温泉クンの旅日記

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焼豚

2006-08-16 | 雑文
  < 焼豚 >

 旅に出ていて、無性にラーメン餃子が食べたくなることがある。二食つきで泊ま
った次の昼などとくに多い。皿数ばかりのどこでもおなじような食事を立て続けに
食べるとそうなるのだ。



 そんなときに「くるまや」というラーメンチェーンの店をみるとつい飛び込んで
しまう。どの土地でもこの店は味噌ラーメンがかなりいける。もっとも、くるまや
の餃子はその店その店でけっこうあたりはずれがあったりするのであまりお勧めで
きないが。

(さて、今日は何にするかな…)

 昼飯の話である。
 サラリーマンであるから使える金額にも限度がある。いいところ、八百円以内
だ。ましてや、旅という金のかかる趣味に夢中なわけであるので、無駄遣いはでき
ない。

 旅は楽しい。
 旅そのものだけではなく前後にも楽しさがある。さあて、こんどは何処へいこう
か。このあいだは北だから、南にするか。行く前の計画段階にも子どものように
ワクワクする。
 ・・・しかし、このあいだの旅はジツに面白かったな。と、行ったあとにも風景
や季節や思い出をあれこれ反芻して心ふわふわ楽しめるのだ。

 そんな旅の軍資金のために、毎日の昼飯は安ければ安いほどいい。というわけで
あるから相手にあわせたりしないでいいように、群れずにひとりでいくことにな
る。
(あれ、あすこはたしかコンビニじゃなかったけか)

 みると、大手コンビニのあった場所に「びっくりラーメン 180円」原色の赤と
黄色を使った派手で大きな看板が掲げられている。入り口付近にも同じ文句を染め
抜いた幟が何本もはためいていた。

(ラーメンが180円とは、これまたたしかにビックリである。今日はこれで、いい
か)

 とにかく騙されたつもりで、はいってみることにした。
 店内は二十人ちょい座れるテーブル席とカウンターが6席。カウンターに座る。
 メニューをみると、ラーメンも餃子も180円である。ランチタイムには、ラーメ
ンと餃子の組み合わせが350円と10円引きのサービスとなる。ラーメン定食はラー
メンと餃子とご飯で、480円か。ご飯は見たところまずそうである。

「あ、こっちラーメン餃子、セットで」
 運ばれてきたラーメンは、とりあえずラーメンの体をなしている。上には少量の
もやしと、付け髭のような朝の味付け海苔の細いのが一枚、ハムのように薄いぐっ
たりしたチャーシューが一枚、そして散らしたネギ。くにゃくにゃと腰のない麺。
 醤油スープはだしの超薄いアメリカンである。原価四十数円の噂もなるほどと思
わせる。

 やがて運ばれた痩せほそった餃子は個数こそ6個あれ、箸でまったく剥がせずふ
たくちほどでお終いだ。
 旨い不味いというよりは、なんかたよりのない食べ物でガツンとこない。ヒルメ
シという気がしない。なよなよと線が細く病気がちといった感じであった。スープ
と麺をどうにかしないと、リピーター客を獲得できないだろう。
 そう、どちらかといえば病院食といえば、判りやすいだろう。

 ラーメン好きであったころでも、チャーシューはよく残した。
 チャーシューには店主の鼻持ちならない自己満足がよくでる。なかなか旨いのに
お眼にかかれぬものだ。焼豚ではなく、たいていは煮豚だ。まあ、うまければそれ
でいいのだが。
 だから、自慢自信の逸品をひとくち齧って、スープの湖の底に箸で深く押し沈め
たことは数しれない。



 生きていると、不味いチャーシューのように、すこしつきあっただけで記憶の湖
の底に沈めて忘れてしまいたい、こんなヤツいらないのではないかと思うひとに巡
り会うことも多い。とくに職場なんかに。
 食べたくなければチョイト齧るだけで充分だ。べつに無理に食べるギリはないの
である。

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