい。
一個食べて、なるほど博多の餃子はたしかに旨いと納得する。
どこかで食べた餃子に似ている。どこだろう・・・そうか、大阪の点天の餃子に似ているのだ。あれほどのしっかりした味ではないが、たしかに二十個食べられる餃子である。
創業四十七年という。十年でも大変なのに半世紀に近い営業とはもの凄いことである。
博多の餃子・・・すっかり気に入って焼酎のお代わりを注文するわたしであった。
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