温泉クンの旅日記

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高山本線、雪景色(1)

2021-03-07 | ぶらり・フォト・エッセイ
  <高山本線、雪景色(1)>

 高山本線は富山駅に定刻に入線、客を呑みこむとすぐに出発した。

 

 二両編成の車内は観光客少なめ、多くは高校生と勤め人みたいで乗車率は130%から150%といったぐらいだろう。

 調べたところ、富山発高山本線の電車は各駅の猪谷行きが5時38分、7時21分、8時17分、10時32分で、「特急ひだ」名古屋行きが、7時58分、9時52分である。
 ホテルの朝食開始が6時30分なので、7時58分の特急も間に合いそうだが、余裕をみて8時17分発の各駅でいくことに決めた。

 
 
 ホテルの傍にある「国際会議場」という停留所より、すこし離れた「丸の内」という停留所まで歩いて、そこから路面電車に乗ったほうが駅に早く到着するとのフロントの助言に従った。
 富山駅は、北陸新幹線のせいで驚くほど立派に生まれ変わっていた。

 

 走り始めて都会を抜けたころ、車窓の曇りを拭って外をみると一面の雪景色だった。

 

 富山に宿泊したまさにその日に、この冬初めての強烈な寒波が凶暴で莫迦でかい雪空を引きつれて北陸に舞い降りたのだ。
 大雪は苛烈で容赦なくいっさいのものに降りそそぎ、絶え間なく空間を満たし、いっさいの音を呑みこみ静寂(しじま)に塗りつぶす。

 

 20分ほど走った駅で、ほとんどの乗客が降りてしまう。
 ここ、どこだ。と思ったらなんと越中八尾駅だった。高山本線に初めて乗るとばかり思っていたが、有名な祭りの「おはら風の盆」で来たことのある駅で、なんとも懐かしかった。
 乗換駅の猪谷駅に到着すると、乗客は数名にまで減っていた。

 

「あの電車に乗り換えればいいんですか」
 降りた客のうち二、三名が後方に歩いて行くが、念の為、ホームにいた駅員に訊いた。
「いえ、高山行きはもうすぐ入線になりますので、この位置あたりでお待ちください」
 と、右手の方角を指した。えっ、こっちから来るの? みれば、線路はまったく見えず雪だらけである。

 

 やがて、電車らしきものがチラリとみえた。

 

(おいおい、だいじょうぶなのか?!)
よく“肩で風を切る”という表現があるが、まさに“顔で雪を切る”といったちょっとふざけた感じで電車が進んでくる。無音で、だからか不気味でさえあるのだが、顔のデカイ猫が一生懸命に泳いでくるようでもあり、ついつい失笑してしまう。

 

 乗ってきた電車が折り返し富山駅となって出ていく。
 ホームに入った高山駅行きの電車に乗り込み、無事に発車したのでなんとなくひと安心する。実はこの数時間後、猪谷から飛騨古川間で運転見合わせとなり、翌日はなんと終日見合わせとなるのだった。

 

 何事もなく、なんとか終点の高山駅に到着した。

 

(高山駅、オマエもか!)
 何度か来ている高山駅だが、真新しい橋上駅舎に生まれ変わっていた。2016年に完成したそうである。

 

 さあて、好物のだんごと高山らーめんが待っているぞ。楽しみである。
 とりあえず、予定通りの店に向かうか、駅脇の喫煙所で一服しながら考えるとしよう。


  ― 続く ―


   →「人の盆」の記事はこちら
   →「富山の白えび」の記事はこちら


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