温泉クンの旅日記

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來來亭のラーメン

2010-06-06 | 食べある記
  <來來亭のラーメン>

 高速の渋滞を避けて、大阪の難波から国道を使って滋賀に向かった。

 まず大阪から京都に抜けるところ、枚方で、通称「ひらパー渋滞」に掴まってしまう。片側二車線のうち左側が「ひらかたパーク」という遊園地への客で数キロじっと並んでいるのだった。
 ひらパーに関係ない車が次々と右側の車線に逃れる。わたしもそれを見習ってここはなんとかクリアできた。

 次が京都から滋賀にはいるところで、強烈な大渋滞にはまった。
 狭い抜け道の奈良街道から国道一号に出るのに、気が遠くなるような時間をとられた。
 国道一号に出て、文字通りX字型の平面交差点を抜け坂道を昇って渋滞が解消するまでの二キロくらいに、ありったけの我慢を掻き集めたのであるが、我慢が次々とイライラに塗り替わって溜まりすぎてまさに発狂寸前であった。



 滋賀県にはいってしまうと、嘘のように快調に走ることができた。
 国道沿いには「天下一品」と「來來亭」の看板がやたら多い。そういえばテレビで來來亭のラーメンを特集していたな。子どもから年寄りまで広い客層に受けていて、限定の葱ラーメンが人気があるらしい。
 大渋滞のショックからだいぶ立ち直ったことだし、食欲もでてきた。いってみるか。たしか見た目は背油チャッチャッのギトギトラーメンだが、あっさりしているらしい。



 入って右側に座敷の席、左側に厨房とカウンター席だ。昼時をだいぶ過ぎているので空いている。
「ご注文はどうしましょうか」
 カウンター席に座ったわたしは、メニューをみて評判の葱ラーメンを注文すると、
「申し訳ありませんが、本日分は終わってしまったのですが」
「では、ラーメンでいいです。あと、餃子も」
「かしこまりました。葱を多めにおいれしましょうか」
 一見「家系」ラーメン店のような雰囲気なのだが、礼儀正しく気持ちがいい応対である。

 ラーメンが運ばれてきた。



 たしかに背油がたっぷり浮いている。
背油を避けて恐る恐るスープを一口啜ってみると、意外なほどあっさりしていてビックリした。鶏がらスープ、だと思う。



 麺の触感はどちらかというと、ラーメンというより蕎麦に近い。これは背油と葱をのぞけば、十文字中華に似たラーメンである。
 ふむふむ、うまい旨い。たしかに、これなら子どもから年寄りまで幅広く受け入れられるはずだ。
 
 餃子が届いた。・・・ここから悲劇がはじまったのだ。
 餃子用の味噌だれが目の前にあったので試してみよう。どさんこ系の店で味噌だれで食べた餃子が絶妙の味わいだったことを思いだす。
 ドレッシング用の容器のキャップをとり、小皿にいれようとして手がとまった。
 よく振ってからご使用ください・・・と書いてあった。そうか振るのか。

「あっ、いけねぇ!」
 オーマイガッド! キャップをとったまま振ったものだから、味噌だれがあちこちに飛び散ってどえらいことになった。いい年をして恥ずかしい。いぶし銀の男もなにもあったものじゃない。顔から火がでるとはこのことだ。
 混んでいる時間帯でカウンターも満席だったら、ただではすまなかっただろう。
 慌てて大量のティッシュを使って、あと始末をする。
 店員の顔を盗み見ると、慌てて顔を逸らせた。



 いや~、格好悪い。
 まるで「生まれて初めての外食」をするオッチャンみたいではないか。
 動揺を隠し気持ちを落ち着けるために、時間稼ぎに、ラー油醤油の小皿も用意することにした。味噌とラー油の二種類の味で餃子を楽しむ大人の客を演じよう。

 ラーメン丼の左側が味噌だれでうっすら汚れているので、右側のきれいなところで、小皿にラー油たっぷりに醤油をちょっとたらす。
 小皿を持って餃子のほうに移動させようとして、遠近感を誤り水のポットにぶつけて、またラー油を半分ほどカウンターにぶちまけて衝撃でそのまま残りのラー油は皿ごとラーメン丼に身投げしてしまう。
 顔から火炎放射器なみに大量の火がでた。穴があったらはいりたい、とはこのことだ。
 
 またまたティッシュを大量に使って、飛び散ったラー油をふき取り、スープに浮いた小皿をとりだした。
 それでも小皿が当たったからいいようなものの、手が当たっていたら大量にはいった水と氷のポットがひっくり返って大惨事だった。そうなると、同業者の嫌がらせと思われて店からつまみ出されていたかもしれない。
 もう、店員のほうも振りかえれない。背中にいやな汗がでてくる。
 餃子とラーメンを食べきりうつむいて代金を払って店を出るまでの時間のことは、まったく覚えていません。

 これ以上、今日は大きな失敗をしたくない。彦根城に寄るのもとりやめて、まっすぐ長浜に向かう。





 ・・・きっと今日の大渋滞で、あのときわたしは壊れていたのだと思う。來來亭、いずれ仕切りなおさねばいかんな。
 長浜のホテルの露天風呂に漬かりながら、そう結論づけるのであった。 
 

  →「元祖十文字中華そば」の記事はこちら
  →「長浜宿界隈(1)」の記事はこちら
  →「慶雲館」の記事はこちら
  →「長浜太閤温泉」の記事はこちら

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