温泉クンの旅日記

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おむすびとひっつみ、ついでに冷麺

2011-04-06 | 食べある記
  <おむすびとひっつみ、ついでに冷麺>

 昼時、旅人が街道をはずれて河原に降りてくる。
 三度笠を脱いで、振り分け荷物を肩からおろして水辺に近寄る。せせらぎで手を洗い、口を漱ぎ、ついでに顔の汗を洗い落とす。

 大きめな石塊を選んで腰をかけて、経木の皮に包まれた弁当を使う。
 たいていは白いご飯の塩おむすびである。これをむしゃむしゃと頬張り、お新香をつまんでポリポリ齧り、竹筒にはいった水で流し込む。
 全部平らげると、せせらぎのなかの清流部分をみつけ、そこに竹筒を沈めて水を補充して荷物をかついで三度笠を被り、また街道に戻って歩き出す。

 股旅物の映画やテレビドラマで見掛けるシーンだ。
 この場面になると、いつも「ああ、おむすび食べたい。いますぐ食べたい」とわたしは思ったものだ。いまでも条件反射で思う。



 おむすび・・・握り飯・・・日本人なら嫌いな人はあまりいないのではないか。きっと日本人の遺伝子にはガッチリと組み込まれているのだ。

 遠野のふるさと村。



 なかを観て回るまえに小腹を満たすため、玄関のビジターセンター風樹舎の入り口脇にあるレストランにはいった。
 郷土料理を中心としたメニューのなかに「おむすび」というのを見つけてしまった。



 うーん、これだこれ。この山里の風景の雰囲気のなかではぜひとも食いたい。おむすび一個もなんだし、二個もいらないし・・・そうだ、昨日盛岡で食べて気に入った「ひっつみ」にしよう。



 開いたばかりで空いていたが、客がはいりだし、あちこちの席が埋まっていく。ジンギスカン(遠野の名物らしい)もあるようで、これは外のテラス席で食べるようだ。
 頼んでいたものが運ばれてきたが、いかにも旨そうな「おむすび」に、あちこちのテーブルから熱い視線を感じる。



 大きな握り飯をガッシと鷲掴みにして、ぱくっと咬みつきモシャモシャ頬張る。他の客、とくに男性客の視線が「おむすび」一点に無数に刺さった。
(旨い!)
 とばかりに、ひとり頷き、ひっつみの汁を啜る。
 オレもおむすびを追加注文しようかと、メニューを確認する客もいるようである。

 盛岡で食べた「ひっつみ」は魚介も入った濃厚な出汁であったが、遠野のは鶏と醤油で全体にさらりと上品な味わいであった。
 この上品な出汁には、「にゅうめん」を入れて食べたらきっと旨いだろう。もちろん、これはこれで完成された料理であることは間違いないのだが。

 気温があがるなか、ふるさと村をゆっくりひと回りすると、また小腹が減った。わたしは夜はもっぱら呑むので、朝と昼にけっこう食べるほうなのだ。



 さきほどのレストランにはいると、暑かったせいか、冷麺に眼が行ってしまう。冷たいものを口にいれたい。

(食べられるだけ食べて、あとは残せばいいだろう)
 と、割り切って注文する。どうせ、今夜の宿は夕食はないのだ、腹いっぱいになってもかまわない。
 
 初めて冷麺を食べたのは、盛岡の老舗焼肉店だった。もちろん冷麺でも超有名店である。
 食べた冷麺の、麺の歯応えがどうにもゴムのようで、一回で嫌いになった。それ以来食べていない。



 林檎もはいって彩りもいい。
 恐る恐る、箸をつけてみた。
 これがなんとも旨かった。麺が違うとこんなに食べられるのかと驚く。
 本場の盛岡で冷麺嫌いになったのが、離れた遠野で治ってしまったのは以外であった。



  →「南部ひっつみ」の記事はこちら
  →「マルカンデパート大食堂(1)」の記事はこちら
  →「マルカンデパート大食堂(2)」の記事はこちら

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