温泉クンの旅日記

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高湯温泉 福島・福島市(1)

2017-06-04 | 温泉エッセイ
  <高湯温泉(1)>

 あいにくの雨模様のなか、視界を閉ざす濃密な白い霧をフォグランプとヘッドライトでわずかに切り裂きながら山路を慎重に昇っていく。
 ぶあつい霧の層を突き抜け高湯温泉郷に入ったとたん、温泉の硫黄の匂いが歓迎してくれる。思わず頬がゆるむ。酒呑みが、もうもうと香ばしい匂いを撒き散らす焼鳥屋が建ち並ぶ横丁に迷いこんだようなものだ。
 連れのなかに女性陣がいるのなら、この時点でアクセサリーなど貴金属類をはずして高湯地区から出るまでバッグに入れておいたほうがいい。高湯周辺の住民は電子機器を年に一度買い替えなければならないくらい驚くほど硫黄成分が濃いのである。

「玉子湯」を左手にみながら、坂道をさらに温泉郷の奥のほうに向かって車を走らせる。
「高湯温泉イコール玉子湯」が鉄板のわたしなのだが、今回は予算の都合で別の宿に決めてしまったのだ。「花月ハイランドホテル」は土曜日なのに二食付き宿泊料金が玉子湯より、千円札で四、五枚ほど安かったのである。



 案内された部屋で浴衣に着替えるとフロントに向かった。
 さきほどチェックインしているときに貸切露天風呂「ひめさ湯り」の案内をチラリとみかけたので確認したかったのだ。露天風呂の写真をみると、いかにも広そうである。料金は・・・千と八十円と手ごろだ。予約状況を訊くと、今からなら二つとも使用可能ということで割安な宿泊料金のこともあり飛びついた。



 フロントの女性に案内されて「ひめさ湯り」の弐の湯の扉をあけてもらう。



(おぉ! 写真より実物のほうが広い・・・)
 使用中の札を下げて錠をかけ、脱衣所で手早く浴衣を脱ぐ。



 十人くらい入れそうな浴槽である。掛け湯を念いりにしてから、源泉掛け流しの白濁の浴槽に身体をゆるゆると沈めていく。強烈な温泉に全身が包まれる。
「酸性含硫黄カルシウム・アルミニウム硫酸塩温泉(硫化水素型)」と長い泉質だが簡単にいうと硫黄泉である。





 独り占め・・・で、まさにいまこそが至福のときだ。心配だった雨も、露天風呂の上にはちゃんと屋根が付いている。
 標高八百メートルあるので天気さえよければ眺望がいいのだが、あいにくの霧で残念だ。夜景も今夜は無理だろう。



 そうか・・・もともとは二つの貸切露天風呂だったんだ。間にあった間仕切りを取っ払ってひとつにしたのだ。





 無限大のマークのような、「8」の字を横にしたような浴槽。そして両側に対照的に配置された洗い場、脱衣場・・・。



 もやもやしていたが、すべてが腑に落ちた。
 それにしても倍の広さに改装して、五十分でこの料金はいかにも良心的であると感心する。

 いつも十五分とかからないのだが、めずらしく三十分も掛けてしまった。入り過ぎたかな。これは一度部屋に戻って水分補給でもするとしよう。


  ― 続く ―


   →「玉子湯」の記事はこちら
   →「続・玉子湯」の記事はこちら


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