温泉クンの旅日記

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奥飛騨、フレンチと温泉(2)

2014-07-13 | 温泉エッセイ
  <奥飛騨、フレンチと温泉(2)>

 宿には五つの貸切風呂がある。
 露天が二つと、檜造りの内湯が三つですべて無料だ。チェックインの三時から夜の九時までは完全予約制となっていて、二階にある予約案内板に部屋名の磁石プレート貼って予約する。以降はチェックアウトまで「貸切中」の札がなければどこでも自由である。

 浴衣に着替えて一階に降りる。まずは予約した露天風呂「多季の湯」のドアに架かった板を貸切中にして入る。



 思ったより広い露天風呂だ。一家五人でも問題ないだろう。宿の外観からきっと狭いだろうと決めつけていた。奥飛騨はプール並にでかい露天風呂があるところが多いが、この広さは手軽、実用的でまったく文句なしだ。
 主人の「湯がとても熱いのでお気をつけください」の注意を思いだし、いつもより入念に掛け湯をした。

 白雲荘の風呂は「栃尾温泉」と「蒲田温泉」の二種類の源泉を引きこんで使用している。高温なのでついでに宿の暖房や給湯にも利用されているそうだ。
 露天風呂に利用されている蒲田の湯の泉質は炭酸水素塩泉・塩化物泉、引湯量毎分五十リットル、源泉温度九十二度、引きこみ時の湯温六十二度である。
 たしかに熱い湯だ。唸りながらゆっくりと身体を沈めていく。

 五分ほど熱い湯に身体をほぐしてもらい、もうひとつ予約した二階の内湯「葉の湯」に向かった。
 四人でも楽に入れそうな大きめな内湯である。洗い場も広いので、ここで朝は髭剃ればいい。



 内風呂に利用されている栃尾の湯は単純泉、引湯量毎分百リットル、源泉温度七十二度、引きこみ時の湯温は五十八度である。露天風呂と同じく透明な湯だ。新穂高では中崎山荘の白濁湯がきっと珍しいのだろう。
 外気に晒されないので、熱すぎてすこし加水しながら掛け湯をする。
 ゆるゆる身を沈めると、檜の湯舟に身体を長々と力を抜いて浮かせた。
 水道を使ったら必ず栓を締めてから風呂を出てください、の注意どおりに途中で栓を締めた。忘れるひとがいて苦情になるという。

 浴衣を着て予約案内板の前まで戻ると、わたし以外の他の予約は入ってなかった。ええい、ものはついでである。なにしろわたしは筋金入りの温泉好きだ。いまがチャンス。次の客が到着する前にひと通り全部入ってしまおうと、飛ぶように階段を降りた。
 もうひとつの露天風呂の「歌瀬の湯」だ。



 さきほどの露天風呂より湯の底がすっきりしていてこちらのほうが気にいった。
 中くらいの内湯「露の湯」。



 小さめの内湯「囲の湯」。



 これで全部入った。汗まみれになったが、これより入る湯ふたつを決めた。露天は「歌瀬の湯」、内湯は大きめの「葉の湯」である。
 水分補給をたっぷりすると、半畳もない、折檻部屋のごときスペースの喫煙室で煙草を一服する。完全禁煙ですので、と主人がわたしの胸ポケットの煙草にチラリと視線を走らせながら注意したのである。
 白雲荘の宿を流れる空気は清浄そのもので、いかにも煙草を吸いにくい。わたしも珍しくたっぷり辛抱してしまったのだった。

 朝食は、素晴らしかったのひとことである。
 フレッシュジュースと、チーズとトマトを使った一皿。



 次いで新鮮な野菜サラダと、スープが加わる。



 玉子料理は目玉焼きをチョイス、期待通りの味に満足。





 パンは夕食時に出たものとまったく違う三種類の自家製パン。トースト、クロワッサンどちらも美味しかった。最後に恐る恐るクリームが載ったパンを食べたら、甘味をおさえたシュークリームみたいな味でペロリと食べてしまった。

「野菜サラダはお召し上がりにならないので?」
 シェフの質問に「野菜、好きでないので」と素直に答えてしまってから、チェックインのとき「お嫌いなものはございますか」と訊かれ「別に・・・とくにないです」とナマ返事したのを思いだす。最初にそれだけが出れば食べたのだが、品数があると好きなものから食べる性質なのだ。
「それはそれは、たいへん失礼いたしました。冷たいデザートになります」



 野菜サラダの皿を下げるシェフの眼に微かな怒りが走ったような気がするのは、たぶん見間違いではないだろう。またも減点追加である。

 食後に、丁寧にいれた珈琲を飲みながら、到着後に貸切風呂全部入ったのも知っているとしたら、あれも減点追加になるぞと思った。喫煙もさらに追加減点されているかもしれない。

 湯も食事も大満足したのだが、これは、再訪するにしてもだいぶ間合いを置いたほうが無難なようである・・・。


  →「奥飛騨、フレンチと温泉(1)」の記事はこちら

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