温泉クンの旅日記

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ゆめさき川温泉(2)兵庫・姫路

2019-07-14 | 温泉エッセイ
  <ゆめさき川温泉(2) 兵庫・姫路>

 ふと、黒川温泉の宿のことを懐かしく思いだした。
 えーい遅れついでだと「大観峰(だいかんぼう)」に寄り道して夕暮れの阿蘇五岳と九重連山を観賞してしまい、どえらく遅くに宿に到着してしまった。あのときは、風呂はもとより着替えする間も与えてもらえず、部屋に案内されるといきなり座らされての夕食だった。

 

(あ、しまった。まだ届いてない料理が一品残ってたんだ・・・)
 運ばれてきた焼肴の大皿には鮭に栗と白味噌を合わせたものをのせて焼きあげてあった。
「そろそろご飯をもらえますか」
 急いで食事を切りあげたいので、通りかかった係に声をかけた。
 兵庫県産米の木の子ご飯は平茸、シメジ、白平茸、エリンギ、なめこ、舞茸と、木の子たっぷりすぎるほどだが、それがまったく気にならないほど一体になっていて美味しい。それに姫路で作られた赤味噌仕立ての止椀と香の物だ。

 

 最後のデザートはきな粉プリン、おはぎ、果物だった。

 

 食事処から小走りで辿りついた大浴場は、思ったとおり人影がない。

 

 

 誰もいない更衣室で浴衣を脱ぎすてると、まずは、内風呂に向かう。
 たっぷり掛け湯した身体をゆっくり沈めて温める。

 

 よし、誰かが来る前に全部の浴槽に入ってしまおう。
 浴槽から浴槽へ、ムササビのように飛びまわる。薬草風呂、ジェットバスへ。

 

 満天の星空を眺める寝湯。残念ながら曇って星はみえなかった。

 

 踊り助平という言葉がある。
 思わず眉をひそめてしまいそうな言葉だが、ジツを言うとこれは尊称なのだ。もちろん覚える必要はない。
 岐阜の郡上八幡では三十二夜にわたって開催される「郡上踊り」と呼ばれる盆踊りが行われる。日本三大盆踊りのひとつだ。
 江戸時代から四百年以上続くこの踊りは十種類あり「郡上の八幡出てゆく時は、雨もふらぬに袖絞る」と、郡上節のひとつ<かわさき>の歌詞にあるようについ誰も彼もが時を忘れ汗まみれで踊ってしまうのだ。

 とくにお盆の四日間は地元民も観光客も一緒になって徹夜で踊り明かす。
 軽快で速い曲調の<春駒>の歌詞のなかにも「踊り助平が今来たわいな わしも仲間にしておくれ」と歌われているように、そんな踊りが根っから好きで好きでたまらない人を、親しみと尊敬をこめて「踊り助平」と呼ぶのである。
 その伝でいくと、さしずめわたしは温泉助平といったところになるな・・・。

 

 炭酸風呂は、動脈硬化症やわたしも気にしている高血圧症に効果があるので、ここはやはり無視できない。入ってしまおう。

 テーマパークのような風呂数だが、登別温泉などとは違い泉質がどれも変わらないのだから別に全部制覇しなくてもいいはずなのに、ここが温泉助平の悲しい性である。


  ― 続く ―


   →「ゆめさき川温泉(1) 兵庫・姫路」の記事はこちら
   →「黒川温泉(1)」の記事はこちら
   →「黒川温泉(1)」の記事はこちら
   →「郡上踊り」の記事はこちら

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