温泉クンの旅日記

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下町値段のビーフシチュー

2015-02-18 | 食べある記
  <下町値段のビーフシチュー>

(なに、このビーフシチュー安すぎじゃないの!?)



 わたしは年に一カ月禁酒生活に入る。
 禁酒方法は至極簡単で、とにかく夕飯をしっかり食べて飲酒欲をも司る満腹中枢の首根っこを有無を言わさずに押さえつけてしまう。それがわたしの禁酒スタイルであるのだ。
 この日、会社を出るのが遅れてしまい一刻も早く夕食にありつこうと、手近な大井町で降りたのだった。



 JR大井町駅東口側の駅前すぐにある、この洋食店「プロヴァンス」を見つけたのである。





 四人掛けテーブルが殆どの店内では分煙席などどこにもなく、どこでも喫煙できるのが堪らない。

 それにしても千五百円のビーフシチューは安いぞ。他の店なら軽く二千五百円以上はとるからなあ・・・騙されたと思って食べてみよう。

 これが、けっこう本格的なもので舌を巻いた。





 ドーンとでかい牛肉も丁寧に煮込んでまさに絶妙、パンも上等で量もほど良く、付け合わせのシチューに絡めて食べるパスタも心憎い。腹も膨れてパンパン、大満足してしまった。

 あとで創業者が「銀座コックドール」長年修行したと聞いて、なるほどと頷いた。あの松本清張の出世作「点と線」にも、レバンテとともに出てくるレストランである。

  『「何をご馳走しよう。洋食か、天ぷらか、鰻か、中華料理か?」
   「洋食がいいわ」
    二人の女はいっしょに返事をした。日本食の方は、店で見あいているらしかった。
    レバンテを出ると、三人は銀座に向かった。この時間なら、銀座もそう混んではいない。
   天気はよかったが、風は冷たかった。ぶらぶらと歩いて、尾張町の角から松坂屋の方に渡った。
   二週間前の年末と打って変わって、銀座も閑散だった。

   「クリスマスの晩はすごかったわねえ」
    安田のすぐ後で、二人の女はそんなことを言いあっていた。
    安田は、コックドールの階段をのぼった。ここも空いていた。
   「さあ、なんでも好きなものを言いたまえ」
   「なんでも結構だわ」
    八重子もとみ子も、いちおう遠慮したが、やがてメニューをかかえて相談しはじめた。』

          松本清張著「点と線」文春文庫より




 気にいってそれから禁酒期間中に二回も通ってしまった。昼のランチタイムに再訪したときには、チキンコロッケのランチメニュー。



 このカップポタージュ、じつに濃くて味わいの深い絶品でした。

 再度、夜にいったときにはカニコロッケ。





 どちらのコロッケも美味しかったが、生意気いわせてもらうと個人的にはカニコロッケは俵型の「カニクリームコロッケ」が好みだなあ・・・。



 いつもレジに座っている品の良さそうな元気なお婆ちゃんが創業者の連れあいだとすると、まだシェフは現役バリバリで厨房にいたとしてもおかしくないぞ・・・、と遅ればせながらそう思う。


  →「懐かしのレバンテ」の記事はこちら
  →「朝ラー、エーイッ! ついでに昼ラー」の記事はこちら

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