温泉クンの旅日記

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鹿教湯の橋

2014-07-20 | 温泉エッセイ
  <鹿教湯の橋>

 勾配がゆるやかな湯坂をくだっていくと、趣のある五台橋があった。



 鹿教湯(かけゆ)温泉でわたしが一番好きな場所である。
 橋の下の、小さな渓谷を流れているのは内山川だ。



 日本で屋根付きの橋はひじょうにめずらしいが、この五台橋は現世と神の世界を結ぶ橋ということだ。

「マディソン郡の橋」という映画があった。
 旅のカメラマンのロバート・キンケイド(クリント・イーストウッド)が、アイオワの片田舎にある屋根付きの橋「ローズマン橋」を撮りにいき、農場の主婦フランチェスカ・ジョンソン(メリル・ストリープ)と知合って恋に落ちる。
 なかなかいい映画であり、何度もわたしは観てしまった。わずか四日間の恋に燃えあがってしまう、大人のラブストーリーである。原作の本も読んだ。
 橋好きでもあるわたしは、鹿教湯温泉というとこの橋のある風景が必ずまず浮かんでしまう。



 温泉街の真ん中にある道祖神まで戻った。小さな社には恵比寿様と大黒様が祀られている。



 懐かしい瓶詰めの自動販売機を目ざとくみつけると、条件反射のように喉が渇いているのに気づき硬貨を入れて一本を買い求めた。



 旨い・・・。清涼が喉をおちていく。たまに飲んだせいかやたらに美味しかった。
 青空の底に伸びる鹿教湯の町を貫く湯端通りには、両側に宿や商店が静かに並んでいた。



 宿に戻って心づくしの朝食を食べる。





 昨日からいくども温泉に浸かった。単純泉で源泉温度は低いが柔らかないい湯である。



 鹿教湯の開湯は千二百年前、鹿に姿を変えた文殊菩薩が信仰心のあつい猟師に温泉を教えたという開湯伝説がよく知られている。五台橋の近くにある文殊堂には、行基が彫った文殊菩薩像が安置されているそうだ。
 露天のほうの湯はぬる過ぎたので、もっぱら内湯の湯を利用した。



 温泉にいくことは、もちろん温泉そのものに癒される効果があるのだが、転地効果も大きい。
 陽が落ちると鹿教湯の町は静まりかえり、狭い内山川の流れ落ちる音だけが支配している夜が訪れる。
 慌ただしい日常をすっかり忘れてしまえる静かな夜を、ここではゆっくりと味わえる。

 ・・・さて、鹿教湯温泉から別所は近い。久しぶりに北向観音でも寄って帰るとするか。



  →「鹿教湯連泊」の記事はこちら
  →「北向観音」の記事はこちら
  →「別所温泉(1)」の記事はこちら
  →「別所温泉(2)」の記事はこちら

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